臨床研究にあたり・・・
中国四千年の歴史。その歴史とともに人々の健康を脈々と守り続けてきた鍼灸治療を正しく理解している人は少ないと感じます。
私がはじめて鍼灸治療を体験したのは28歳の時(失明宣告を受けたために盲学校の理療科に在学中)でしたが、それも伝統を受け継いだ鍼灸治療ではありませんでした。
卒業後、自分自身で東洋医学についてもっと掘り下げて勉強したいと考え、古典鍼灸医学を学ぶ研究会に参加するようになってはじめて鍼灸の教育プログラムのなかで教わったこと以外にもっと勉強すべきことが残されていることに『気付いた』のです。
鍼灸専門学校で行われている多くの教育は明治政府による漢方医学廃絶の動きの中から生まれたものであり、真の伝統医学(古典医学)を継承しているとはいえません。
以下に私の研究発表の概要を記しますが、興味があれば研究・講義資料をご一読いただき漢方鍼治療をご理解いただければ幸いです。
腰痛は肩こりと供に慢性急性を問わず鍼灸治療の最適応症である。 ところが、来院する初診患者の多くは整形外科、接骨院、カイロプラクティックなどの治療を経験して最後のよりどころとして鍼灸治療に来院する者が多いのが現状である。
鍼灸治療で本当に腰痛が治るのか、鍼の痛みをこらえ、灸の熱さを我慢しなければ効果ないだろう、など、様々な疑問と不安を抱えて来院する。 従って、まず、疑いを取り除くところからスタートしなければならない。
つまり治療以前の問題として現代の医学及び古典医学の長所短所を把握して見立ての良い漢方鍼医になることである。 そのためには古典医学における生理病理の把握は必須であるが、それについてはすでに何回となく学習している。
本日は、まず最初に臨床の現場から腰痛診断のポイントを述べることにする。