父が毎日のように相撲を見ている
よく出てくる言葉
「いなす」
私はこの言葉が大嫌いだ
アナウンサーが「いなしました」とかしょっちゅう言っている
数年前務めていたカフェで常連のお客様とおしゃべりをする私に上司が言った
「お客さんとしゃべらないでください。ウチはそういう店じゃないんで」
困った。最初、その店はお客様と店員が会話をする店だった
だから、その頃からの常連のお客様はそういう店だと思って通ってくださる
途中で店を仕切る上司が変わって、お客様の相手は自分やオーナーがするからアナタは黙って仕事をしろ。男性客ばかりがカウンターに座って、ここはコーヒーが飲めるキャバクラじゃないんだ
とまで言われた
「じゃあ、お客様に話しかけられたらどうすればいいんですか?」
とおたずねしたところ
「いなしてください」
と言われた
「いなす」って( ̄▽ ̄;)そんな言葉使う人いるんだな
意味
1.相撲で急に体をかわして相手をよろめかせる。転じて、相手の攻撃や追及を軽くかわす
2.かえらせる。よそへゆかせる
スゲー失礼じゃん
その後、ケーキの製造スタッフとして働いていた私に「今後ケーキは外から買い入れる事にしたのでケーキは作らないでください」
と言われた
さらにその数日後「渡辺さんはコーヒーの淹れ方が間違っているので今後コーヒーは淹れないでください」と仕事を取り上げられた
それでも私が店を辞めようとしないので「今後、スタッフ全員で仕事を配分すると1日3時間しか来てもらわなくてよくなりますけど、それでもウチで働きますか?」
と兵糧攻めのような条件を出された
「1日3時間勤務」これは、リーマンショックの時に勤めていた会社でも人員削減の時に言われた条件だった
人を辞めさせたいときの常套手段なのだろう
私が母子家庭で子供を育てていかなければいけない境遇を知っての暴挙である
これでは生きていけないから辞めざるをえない
自分たちが困った時は「お願いします。もう頭を下げる事しかできません」とすがるような事を言っておきながらいきなり手のひらを返されたのだ。今まで無理してでも頑張ってきたのはなんだったのだろうと気が抜けてしまい、店を辞めた私にうつ病の診断が下った
いなされた当時のお客様はもう常連ではないだろうな
「いなす」という言葉を聞くたびに、あのイヤな店とイヤな上司を思い出す