例えば当帰芍薬散は安胎の薬の代表的なものなのです。
私が九州の離島にいた時、母子センターがあり、医者は私しかいないので
助産婦さんと何度も赤ちゃんをとりあげました。
我々の世代は正常分娩だったら心配しながらも何とかできたのです。
当時、この当帰芍薬散をよく使いました。
当帰芍薬散を妊娠当初から飲ませると、つわりも軽いし、妊娠中毒症も
あまり出ませんし、赤ちやんも健やかですし、産後の日立ちも良いのです。
私の妻が妊娠した時はいつも飲ませていました。
習慣性流産の人にも何人か出しましたけれど、うまくいかなかった例はありません。
前に切迫流産をした人でも、 ほとんどこれでくい止められます。
そういう意味で安胎の薬と言えるのです。
不妊治療には必ずしも当帰芍薬散は当てはまらないのです。
桂枝茯苓丸の人でも妊娠したら当帰芍薬散の体に変ります。
妊娠すると出産に備えて血液をどこかにプールするために見せかけの貧血になります。
妊娠2週間ぐらいでおきます。その頃よく風邪症状が出ますが、
当帰芍薬散や香蘇散を飲ませれば治まってしまいます。
どうも本当の風邪ではなくて、丁度、妊娠による体の切り変りのようです。
妊娠に気付かないと、強い抗生剤を使ったり、消炎鎮痛剤を使ったり、
あるいはレントゲン写真を撮ったりして大変な事になることがあります。
妊娠したら当帰芍薬散に体が切り変ります。
不妊の治療には方証一致による随証治療になります。
例えば、瘀血体質だったら桂枝茯苓丸で瘀血を取り除いてあげれば
妊娠が成立するかも知れません。
加味逍遙散で神経系をなだめてあげた方が妊娠が成立するかも知れません。
不妊治療だったらイコール当帰芍薬散というのは間違いだと思います。
妊娠が成立したらほとんど当帰芍薬散になりますが、たまに温経湯の場合もあります。
でもほとんどの場合、当帰芍薬散です。
https://blog.goo.ne.jp/mumei_juku/e/5bcd48641ed9f17a2b2608bcef9e73d5 (さっぽろ下田塾)