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数学ピエロ~極大イデアルと素イデアル~

2016-08-15 00:01:57 | 日記
数学ピエロ~極大イデアルと素イデアル~

勉強しているときは”そうだ!”と分かったつもりになってしまっても、実はよく分かってなかったなんてことはよくあります。(私だけかもしれませんが。。。)

その中の一つが極大イデアルと素イデアルの違い。

まずはイデアルIの定義から。
・イデアルとは
(1) 可換環Rの部分集合で、aとbがIに属するなら、a+b、a-bもIに属する
(2) aがIに属するなら、Rの元rに対してraもIに属する。

・極大イデアルとは
(1) 可換環Rのイデアルのうち極大のもの
【解説】
極大なものの存在はZornの補題(公理)から保証される。
整数環Zで言えば、以下の包含関係より(2)は極大イデアル。
 (8) < (4) < (2) < Z
よって素数からなる(p)は極大イデアルになります。

・素イデアル
(1) abがイデアルIに属するなら、a,bの少なくとも一方はIに含まれる
【解説】
素イデアルの外側の元x, yを掛けたxyも素イデアルの外側になる。(掛け算について閉じている。)
整数環Zで言えば、(0)、(2)、(3)・・・(p)・・・が素イデアルになります。極大イデアルとの違いは(0)があるかないかだけ。

えっ!?じゃあ極大イデアルと素イデアルって、あんま違いないんじゃねえって思っちゃうんだけど、そうではない。多項式環(代数関数)を考えると事情が異なってくる。

・極大イデアルと素イデアルの違い
(x-1)と(y-2)がイデアルIに属するとすると極大イデアルは、
  { (x-1) h(x,y) + (y-2) g(x,y) で書ける多項式全体 }
となり、一点(1,2)から生成される。

一方素イデアルの方は、(x-1)(y-2)がIに含まれていれば、(x-1)、(y-2)の多項式の少なくとも一方がIに含まれるということだから、多項式がばらけるかばらけないか(既約性)に関連している。

だから多項式環で考えると、極大イデアルと素イデアルは、そもそも全然違った概念だということが分かる。

【参考文献】
・「抽象代数への入門」(永田雅宜著)
・「数学は世界をこう見る」(小島寛之著)
を読んでちょ。
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1 コメント

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Unknown (Shang)
2018-10-12 14:08:04
公理を説明されてもさっぱり分からなかったことがナカナカピエロさんの説明でストンと腑に落ちました。感謝!
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