時代錯誤の「名ばかり産業医」
「労働者ストレスチェック制度」義務づけで馬脚。精神科や心療内科の医師はたった5%!
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昨年12月から、いよいよ従業員常時50人以上の事業所を対象に、労働者がストレスに関する質問に答えてメンタル不調を事前に防ぐ「ストレスチェック制度」が義務づけられた。だがこれをきっかけに、メンタルケアを担うべき「産業医」の頼りない実態が露わになっている。
産業医は労働者の健康管理や面接指導、労働環境の管理などが主な仕事で、労働者50人以上の事業所は1人以上を選任することが義務づけられている。ストレスチェック制度では、長時間労働やストレスが多い労働者が希望すれば医師による面接指導が行われることになっており、厚生労働省は、会社の実情をよく知る産業医が面接するのが望ましいという。しかし、適切な面接を行い、必要に応じて医療機関に紹介できる産業医がどれだけいるのか。当の産業医からも、不安の声が上がる有り様だ。
■座学でとれる日医認定資格
厚労省によると、産業医は1972年、労働安全衛生法の成立とともに生まれた。当時は製造現場を中心に、工場で使う化学物質や換気不十分な環境により、体を害する労働者が多く、こうした労働環境を改善するために設けられた制度だった。
ところが、時代とともに産業構造が変わり、過酷な製造現場が減り、小売業やサービス業など第3次産業が増えた。今日の企業社会で問題になっているのは、うつ病などのメンタルヘルスだ。厚労省の調べでは、2014年度に精神疾患で労災申請をした人は、事務職や販売職などを筆頭に過去最高の1456人。認定数も年々右肩上がりで増えており、企業が本格的に労働者の精神面の管理を行わなければいけない時代になっている。
だがこれまで、メンタルヘルス面で産業医の養成や活動が強化されてきたとは言い難い。ストレスチェック制度のスタートで改めて浮かび上がるのは、専門性はもとより、産業医の活動実態そのものへの
時代錯誤の「名ばかり産業医」
「労働者ストレスチェック制度」義務づけで馬脚。精神科や心療内科の医師はたった5%!
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昨年12月から、いよいよ従業員常時50人以上の事業所を対象に、労働者がストレスに関する質問に答えてメンタル不調を事前に防ぐ「ストレスチェック制度」が義務づけられた。だがこれをきっかけに、メンタルケアを担うべき「産業医」の頼りない実態が露わになっている。
産業医は労働者の健康管理や面接指導、労働環境の管理などが主な仕事で、労働者50人以上の事業所は1人以上を選任することが義務づけられている。ストレスチェック制度では、長時間労働やストレスが多い労働者が希望すれば医師による面接指導が行われることになっており、厚生労働省は、会社の実情をよく知る産業医が面接するのが望ましいという。しかし、適切な面接を行い、必要に応じて医療機関に紹介できる産業医がどれだけいるのか。当の産業医からも、不安の声が上がる有り様だ。
■座学でとれる日医認定資格
厚労省によると、産業医は1972年、労働安全衛生法の成立とともに生まれた。当時は製造現場を中心に、工場で使う化学物質や換気不十分な環境により、体を害する労働者が多く、こうした労働環境を改善するために設けられた制度だった。
ところが、時代とともに産業構造が変わり、過酷な製造現場が減り、小売業やサービス業など第3次産業が増えた。今日の企業社会で問題になっているのは、うつ病などのメンタルヘルスだ。厚労省の調べでは、2014年度に精神疾患で労災申請をした人は、事務職や販売職などを筆頭に過去最高の1456人。認定数も年々右肩上がりで増えており、企業が本格的に労働者の精神面の管理を行わなければいけない時代になっている。
だがこれまで、メンタルヘルス面で産業医の養成や活動が強化されてきたとは言い難い。ストレスチェック制度のスタートで改めて浮かび上がるのは、専門性はもとより、産業医の活動実態そのものへの
時代錯誤の「名ばかり産業医」