お年寄りの腎咳は、腎の衰えでやはり全体が乾燥状態になってきていて、
痰が乾燥し、そのために痰を切る力もないのです。
だから滋陰降火湯の方というのは、だいたい診察室に入ってくると解ります。
腎が主体になっていますからやはり赤黒いです。だいたい黒い。
それで咳を主症状として来ます。何よりも腎咳は(肝咳などもそうですが)、
東洋医学的な治療じゃないと治らないのです。
西洋医学的な治療が一番うまくいかないのが腎咳です。
だからうまく当たると非常に喜ばれます。何度も言うように、
肺咳は西洋医学的でも、上手な先生が治療をされると治ります。
それから肝咳は、心療内科の先生なら上手に治せるはずなのです。
ところが腎咳は、概念がないから治せないのです。
皆さんのところでもそんなに多くないと思いますが、
私のところに来る方では腎咳は非常に多いのです。
やはり多くの医療機関を転々として来ます。
滋陰降火湯の状態は、年を取ってだんだん腎が衰えて、
腎陰が不足して心火が上がって、心火が肺を焼いて、
そのために肺に熱を持って痰が切れにくくなっているのです。
最初の出発が腎陰の不足なのです。いわゆる腎の虚が出発です。
加齢に伴って腎陰が不足してくるというのは、年を取ると全員、
腎陰が不足するということではないのです。
腎が弱い人がやはりそうなりやすいわけです。
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うちはお子さんが多く来院します。
お子さんのカゼなどで見られる咳には、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)、 五虎湯(ごことう)をよく使います。
また、よく治ります。
麻黄(まおう)が含まれる漢方薬が奏功する例がほとんどです。
麻黄抜きでは、麦門冬湯(ばくもんどうとう)が重宝します。
乾性咳嗽、声がれ(嗄声:させい)、少し痰がからむ、発作性の咳に頻用します。
お子さんも麦門冬湯が大好きです。
大人には大人で使える漢方薬があります。
竹温胆湯(ちくじょうんたんとう)です。
インフルエンザ、カゼ、肺炎などの回復期に熱が長引いたり、熱が下がっても、 気分がさっぱりせず、咳や痰が多く安眠できない人に使います。
イメージが湧くでしょうか。
びっくりした怖い思いをしたのをきっかけに気持ちが不安で落ち着かず、何となく 胸がモヤモヤして居ても立ってもいられない時、肝っ玉が冷えた時に使います。
冷えた肝っ玉を温めるので温胆(うんたん)と命名されたのかなと理解しています。
外来でも、確かにこういう状況の方に処方すると効果があります。
小柴胡湯(しょうさいことう)を処方したくなるような人が, 咳, 痰が出て何となく 不安そう、安眠ができない時に試してみたらいかがでしょうか。