だいたいの小学校や中学校で、しかもたいてい最高学年の、それもたいてい男子が取り組む組体操。
ボクも小中それぞれの最高学年でやりました。
やりきったあとの達成感は何とも言えないものがあるし、そこに教育的な意義があるんでしょう。
が、そこに至る過程はどうか。
だって、きっついじゃないですか、体育の授業のほとんどをさいて行われる練習。
痛いし、苦しいし・・・って、これは体格良くて土台になる立場の意見ですが。
小柄でてっぺんになる人なんかはおっかないだろうし、間に入る立場の人はいろいろバランス取るのに苦労するだろうし。
なんで、そんな苦しい過程を経て本番に臨めるのか。
小中学生が、いくら最高学年とはいえ、一度しか経験しないものに対して、終わった後の達成感を目指して頑張るとは思えない。
で、思いつくのは、先輩の姿なんじゃないかと思うんです。
「昨年の組体操、かっこよかったな~」っていうあこがれや、
「俺たちも負けないぞ!」っていう反骨心とか。
そこだろうと。
ボクが中学2年の時、1年上の先輩である3年生は、組体操の最後に「伸身(前進?)ピラミッド」という大技を披露しました。
普通ピラミッドは、四つん這いの「馬」の積み重ねですが、「伸身ピラミッド」では、一番下の土台が、立位なんです。
立位の二人の上に普通なら一番下になる「馬」が作られ、16組ぐらいかな、そのうえにどんどんとピラミッドが組み上げられる。
で、頂点の一人を残して、なんとそのピラミッドが「せーの!」で前進。
グラウンドの幅一杯に広がったピラミッドが迫ってくる。
そして、中央にピラミッドが並んだところで、頂点マンが「せーの!」で下から投げ飛ばされる。
二人の投げ役に、まるでパチンコではじかれるように宙を舞い、頂上に着地し、決めポーズ。
全山成功!
これが鳥肌立つほどかっこよかった。
時は巡って自分たちが中3になりました。
昨年の大技のイメージが残るボクたちに告げられた、その年の最後の技。
それは・・・五段塔。
円形に陣取った人間たちを積み重ねる技。
それはそれで、バランス、持久力、チームワークが試される大技です。
ただ、前年に「伸身ピラミッド」を目の当たりにしたボクたちとしては、なんだか拍子抜けしたのを覚えている。
みんなそうだった。
で、どう思ったかというと、「前年より劣る技で、無様な姿は見せられない!」
やっぱり「昨年はすごかったのにね~」なんて言われたくない。
だからけっこう必死でした。
最初は失敗続き。そして誰かを責める。
でも、やっているうちに自分たちでも気づいてくる。
誰かでなく、みんながそれぞれで頑張らなきゃ。
失敗しても「ドンマイ!」みたいに励まし合うようになった。
そうなってくると成功が近づいてくる。
迎えた本番、途中バランスを崩しかけたボクたちのクラスの五段塔でしたが、声を掛け合い成功!
最後まで、「伸身ピラミッド」にはかなわなかった・・・という思いはぬぐえなかったけど、やりきった達成感やあのとき生まれた感動は何物にも代え難いものの一つだと思っています。
その五段塔を見た後輩たちがどう思ったかはわかりませんけど・・・。
教育的な意義や価値をねらう教育者の意図とは別に、先輩から脈々と受け継がれるあこがれや反骨心。
秋の運動会シーズンまっただ中。
今もどこかでそんなものが受け継がれているといいな。
そして我が子にも味わってほしい。
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