人の紹介で工場へ勤めはじめた僕は
電気課という所で働いていた
仕事はソニーのブラウン管の
偏向コイル(DY)の検査、
真っ暗な部屋の中、
一日中、何百個も流れてくる
単純作業が苦手で時計ばかり見ている僕には..
かなり苦痛な仕事だった
☆*****☆
そして何ヶ月か過ぎると..
第一次オイル・ショックが起こった
会社の雰囲気も一変して
昼休みも、十時、三時の休憩時間も
工場内の蛍光灯はすべて
消されるようになった
二ヵ月後、僕は二交代制の
電線課に移動になる
朝八時から夜八時まで
夜八時から朝八時まで、厳しい12時間労働、
ただ夜の勤務には3時間の仮眠がとれた
すぐに寝付けない僕は
密かにポケットウイスキーをしのばせ
寝る前にガブ飲みして寝ていた
ところがある夜、「誰だ、酒を飲んでいる奴は..。」
「プンプンにおうぞ..。」先輩にバレた
でも 僕は寝たふり
「グーグー、グーグー、」「ガーガー、ガーガー、」
☆*****☆
オイルショックの影響でますます業績は悪化、
僕はモールド課へ移動になり
勤務も三交代制になった
朝五時から午後二時まで、
午後二時から夜十時まで
夜十時から朝の五時まで..
仕事は射出機のプラスチック成型
製品の検査と箱詰め..
これも慣れたら気楽な仕事だった
ただ昼と夜の感覚が次第におかしくなってきた
「やっぱり人は夜寝ないといけない」と
ララミー牧場にあこがれていた僕は
家の畑で牛を飼おうと考え
仕事を辞めてしまった...