人の世は、滞在期間の定め無き、今日一日の旅の宿

 時 人を待たず、光陰 惜しむべし
 古より有道の人、国城 男女 七宝 百物を 惜しまず
 唯 光陰のみ、之を惜しむ

顔面における疼痛の治験

2020-01-29 | 日記


https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed1950/12/2/12_2_68/_pdf/-char/ja

顔面の感覚は三叉神経の支配をうけるから,
顔面の疼痛は特発性,或は症候性の三叉神経痛と称することができる。
特発性のものは三十歳以後の年齢で, 血圧の高いものに多いが,
症候性のものはあらゆる年齢に来る。
疼痛の範囲は特発性のものは多くは片側, 症候性のものは屡々両側,
疼痛の性質は特発性のものは発作的で間歇があり 知覚障碍を伴なわないが,
症候性のものでは 疼痛は持続的で知覚障碍を伴なう。

特発性三叉神経痛の原因は明かでないが, ガツセル氏神経節 及び神経節後線維が傷害される。
症候性のものは急性,或は慢性伝染病,新陳代謝障碍,内分泌障碍,中毒,歯牙或は顎部の疾患, 副鼻腔の炎衝,
頭蓋底の炎衝, 新生物等によつて神経節前神経が侵されて起る。
特発性神経痛の場合, 疼痛発作は突然に起り,劇しい疼痛を顔面, 即ち頬部,顎 部,或は前頭 部に訴える。

発作は屡々咀嚼, 談話, 振動, 洗面, 寒冷なる空気等が誘因となる。
患者の顔面は潮紅し,落涙流涎等を来す。
初期には間歇時は永いが,次第に短くなり遂には疼痛は持続的になる。

第一例
婦人,年齢は五十七才。 診断,三叉神経痛。
今より三十年前,当時大阪大学外科にヘルテルという独乙人の教授がおられて
三叉神経痛の治療を得意とせられることが評判となっていた。
この婦人も同教授の診察をうけ三叉神経痛と診断せ られたが,
同教授の治療はガツセル神経節を剔出することであったから,
婦人は手術に怖れをなして小生の所えこられたのであるが,
当時は自分も未だ経験も浅く自信がなかったか ら, いろいろ参考書を探がして,
たまたま龔廷賢の寿世保元の頭痛門に記載せる処方, 清上蠲痛湯を試みに投与した。
寿世保元は龔廷賢が万病回春を撰述してから,三十年を経て
その間に得た豊富な臨床経験を基礎として書き改めた書物であるから,
臨床的に高く評価 されるべき書物である。
この書に記載せる清上蠲痛湯を与えるには与えたものの,何の自信 もなかったから,
不安と万一の僥倖を期待して反応如何にと結果を待つていた所, 如何なる幸運か,
この処方の服用一日で疼痛は半滅 し, 三日目には疼痛は十分の一に軽減し,
発作回数も著しく減少し,約一 ヵ月の服用で完全に治癒 した。

第二例, 三十五才の婦人,■ 。
この婦人は感冒のあと,発熱,咽痛,略痰,咳 嗽等はなくな り,食欲も平常通 りとなったのであるが,
右側顔面に前頭部から頬部にかけて,鳥渡した刺戟によつて痙攣性の劇しい疼痛が間歇的に起つて,
そのため気分は憂欝,不眠,食欲不振を訴えた。之も前例に傚って清上蠲痛湯に加減して授与,
約七日にして全治。 之に類似の患者五十才の男と,四 十七才の婦人との二例があるが略す。

第三例, 七十四才の婦人。■ 。
この婦人は約二 ヵ月前より右半側の顔面の疼痛に苦しみ次第に増悪する由を,
長男の嫁が容態を委 しく述べて投薬を乞う。 よつて三叉神経痛として清上蠲痛湯を与 えたが,
三日間服用 しても無効。 よつて来診せしめて精細に診察したところ,
疹痛は間歇,発作的でなく,持続性であり,右側上顎 部に腫脹と軽度の暗紫色の着色があ り,
上顎骨の炎症なんらかと思つて, 張路玉の医通の歯門に記載されている茵陳散を湯液として与えた。
茵陳散顎骨の骨膜炎,骨髄炎等に著効のある処方であるから,
大なる期待をもって与えたのであるが,之も亦無効。
よつて外科の専門医の診察をうけさせた所が,上顎骨の癌の疑ありとて,入院 して手術うけ目下静養中。

処 方
A : 清上蠲痛湯, 寿世保元方。

一切の頭痛の主方。左右偏正新久を問わずみな効す。

常帰 酒洗一銭 , 川芎 一銭 , 白芷 一銭 , 細辛 三分, 羌活 一銭, 独活 一銭, 防風 一銭, 菊花 五分, 蔓荊子 五分,
蒼朮 一銭, 黃芩 一銭五分, 麦門冬 一銭, 生甘草 三分, 右を〓いて一剤となし,生姜をいれ煎じて服せ。

加減法

1. 左辺痛むものは紅花 七分, 柴胡 一銭, 草竜胆 酒洗七分, 生地黄 一銭を加えよ。
2. 右辺痛むものは 黄〓一銭, 乾葛八分を加えよ。
3. 正額上眉稜骨の痛甚しきものは食積疾壅なり。 天麻五分, 半夏一銭, 山査 一銭, 枳実 一銭を用いよ。
4. 頭頂に当つて痛むものは 藁本一銭, 大黄一銭酒洗を加えよ。
5. 風が脳髄に入って痛むものは麦門冬一銭, 蒼耳子一銭, 木瓜, 荊芥 各五分を加え よ。
6. 気血両虚して常に自汗あるときは黄耆一銭五分, 人参, 白芍, 生地黄各一銭を加えよ。


https://www.kotaro.co.jp/kampo/explain/seizyokentsu-exp.html

B: 菌陳散, 張路玉医通方。

歯齦が赤腫して疼痛するを,及び骨槽風熱(顎骨カリエス)を治す。

菌陳, 連翹, 荊芥, 麻黄, 升麻, 羌活, 薄荷, 姜蚕 各五銭, 細辛 二銭半,大黄, 牽牛頭末 各一両
を散となし,毎服三銭を先ず水一〓を以て煎沸し薬を入れて攪わし急いで傾けていだし,
食後に滓に和し熱服せよ。
この菌陳散は医通の歯門に掲載されている処方で,歯痛と顎骨の炎衝に有効なりとしている。

浅田栗園先生は特に顎骨炎に対する効果を賞用しているが,
歯は顎骨内に填充されている器管であり,疼痛は何れも三叉神経の支配によるものであるから,
顎骨カリエス, 歯髄炎, 歯根膜炎, 歯根膜下膿瘍の他, 副鼻洞炎にも有効である。

但し歯牙痛の実証なるものには矢張り 寿世保元の加味清胃散を,

虚証にて歯根動揺し疹痛するときは補中益気湯熟地黄, 牡丹皮, 自茯苓, 白芍薬を加えて与えるとよい。


http://www.ikkando.com/bunken/futugo/futugo-50.htm

C: 加味清胃散, 寿世保元方。

一切の牙歯腫痛はみな胃経の火盛に属す。
多くは是れ辛熱厚味,及び温暖の薬を服すること過多,以て胃熱を致し上下の牙は痛み頭脳に牽引し,
面は熱しその歯は冷を喜び熱を悪むものを治す。
当帰尾 生地黄 牡丹皮 升麻 黄連 防風 荊芥 軟石膏 各等分, 右を〓 き水煎 して服せ。

加減法

もし顴額にあたって半辺痛むものは 防風, 白芷, 羌活, 細辛を加えよ。
もし牙齦脱して血の出ずるものは 扁柏葉, 黄苓, 荊芥, 梔子を加えよ。
もし虚損の人が牙歯するものは 黄柏, 知母, 人参, 甘草を加えよ。
もし満口浮いて而も痛み力して嚼むこと能わざるものは 連翹, 玄参, 芍薬を加えよ。
小児の牙疳(水癌)のときは乳母が本湯に 天花粉, 玄参,白〓を加えて服せ。
醇酒厚味のため唇歯が痛をなし,或は歯齦潰燗し, 頭面頸項に連つて痛をなすものは,
並びに犀角, 連翹, 甘草を加えよ。
胃寒して歯痛するには草豆蒄, 細辛, 防風, 羊脛骨灰を加えて,牡丹皮を去れ。


http://www.toriiyakkyoku.jp/wp/index.php/archives/3464


http://youjyodo.cocolog-nifty.com/kimagure/2008/11/----6212.html


http://youjyodo.cocolog-nifty.com/kimagure/2020/01/post-74621b.html

牙槽脓肿脓液排出中药治疗方法


 https://kknews.cc/health/38mryj8.html

参考:https://wenku.baidu.com/view/3bcf85ea1b37f111f18583d049649b6648d709a7.html?rec_flag=default


二元と自我

2020-01-24 | 日記


   今日の縁: 『 動中の禅 』
   
   https://ameblo.jp/hosshinzendo/entry-12476268280.html

徳山の棒

2020-01-21 | 日記

 今日の縁:
 http://www.jyofukuji.com/10zengo/2011/02.htm

広恵済急方- 人参

2020-01-18 | 日記


1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└1-2. 脱陽:突然元気がなくなり気を失う、吐瀉後意識不明となる
卒(にわか)に倒れ、無性になり、口を開、手をひろげ、大便又は小便をもらし、或は汗出て流がごとく或は汗いでず、惣身手足ともに温に、目を合(ふさぎ)、鼻息麁(あらく)鼾(いびき)の如く、或は痰咽にぜりぜりといえる音あり、或は痰の音なく、或は面赤、又はうす黒く、又は顔色粧(よそおふ)がごとき、是脱陽也
【疾患注釈】 凡(おおよそ)霍亂(かくらん)等にて吐瀉やまず、又は夥(おびただ)しく吐瀉したる後元気ともしく、手足冷えあがり、ひや汗出て陰嚢しじみあがり、手足搐(びくびく)し、面くろく、息づかいせわしく、或は手足の筋引きつまり、漸々(ぜんせん)に無性に成る者あり、みな陽脱の候とす 或は常々喘息もちとて短気(いきぎれ)つよく、左の乳の下の動気つよき人遽(にわか)に脱陽することおおし、又暴(にわかに)瀉(くだし)後、或は厠の内、或は厠より出て卒(にわか)に倒るるあり、是等皆脱陽なれば療法皆同じ
【用法】 
・ 早速に神闕,気海,關元(しんけつきかいかんげん)に灸すること二三百壮すべし、大劑にして獨参湯と用ゆべし、亦膻中の穴に灸すべし、扨隠,白百,會人,中絶,骨章,門風市(いんはくひゃくえにんちゅうぜっこつしょうもんふうし)等の諸穴に灸すべし、痰強きは参姜湯、四支(てあし)厥冷(ひえつよき)には参附湯煎服、汗多出ば人参,黄芪煎服す、或は芪附湯煎服す <上巻16丁>
・ 吐瀉の後、脱陽の証嘔気やまず薬も受ざる者あり、此証には半夏壱匁、附子壱匁煎じ服すべし、嘔気やみて後は参附湯、又汗おおきは芪附湯の類を用ゆべし、かつ気海,天樞,中脘(きかいてんすうちゅうかん)に多く灸して、其上に塩を炒り紙に幾重にも裹(つつみ)、病人の胸腹背中を絶え間なく熨べし、扨て炒り塩に呉茱萸を剉、等分にして攪(かきまぜ)て、臍下(ほそのした)気海,陰交の次(あたり)を是又絶えずのすべし、或は葱の白根を一握りほど索(なわ)にてしかとくくり、根と葉とを切り捨て、其切り口を烈火(つよきひ)にて撚(もや)し、熱くなりたる所を病人の臍下(ほそのした)に着置き、其上より火熨(ひのし)に火を盛り熨すべし <上巻16丁>



1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└1-3. 交接昏迷: 性交時男子気を失う、精液漏れ
【疾患注釈】男子媾合(さいわいの)過度(かずおおく)婦人の身の上にて気をうしなうことありて、往々死する者あり 
【用法】婦人其侭緊(しっか)と抱住(いだき)て、息を男子の口中へ嘘込(ふきこみ)てやめざるときは少頃(しばらく)して自省(しょうきになる) 省後(しょうきつきてのち)食塩を炒熱し、布か紙に包先気海(臍下一寸五分)を熨(あたためうつ)し、参附湯を煎じ、灌服(そそぎのま)しむべし <上巻21丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└1-3. 交接昏迷: 性交時男子気を失う、精液漏れ
 └走陽: (注釈参照)
【疾患注釈】久曠(きゅうこう)の男子又は縦慾(しょうよく)の人、女子と交合(さいわい)し精(いんすい)泄出(もれいで)て止ざるなり、救ざればかならず死す、早く理法を施すべし 
【用法】其婦人緊(しか)と抱定(いだき)て、其陰茎を陰戸より出さず動かさず、其侭(そのまま)にて婦人の息を男子の口中へ呵入(ふきいれ)てやめず、且(そのうえ)會影を指にて緊(しか)と捻住(おしつけ)て放すべからず、精(いんすい)自止、其以後亟(すみやか)になを又童女に命(おしえ)て息を口中へ斷(たえ)ず呵込(ふきこま)せ、扨(さ)て獨参湯を灌ぎのませてよし <上巻22丁>

1. 卒倒の類: 人俄に倒れる病の類
└1-10.霍乱: 驕(この)病乾湿の二つあり、湿霍乱は吐瀉(はきくだ)して腹痛甚しきなり、乾霍乱は吐もせず瀉(くだし)もせず惟(ただ)心腹纒続大(むねはらしぼるごとくいたみ)に苦悶(くるしむ)を言なり 何れも危急なる証にて種々の変化一條に載がたし、療法も亦変化あり 
湿霍乱: 病発(びょうはつ)に頭痛痃痺(めまい)ある者あり、又頭痛痃痺なく初より先吐して後に瀉(くだす)者あり、先瀉して後に吐するあり、吐瀉の前より腹痛甚しきあり、吐瀉ありて後に腹痛甚しきあり、何れも腹中ひきしめ痛まざるはなし、扨吐して吐やまず、瀉して瀉やまず、或は吐瀉ともにやまず、湯も薬も口に入らず、或は口乾て水を飲んとし、或は悪寒甚しく、或は熱を発し、喘急(いきづかいせわ)しく手足共に厥冷(ひえあがり)戦掉(ふるえ)、軽きは両脚轉筋(すじひきつめ)重きは惣身(そうみの)轉筋(すじひきつめ)、冷汗出脣(くちびる)舌動かず漸々(ぜんぜん)に昏(つかれ)倦(むちゅうに)なるなり
【疾患注釈】不利不已: 腹くだりやまざる
【用法】無性にならんとするは、参附湯、姜附湯、又は附子を煎じ、塩一撮(ひとつまみ)入れ攪(かきまぜ)て服すべし <上巻37丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└2-1. 吐血: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └虚損吐血: (注釈参照)
【疾患注釈】其人いつとなく気怯(きつかれ)、形色憔悴(けしきやつれ)或は胸懐鬱然(こころもちおもしろからず)、飲食ともに風味なく、腹は饑(へり)ながら食することは不欲(いや)にて、且物に驚き易く、夜快寝ざる等の証、其以前にありて後に忽吐血者あり、又は其以前に数度嘔吐の証、或いは度々泄瀉の証有たる後に卒然吐血、或いは下血事有者あり、是を虚損吐血とす、血の色鮮紅かるべし 
【用法】
・ 人参焙、側栢葉焙、荊芥穂黒焼にして、等分何れも末となし、飛羅麪(うどんのとびこ)少許を入、新汲水(くみたてのみず)にて和匂(かきまぜ)、稀糊の如して服す <中巻3丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└2-1. 吐血: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └虚熱吐血: (注釈参照)
【疾患注釈】患人(病人)面赤く、滑沢(つやつや、うるおい)甚だしく、或は躁悶(もだえさわぎ)、或は喘息して手足厥冷(冷えあがり)、或は小便清澄(すみ)、大便もやわらかに通じ、又は泄瀉し、遂に吐血て止まざるは虚陽の浮泛(うかみあかり)たるなり、血色鮮紅なり、尤大切の証なり
【用法】
・ 獨参湯にて辰砂末五六分を送下すべし <中巻4丁>
・ 人参、黄耆各々一匁水に煎、童子小便を加えて頻(ひたもの)々服してよし <中巻4丁>
・ 参附湯に伏龍肝末となし、服する時點(くわえいれ)攪(かきまぜて)用ゆ最良 <中巻4丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└2-1. 吐血: 人忽(たちまち)血を吐(はく)なり 此証一様ならず故に七ケ條に分たり
 └中暑吐血: (注釈参照)
【疾患注釈】夏炎熱の節、旅行などして終(つい)に暑毒(しょき)に中(あた)りて吐血する者あり、其証気怯(そのしょうきよわく)、體倦(からだつかれ)、息微かに或は熱し渇つよく、煩悶(いきれもだえ)て吐血するあり
おおよそ何れの吐血にても暴(にわか)に血を吐て湧が如くなる者、或は一口二口よりして一二合、漸々(ぜんぜん)に一升より數斗に至り、気血脱て危(あやうき)ことしばしのまあり、此際(このきわ)に至りては、何れの証にても下に載る所の通理方を用ゆべし 
【用法】急に人参一二匁細末となし、飛羅麪(うどんのとびこ)一分温水(さゆ)或は井華水(くみたてのみず)、其病人の好処に随(したが)いて和匂(よくかきまぜ)て稀糊(うすのり)のことくして徐々(そろそろ)と服すべし、或は人参一匁濃煎じて用ゆ <中巻8丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└2-5. 諸失血眩暈: (注釈参照)
【疾患注釈】吐血、下血、鼻衂、舌衂、歯損(はをぬきてそんじ)血出で、金創など血出ること過多(おびただし)ければ、皆眩暈して昏迷になる事あり 
【用法】出血殊過多、命危は、急に人参一味濃煎じ用ゆべし、或は人参一二匁細かなる末となし、飛羅麪(うどんのとびこ)一銭(もんめ)、温水(さゆ)に和匂(かきまぜ)、稀糊(うすのり)のことくならしめ、除々(そろそろ)と飲(のま)しむべし <中巻24丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└2-6. 急喉痺(きゅうこうひ): 突然咽喉部が腫れ塞がる
 └肺絶: (注釈参照)
【疾患注釈】急に咽腫塞(はれふさがり)、痰喉に在て響き、聲鼾(いびき)のごとく、面色(おもてのいろ)青惨(あおざめ)たるは肺絶なり、至て危篤(あやうき)なり 
【用法】急に獨参湯を濃煎じ、生姜の絞汁と竹瀝少ずつ加えて、頻(しきり)に服さしむべし、若(もし)遅きときは十人に一人も活すべからず <中巻29丁>

2. 卒暴諸証: 突然発症する病
└2-8. 真頭痛: 激しい頭痛と頭痛により手脚の冷えあがる
【疾患注釈】頭痛甚く、脳蓋(のうことごとしく)沈痛、或は連齒(はまで)痛つよく、手足厥冷(ひえあがり)、爪甲(つめこう)の色青く、若(もし)其冷手は肘より上までのぼり、足は膝の上まで冷のぼる者は理しがたし、然(しかれ)ども理法あり、可施(ほどこすべし) 
【用法】速やかに百會の穴に灸すること數十壮、且つ大劑の参附湯などを煎じ、猛(いちがいに)服して死を免れる者あり <中巻31丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└3-1. 金瘡: 刀や脇差等による切り傷の類
 └金瘡身戦暈絶: (注釈参照)
【疾患注釈】金瘡身ふるえ暈絶(きとおくなり)
【用法】馬糞の汁を絞り、熱湯に和し用いてよし、獨参湯に和し用ゆ、最よし <中巻24丁>

3. 外傷の類: 怪我や蟲獣(むし、けだもの)に咬まれる等の外傷
└3-1. 金瘡: 刀や脇差等による切り傷の類
 └喉刎人: (注釈参照)
【疾患注釈】咽を刎(はねきり)たる
【用法】先其人を仰臥(あおむけにねか)して枕を高し、頭面まえかぶりにして、刀口開かざる様にすべし、扨(さて)、風を避(よけ)、衣被(いるい)を蓋(おおい)て煖(あたたか)にすべし、若(もし)呼吸(いきづかい)に別条なきは、白米一合、人参一錢(もんめ)、生姜三片入て粥を焚、其粥の清(うわゆ)を啜(すすらせ)て元気を接(つづかせ)補て醫の來(いしゃのきたる)を竢(まつ)べし <中巻56丁>

5. 諸物入九竅: 諸物が身体の竅に入る類
└5-6. 蛇入人耳口鼻肛門亦婦人陰門: 蛇が人体の九窮に入る
【疾患注釈】蛇の窮(あな)に入たる
【用法】蛇出て後、雄黄末を人参の煎じ汁にて吹くべし、又雄黄の末、酒にて服するもよし <下巻33丁>

8. 臨産急証: 出産に関する急病
└8-1. 難産
【疾患注釈】正産(兒の頭正直に出るなり)にして生下(うまれ)かぬるを碍産(がいざん)という、又兒先足を露(あわらす)を逆産とす、又兒先手を露を横産(おうさん)という、又兒母の後(いしき)のかたへ挂(かかり)しを棖後(とうご)という、又兒母の左か右の方へ偏(かたより)、兒の額角(こびんさき)を露(あわらす)を偏産(へんさん)という
【用法】
人参末、乳香末一匁、辰砂五分、鶏子(にわとりのたまご)白(しろみ)一枚(ひとつ)、生姜汁を入攪(かきまぜ)て服すべし <下巻71丁>

9. 産後急証: 産後に関する急病
└9-1. 血暈: 血の道症
 └血脱昏暈(けつだつこんうん): (注釈参照)
【疾患注釈】産の時血脱下(おりくだる)こと既に過多(おびただしく)、気も就所(つくところ)を失い、気血ともに乏昏暈になり、人事を不省(かえりみず)、其面の色白く、眼黒閉て開かず、口を開手足冷、頭傾(うなだれ)、呼吸(いきづかい)寂然(うすら)なるは血脱昏眩暈なり 
【用法】
・ 急人参一二匁を濃煎じ、徐々(そろそろ)と灌ぎ飲(のま)しむべし(此証
人参を用れば、大に害ありと心得るは誤りなり 頓(にわか)に虚したる証人参あらざれば救いがたし) <下巻76丁>
・ 此証人参を用れば、大に害ありと心得るは誤りなり 頓(にわか)に虚したる証人参あらざれば救いがたし)此故に臨産の婦人あらば預(まえびろに)獨参湯を煎じ置て、急に備うべし、さし掛(かかり)ては間に合がたし <下巻76丁>
・ 其症軽きものは人参、當歸、川芎各一匁水に濃煎じ、童便(こどものしょうべん)を加て用ゆべし、鹿角の黒焼あらば兼用てよし 
・ 人参、茯苓一匁ずつ、辰砂五分入て末にし、白湯にて用ゆべし <下巻76丁>

9. 産後急証: 産後に関する急病
└9-2. 崩漏: 産後の大量出血
【疾患注釈】婦人俄(にわか)に陰門より血多出ることあり、脱血(ちおりること)過多(おびただし)ければ、元気接續(とりつづき)がたく、死に至る 急に救べし、産後腹中鳴るもの、崩漏することあるものなり、油斷すべからず 
【用法】麒麟血焼て黒くし、温水(さゆ)にて服すべし、元気乏しくは、獨参湯を用ゆべし <下巻79丁>

10. 小児急証: 小児の急病
└10-7. 驚風: 新生児のひきつけ
 └慢驚風: 大抵大病の後、或は大便瀉利、或は吐乳食(ちち、くいものをはく)こと數日の後に俄に昏悶(うっとりとなり)、驚搐(びくつき)、竄視(うえをみつめる)等の証あり
【用法】先大抵艾灸をよしとす、神關気海章門天樞の諸穴に數壮なるべし、扨(さて)熊膽を獨参湯にてとき、口へ灌ぐべし、或は手足冷れば、参附湯灌与えべし、醒めて後も右の方を用い、醫の來(医者の来る)を待つべし <下巻91丁>

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絶筆

2020-01-11 | 日記