coco ノート

ロッキーと行く
不思議な空の旅...♪

そんな時代かありました。<シンデレラの靴>

2016年03月15日 18時50分55秒 | Photo diary


18歳の春、僕の勤めていた会社に
シンデレラがやってきた

素敵な彼女の笑顔は
平凡な僕の暮らしをバラ色に変えた

 ☆*****☆

毎朝 ぎりぎりに
黒塗りの車で彼女は現れた

いつも送ってくる男を
「だれ、あの人、」僕が聞くと

「いとこだよ。」
そう 笑顔で答えた

毎日 会社で会うだけだけど
僕はとても幸せだった

☆*****☆

そして夏が来て
二人で海へ行く約束をした

ところが
約束の時間になっても彼女は現れない

二時間過ぎても
四時間過ぎても現れない

仕方なく、
あきらめて帰る途中の駐車場で

大きな花束を
男から手渡されている

まるで映画のようなシーンを
見てしまった

 ☆*****☆

翌日、会社で
そのことを問い詰めると

「あー、あれ、いとこだよ。」
「昨日、私の誕生日でお祝いしてもらった帰りだったの..」

「会う ? いっしょに行こう..。」
「うん。」

彼女の後からついて行くと
その店は不良たちのたまり場だった

店内は前が見えないほどのタバコの煙、
彼女はみんなと知り合いで

笑いながらいろいろ話していた
そして、男のところまで

僕を連れて行くと
「いとこ」と言って紹介した

男は少し怪訝な表情を浮かべたが
僕はすっかり信用していた



 ☆*****☆

数日後、その男から電話が着た
「なんで電話したかわかるよな。」

「えっ、わからないです。」
「わからない・・」

すると男は荒々しい口調で
「とにかく出て来い。」と言った

喫茶店に入ると男が待っていた
少し酒に酔っているみたいで

「俺たちはもう三年、付き合っているんだ。」
「カラーン。」

そのとき 入り口のドアが開き、
彼女が笑顔で入ってきた

すると男は 立ち上がり
「パシッ、パシッ」いきなり彼女の頬を平手打ちした

泣き出す彼女、
「やめてください。」

「分かりましたから..」
それだけ言って僕は店を飛び出した


そんな時代かありました。<ある日、突然>

2016年03月15日 10時34分43秒 | Photo diary


僕が始めて家を出て
一人、アパートで暮らし始めたのは18歳の春でした

家賃3000円、六畳一間、風呂なし
水道、トイレは共同、

両隣の部屋は大学生、
二人とも県外の人でした

はじめ僕は気づかなかったのですが
斜め向かいの部屋に

若い女の人が一人で
住んでいたんです

たまに廊下であったりして
挨拶をしていましたが

ある日、僕の部屋に
遊びに来たんです

「コンコン、」
「お邪魔して、いいですか。」

「はい。」
そして少しばかり並べてあった本を見て

「へぇー、これ借りていいですか?」
「ええ、いいですよ。」

自分のことは何も言わないで
僕のことも何も聞かずに

本を持って部屋を出て行った彼女、
その翌日、

すごい怒鳴り声がして
廊下へ出てみると彼女の部屋でした

少し年の離れた男が彼女と
言い争っていました

 ☆*****☆

「昨日、変なことが無くてよかった」と
僕は胸をなでおろしました

男が父親だったのか
怖い人だったのか分かりませんが

その日から彼女はいなくなりました
貸してあげた僕の本といっしょに..


そんな時代かありました。<僕らの廃油ストーブ>

2016年03月15日 09時20分43秒 | Photo diary


鉄工所をやっている友達が
運転免許停止になって

失業中の僕は
手伝ってやることになったのです

 ☆*****☆

真冬の鉄工所は凍るくらいに寒くて
僕が何とかならないかと言うと

オイル交換で出た廃油で
ストーブを作ろうと言う事になりました

鉄工所ですから
ストーブはすぐに作ったのですが

問題は廃油を流し込んで火をつけると
モクモクと上がる黒い煙、

外は白い雪景色だから、
余計に目立つ、

「そうだ、煙突を長くしてみよう。」
「あまり、変わらないな。」

黒い煙は相変わらずモクモクモク...
「煙突の途中に穴を開けてみたら..。」

「そこから空気を取り入れて
再燃焼させてみよう」

大成功、あの真っ黒い煙が
嘘のよう透明に変わった

「すごいよ。」
「これ、売れないかな...」

「廃油ストーブって、」
「それ、いいね。」

仕事をすっかり忘れて
甘い夢に酔う二人でした