大ちゃん

　

　予想以上にふたりは、お互いを意識してたんだね
　昨日朝　散歩から帰っていつもなら早くしろと吠えて大騒ぎなのに
　無言でソワソワ、餌の食器を持っていっても怪訝な顔してる

　あっと気がついて、りんたろうは、ここよと安置してる台に連れて行ったけど
　動かないし、匂いだって違う
　違うよという顔をして、いつもりんたろうがいた場所を探し回っている
　
　大ちゃん、毎朝ここでりんたろうに会って、「やあ、」って挨拶してたんだね
　餌の時間は、並んで待ってたんだもんね
　素っ気ない挨拶、時々猫パンチも食らってたけど
　同じ高さの空間に暮らす仲間で、いるのが当たり前のアイツが、
　今朝は、なんでいないんだよって

　りんたろうは、今は、小さな包みの骨壺の中にいる

　

　大ちゃんは、今朝も少し変だった　吠えなかった
　何か、変だ　何かが足りない
　時々顔を見上げる

　吠えろ大ちゃん、煩くてもいいと私は思う

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