東京で仕事をしていると、全国紙である日経新聞と朝日新聞の二紙を購読しているが、最近では、これに加えて、インターネット版も加わり、どこに居ても、海外ですら、購読できるようになっている。しかし、小諸に来るときは、「地消地産」ではないが、地元に密着した地方紙の信濃毎日新聞を、購読することにしている。なかでも、「山ろく清談」は楽しみである。意見を主張するよりも他人の気持ちを察するという日本人特有の美意識、敗者への共感であり、卑怯を憎む、「惻隠(そくいん)」の情を、論じている文章があった。これまで、現れては、消え、消えては現れる、「忘れかけていた懐かしい日本語」、「清貧の思想」、「品格」とか、こうした「惻隠(そくいん)」の情とか、日本人が失ってしまったと思われる嘗ての美しい日本語が、この地方紙の編集の中に、見いだされて、思わず、嬉しくなる。信州地方特有の歴史・伝統・文化・芸術・音楽・芝居・福祉・学芸・催事、等の各分野、並びに、10代の次世代の若い人達や、高齢者の投書欄等、きめ細かく、編集されている。こうした地道な努力を、もっと広く、都会の読者にも、知って貰いたいものである。全国紙とは、視点がことなる独自の「地方紙の良心」を見てとれる。
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