幻想色のない方の小説。細やかな事件とたよりない感情。ちりちりとした感じだけど、いたいわけではなくただ静かで寂しくてからっぽででも心地良くもあるそんな世界。登場人物たちがなにかしら川上弘美っぽさをどこか持っているような印象があっておもしろいな。
真昼の公園で。
夢を見る。
どんなにどんなに。
人がいても。
ぼくはひとり。
あなたもひとり。
喧騒の中。
耳を澄ませば。
聞こえてくるよ。
微かに。
確かに。
どんなことでも。
受け入れるなら。
疑うことは。
忘れるだろう。
僕の命なんかより。
人々が幸せで。
ありますように。
そろそろ起きよう。
影が伸びてる。
くっきりと。
地面に。