19歳の秋、僕は豊橋の寮から
毎日一時間 電車に乗って浜松のお店へ通勤していました
その頃はいつも金が無くて(今もないですけど..)
唯一 ネクタイを友達のと交換しながらしていたら
「ネクタイ たくさん持っているんだね」と
女の子に言われて嬉しかったのを覚えています
夕方になると赤いリンゴを一個買って デパートの屋上で
夕陽を見ながら食べていました
☆*****☆
その店には、女の人が二人いて
可愛いほうの人が結婚して辞めるので変わりに僕が入ったのです
逆ならいいな、なんて失礼なことを思ったり
でも 逆だったらこの事件は起こらなかったのです
いっしょに働いている女の人を目当てに
毎日やってくる目つきのよくない男がいました
女の人はその男には全く興味がなく
あまりそっけないので可哀相なくらいでした
ある日、その男が僕の誕生日を祝ってやると言って
「何が飲みたい」と聞くから
僕がジンフィーズが好きだというと
「そんなもん 何倍でも飲ましてやる。」と
本当に6杯も飲ませてくれました
それからも昼飯をおごってくれたり、遊びに行ったり、
☆*****☆
すると年末に「これ年が明けるまで預かってくれ。」と
男から包みを渡されました
なんか嫌な感じがして 断りたかったのですが、
「一週間ぐらいだから いいか」と預かってしまったのです
寮へ帰って、包みの中をのぞくと短刀が入っていて、
「うわっ」慌てて押入れの奥へ押し込みました
年が明けて 男から連絡があって持っていって渡すと
翌日に「おい、預けた物と品物が違うぞ。」
「お前、変えただろう。」「変えてません。」
「説明に行くからお前もいっしょに来い。」
男とその男に会いに行くと
「一週間だけ待ってやるから二人で何とかしろ。」
男は短刀を手に入れるように言われ金を受け取ったが使ってしまい
デパートで玩具の短刀を買って それは渡せないので
僕に預けて品物が変わったのは
俺のせいじゃない....と一芝居うったのでした
☆*****☆
僕はすぐに浜松を後にする決心をしました
いろんな人と出会えた街、、
寮の友達にも別れを告げて
ひとり最終の新幹線に乗ったのです ..