チームは多様性が重要だから、個人の貢献をよく見るのが大事という話
team-diversity
この記事はチームの強さは多様性に関係しているという話と、個々人の長所をよく見ることが大切だという組織の話だ。私たちは誰がどのくらいチームに貢献しているかを明確に計る手立てをもたない。もたないからこそ、仲間の価値をうまく計れずに「仲間がもたらしてくれているもの」を簡単に見失い、愛情を忘れ、うまく力を合わせることができなくなる。
この問題を解決する、炭鉱のスカブラという役割の話をご紹介する。
チームには多様性が必要で、それをよく見るのが大事
目立たない人はチームの成果に貢献していないのか
素晴らしいチームのことが語られるとき、たいていはその中心となった誰かのことが大きくクローズアップして語られる。たとえばそれはフィル・ジャクソンのようなコーチだったり、マイケル・ジョーダンのようなスター選手のことであったりする。彼らのような見栄えのする、誰もが認めるような中心人物が、成果を掴むのに大きな原動力になったとして大きな評価と名声を手にする。
また一方で、縁の下の力持ちのようなプレーヤーにも、照明はしっかりと当たる。バスケットボールではリバウンド多くとるようなデニス・ロッドマンや、素晴らしいディフェンスを見せるスコッティ・ピッペンのようなプレーヤーも、確かに勝利に貢献していると認められる。多くの人が、ジョーダンだけではなく、彼らのような選手がいなければ優勝は不可能だったと口を揃える。
私たちバスケットボール選手は、チームの勝利には様々な要因が必要であることを知っている。そう、シュートを決める選手ばかりでは試合に勝利することはできない。ボールを運ぶもの、身体を張るもの、スクリーンをかけるものがいて、はじめてチームに勝利がもたらされる。
チームの中には多様性が必要だ。画一的な特徴を持った個人を揃えるのではなく、それぞれの長所をうまくチームの活動に生かすことで勝利は達成される。ここまでは多くの人が同意するだろう。
では、ここにシュート力もなく、ドリブルも下手で、身体的にも恵まれていない選手がいたとする。私たちは彼のことをチームの中でどのような位置づけで見ればいいのだろうか。彼はお荷物となってしまう存在なのだろうか?
スカブラの役割を見る目
多様性が大切ということを知りつつも、私たちが他人を評価する目というものは、自分が思っているよりもずっと当てにならないものだ。本当に誰が勝利に決定的に貢献しているかについて、私たちのほとんどは見る目がない。こんな話がある。
スカブラという職業を知っていますか?
昔、まだ九州で炭鉱が盛んだった頃の話です。10人の炭鉱マンが3勤務交代制で、石炭を掘っていました。勤務が終わると、炭鉱マンたちは、トロッコに乗って炭鉱から出てくるのですが、そこにはなぜか11人の炭鉱マンが乗っています。そして、その中の1人だけ、汗はかいていないし、服はあまり汚れていない。そして、ニコニコと笑っているのです。
この男こそ、「スカブラ」なのです。
スカブラは、石炭を掘りません。炭鉱の中で、エッチな話やおもしろい話をしたり、みんなにお茶を出したりしているのです。これが仕事なのです(笑)
このようにスカブラを採用して仕事をしていた九州の炭鉱会社でしたが、日本のエネルギーが、石炭から石油に代わっていくのに合わせて、会社も傾いていきます。
すると当然、リストラの話になるわけです。役員たちは話をします。当然、「何もしていない”スカブラ”からクビを切ろう」という結論になります。
そして、スカブラをリストラし、10人の炭鉱マンのみが、炭鉱の中に入って行くようになりました。
その結果どうなったか?
作業効率が大きく下がりました。スカブラがいなくなってから、今まで同じ時間でやれていた仕事が、全然できなくなってしまったのです。そして、炭鉱マンたちの人間関係もギスギスしていったそうです。
引用ページ:東日本大震災で「ユーモア」が許されないこの緊張状態は危険 ‐ 岩崎聖侍
この役員たちはスカブラの価値を計れなかった。これはチームの働きに誰が貢献しているかを見極めるのが難しい典型的な例だ。
例えコートの上で実力を発揮しなくとも、チームの活動には様々な舞台がある。ベンチでも応援席でも、練習中でもマネージャーの席でも、結束を高めるための日常生活の中でも、いくらでもチームに貢献することはできるし、実際に多くの人がそうした形で輝かしいチームの成果に確かに貢献している。スカブラのように。
だが私たちのほとんどは、その貢献について見落とす、または低い価値しか認めることができない。ジョーダンの仕事と、ジョーダンのトレーナーの仕事を、ブルズの優勝についてどの程度の比率で貢献していたかという基準で、定量的な計測することはできない。そんなものを測る尺度は世界中のどこにもないからだ。
結果、私たちは自分の「見落とし」に気付かないまま、感情的に好きだったり目立つものに大きな貢献を見出す。あなたはおそらく「ジョーダンがブルズを優勝させた」という言葉に何の違和感も抱かないのではないだろうか。この認知は間違ってはいないが、そのほかの選手や球団関係者の貢献を無視している言葉だ。そしてこの認知こそが、私たちに仲間の大切さを忘れさせ、うまく力を合わせることができないようにさせる大きな原因だ。
チームの個人に価値を見出そう
私たちがチームのこと、チームの一人ひとりのことを考える時には、このスカブラのことをよくよく思い出さなければならない。人は「自分を取り巻く現象がなぜ起こったのか」という問いについて単純に考えすぎたり、すぐに忘れてしまうからだ。
チームには勝利が必要だ。だから一部の決定的な役割を果たす選手が非常に重要になることは否定できない。だがチーム内のスカブラを見落としたり、スカブラの価値を低く見積もることはチームの力を大きく削ぐことになるだろう。もしスカブラが炭鉱に背を向ければ、大きなものが損なわれることになる。
あなたはひょっとしたら、チーム内に気に食わない人を抱えているのかもしれない。真面目にやらない、ルールを守らない、実力がない、人にやり方を押し付ける、傲慢だ。だが感情的な気持ちは一時横において、その人が抱えるスカブラ的な価値があるかもしれないことに、もっと目を向けてみよう。その人なりにチームに貢献している部分が必ずあるはずだ。
NASAのトイレ清掃の担当者は、自分の仕事を問われて「人を宇宙に運ぶ仕事だ」と答えるそうだ。これは自分がチームにとって価値のある人間だと確信している人間の言葉だ。一人ひとりがこのような気持ちで活動できたら、チームはどれほど素晴らしいものになるだろうか。これがすべてのチームに愛の溢れたコミュニケーションが必要な理由だ。多様性を大切にするチームに、仲間の長所をよく知っている個人になろう。
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この記事はチームの強さは多様性に関係しているという話と、個々人の長所をよく見ることが大切だという組織の話だ。私たちは誰がどのくらいチームに貢献しているかを明確に計る手立てをもたない。もたないからこそ、仲間の価値をうまく計れずに「仲間がもたらしてくれているもの」を簡単に見失い、愛情を忘れ、うまく力を合わせることができなくなる。
この問題を解決する、炭鉱のスカブラという役割の話をご紹介する。
チームには多様性が必要で、それをよく見るのが大事
目立たない人はチームの成果に貢献していないのか
素晴らしいチームのことが語られるとき、たいていはその中心となった誰かのことが大きくクローズアップして語られる。たとえばそれはフィル・ジャクソンのようなコーチだったり、マイケル・ジョーダンのようなスター選手のことであったりする。彼らのような見栄えのする、誰もが認めるような中心人物が、成果を掴むのに大きな原動力になったとして大きな評価と名声を手にする。
また一方で、縁の下の力持ちのようなプレーヤーにも、照明はしっかりと当たる。バスケットボールではリバウンド多くとるようなデニス・ロッドマンや、素晴らしいディフェンスを見せるスコッティ・ピッペンのようなプレーヤーも、確かに勝利に貢献していると認められる。多くの人が、ジョーダンだけではなく、彼らのような選手がいなければ優勝は不可能だったと口を揃える。
私たちバスケットボール選手は、チームの勝利には様々な要因が必要であることを知っている。そう、シュートを決める選手ばかりでは試合に勝利することはできない。ボールを運ぶもの、身体を張るもの、スクリーンをかけるものがいて、はじめてチームに勝利がもたらされる。
チームの中には多様性が必要だ。画一的な特徴を持った個人を揃えるのではなく、それぞれの長所をうまくチームの活動に生かすことで勝利は達成される。ここまでは多くの人が同意するだろう。
では、ここにシュート力もなく、ドリブルも下手で、身体的にも恵まれていない選手がいたとする。私たちは彼のことをチームの中でどのような位置づけで見ればいいのだろうか。彼はお荷物となってしまう存在なのだろうか?
スカブラの役割を見る目
多様性が大切ということを知りつつも、私たちが他人を評価する目というものは、自分が思っているよりもずっと当てにならないものだ。本当に誰が勝利に決定的に貢献しているかについて、私たちのほとんどは見る目がない。こんな話がある。
スカブラという職業を知っていますか?
昔、まだ九州で炭鉱が盛んだった頃の話です。10人の炭鉱マンが3勤務交代制で、石炭を掘っていました。勤務が終わると、炭鉱マンたちは、トロッコに乗って炭鉱から出てくるのですが、そこにはなぜか11人の炭鉱マンが乗っています。そして、その中の1人だけ、汗はかいていないし、服はあまり汚れていない。そして、ニコニコと笑っているのです。
この男こそ、「スカブラ」なのです。
スカブラは、石炭を掘りません。炭鉱の中で、エッチな話やおもしろい話をしたり、みんなにお茶を出したりしているのです。これが仕事なのです(笑)
このようにスカブラを採用して仕事をしていた九州の炭鉱会社でしたが、日本のエネルギーが、石炭から石油に代わっていくのに合わせて、会社も傾いていきます。
すると当然、リストラの話になるわけです。役員たちは話をします。当然、「何もしていない”スカブラ”からクビを切ろう」という結論になります。
そして、スカブラをリストラし、10人の炭鉱マンのみが、炭鉱の中に入って行くようになりました。
その結果どうなったか?
作業効率が大きく下がりました。スカブラがいなくなってから、今まで同じ時間でやれていた仕事が、全然できなくなってしまったのです。そして、炭鉱マンたちの人間関係もギスギスしていったそうです。
引用ページ:東日本大震災で「ユーモア」が許されないこの緊張状態は危険 ‐ 岩崎聖侍
この役員たちはスカブラの価値を計れなかった。これはチームの働きに誰が貢献しているかを見極めるのが難しい典型的な例だ。
例えコートの上で実力を発揮しなくとも、チームの活動には様々な舞台がある。ベンチでも応援席でも、練習中でもマネージャーの席でも、結束を高めるための日常生活の中でも、いくらでもチームに貢献することはできるし、実際に多くの人がそうした形で輝かしいチームの成果に確かに貢献している。スカブラのように。
だが私たちのほとんどは、その貢献について見落とす、または低い価値しか認めることができない。ジョーダンの仕事と、ジョーダンのトレーナーの仕事を、ブルズの優勝についてどの程度の比率で貢献していたかという基準で、定量的な計測することはできない。そんなものを測る尺度は世界中のどこにもないからだ。
結果、私たちは自分の「見落とし」に気付かないまま、感情的に好きだったり目立つものに大きな貢献を見出す。あなたはおそらく「ジョーダンがブルズを優勝させた」という言葉に何の違和感も抱かないのではないだろうか。この認知は間違ってはいないが、そのほかの選手や球団関係者の貢献を無視している言葉だ。そしてこの認知こそが、私たちに仲間の大切さを忘れさせ、うまく力を合わせることができないようにさせる大きな原因だ。
チームの個人に価値を見出そう
私たちがチームのこと、チームの一人ひとりのことを考える時には、このスカブラのことをよくよく思い出さなければならない。人は「自分を取り巻く現象がなぜ起こったのか」という問いについて単純に考えすぎたり、すぐに忘れてしまうからだ。
チームには勝利が必要だ。だから一部の決定的な役割を果たす選手が非常に重要になることは否定できない。だがチーム内のスカブラを見落としたり、スカブラの価値を低く見積もることはチームの力を大きく削ぐことになるだろう。もしスカブラが炭鉱に背を向ければ、大きなものが損なわれることになる。
あなたはひょっとしたら、チーム内に気に食わない人を抱えているのかもしれない。真面目にやらない、ルールを守らない、実力がない、人にやり方を押し付ける、傲慢だ。だが感情的な気持ちは一時横において、その人が抱えるスカブラ的な価値があるかもしれないことに、もっと目を向けてみよう。その人なりにチームに貢献している部分が必ずあるはずだ。
NASAのトイレ清掃の担当者は、自分の仕事を問われて「人を宇宙に運ぶ仕事だ」と答えるそうだ。これは自分がチームにとって価値のある人間だと確信している人間の言葉だ。一人ひとりがこのような気持ちで活動できたら、チームはどれほど素晴らしいものになるだろうか。これがすべてのチームに愛の溢れたコミュニケーションが必要な理由だ。多様性を大切にするチームに、仲間の長所をよく知っている個人になろう。
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