胡子無鬚
2016-03-01 | 日記
或庵が問うた、達磨に髭が無いのは何故か?
法は、見る主体と見られる客体が一つの処。
見聞覚知の主体と客体は、自らの視座の上。
善悪が付く以前の事実は、主客を分かたず。
対象は、自己の物差しを映す処に縁起する。
我を立てずに見る処には、対象も立たない。
認識未だ到らぬ処に、対象の有無を知らず。
事実は不二ゆえ対象なく、認める我も不生。
一切は、我の意思や努力と無縁の法の働き。
花無心にて蝶を招き、蝶無心にて花を訪ぬ。
花開くとき蝶来たり、蝶来たるとき花開く。
吾もまた人を知らず。人もまた吾を知らず。
知らずして帝則に従う。 『花無心』良寛