

僕はてんぷらうどんが大好きで
よく食べていた
その日も いつものように食べると
胃の調子がおかしくなってきた
「このうどん、何か変なものでも
入っているのかな...」?

なんて考えていた矢先、胃の痛みで入院、
胆嚢炎と診断された
15日間の絶飲食、毎日、24時間の点滴
ベースになる針を打ち込んでおいて
そこへ点滴をつなぐ
ただずっと同じ場所だと血管に問題が起こるので
三日で針の場所をかえる
これがやたら痛い、
下手なナースにやられると
二回もやり直しをして、
「すみません。」「もう一度いいですか...」
「もう 勘弁してもらえませんか。」
☆*****☆

担当の内科の医師はとても優しい人で
ただ いつも手術を勧めるので
僕が薬で治したいというと
ある日、加藤清正みたいな 怖い外科医を連れてきた
「ナースから麻酔をして寝ている間に
すぐに終わってますよ。」と言われたと話すと
医者は急に怒り出して
「去年この手術で全国で何人亡くなっているか知っていますか?」
「七人ですよ。」
「そんな簡単なものじゃないんた。」
僕はこの時 完全に迷いが消えた
「手術は やめよう。」
すると取り調べの刑事みたいに 外科医は急に優しくなり
「天ぷらそば食べたくないの...。」
「手術をすれば食べられるよ。」
天婦羅そばで手術に誘ってきた
「そんな誘惑に負けるものか...」
「僕は一生食べませんから...」そう きっぱり言うと
医者は無言で病室を出て行った
あれから 二年、
天婦羅そばも 天婦羅うどんも
僕は一度も食べていないのです...
ただ お酒はこの頃
ちょっとだけ飲んでいます...
