ユダヤ民族は、今から1857年前に国を失った民となり、流浪と放浪を続け、行く先々で迫害や虐待を受けましたが、一方で自分たちの祖先の宗教を尊び、自分たちを神に選ばれた民と称し、祖国の復興と世界の統一を堅い信念として今日まで続けてきました。
そしてその間に彼らの民族は膨張し、現在では1600万人に達し、世界中の50を超える国々に分布し、寄生的な生活を営みながら、世界転覆の陰謀を企んでいます。すでに世界の財力の三分の二を彼らが掌握しており、
イギリスのロスチャイルドやヒルシュ、ドイツのスティンネス、アメリカのモルガン、ロックフェラー、グッゲンハイム、シフ、カーネギーらがその覇権を拡大しています。
黄金による権威はついにユダヤ人の手中にあり、欧米における言論、通信、出版の機関もほとんどが彼らの支配下にあります。労働農民国家のロシアはすでに彼らの手中にあり、ドイツやオーストリアなどの君主国を倒し、その政権も彼らの意のままに操られています。
彼らは過激な社会主義や共産主義を広め、極端な自由主義を唱え、超国家的な思想の普及によって愛国心を失わせ、労働問題や小作争議を利用して直接行動を引き起こし、階級闘争を活発にして、国家の基礎を危うくしようとしています。これはまさに、彼らの民族が世界征服を企む伝統的な陰謀の表れです。
現在、この大陰謀に直面しながらも、安穏として贅沢や享楽にふけり、手をこまねいて国家の没落をただ見守るだけというのは、まさに爆弾を抱えて火山の頂上で眠っているようなものです。私のように徳もなく不才な者でも、国民の思想が日に日に衰退し、国家の基盤が揺らぎ、
危機に瀕しているのを見ると、手をこまねいて見過ごすことはできません。 そこで決然として立ち上がり、皇室を中心とした国家本位の思想を高らかに掲げ、各地で遊説活動を行うことにしました。これまで関わっていた事業から離れ、自由の身となり、献身的に全国で講演活動を試みてきました。
これはもともと、世を憂い、国を愛する微かな心から出たもので、決して名声を求めているわけではなく、また報酬を求めるものでもありません。国民の精神を呼び起こす一助となれば、それ以上の幸せはありません。
また、この講演内容は小冊子にして印刷し、非売品として配布してきましたが、さらに広く普及させるために、今回これを公刊することにしました。どうか、この私の意図を理解していただけることを願っています。
昭和二年 月 日 静岡にて 諏訪部一之輔