マイナス金利という劇薬:
歴史上、まれに見る『デフレとの闘い』のなかで、様々なサプライズとか、異次元な緩和策とか、黒田日銀は、2%の物価上昇目標を、原油安や中国経済の減速の中で、先送りにしても、尚、今度は、欧州並に、マイナス金利政策を、5:4の僅差の多数決で、決したようである。マーケットとの狸と狐の騙し合いは、いつ果てるともなく、続くのであろうか?それにしても、市場というのは、常に、政策の一定程度の先取りを予測して、或いは、折り込み済みという形で、いつも、政策発表の前に、シミュレーションを初めから、想定するものである。それにしても、為替と株価と、更には、物価と、景気動向と、更には、GDPの伸び率とか、成長戦略も含めて、その質と量と金利の微妙なバランスを執りながら、政策を実行させるという舵取りは、大変難しいモノがあろう。果たして、本当に、先行き、うまく行くのであろうか?デフレも克服され、実質賃金も上がり、消費者心理も、財布の紐が緩み、銀行は、金利を取られるのであれば、積極的に、企業へ、とりわけ、設備投資などに足踏みしている大・中小企業への融資が、本当に、増えるのであろうか?石原時代に、東京都が、積極的な音頭をとって、進めてきた公的な性格を有した都銀公的融資構想も、その何年か後では、破綻したし、現状でも、こんなに、低金利でも、銀行の貸し出しは、充分機能しているとは思えない現状があるのに、予想通り、貸出し融資が、スムースに、行われるのであろうか?一体、ジャブジャブの金は、何処へと向かうのであろうか?劇薬なしには、デフレも克服できないことも、理解出来ないことも無いが、余りにも、劇薬が、長引きすぎると、今度は、どんな副作用が出てこないとは、限らない。それでも、恐る恐る、我々は、後をついて行かなければならないのであろうか?