
失業中の僕らはよく
「会社が作れたらいいな..」と話していた
ある日、新聞広告で
ミミズの養殖募集の記事を見つけた
説明会を聞きに松本まで出かけていくと
会場は人であふれていた
「やりたい人がこんなにいるんだ。」
でも もっと驚いたのは
入会金の28万円、
そんな金があったらここには来てないよ。
☆*****☆
数日後、今度は廃品回収の募集広告が
新聞に載っていた
友達と話を聞きに行くと
今度は僕らしか来ていなかった
多少の不安を感じながらも
話はすぐにまとまった
翌日、佐久の関連会社で一日研修
車に三人で乗って、
団地の中を「グルグルグルグル..」
声をかけられたら
新聞紙を受け取り化粧紙を渡す
そしてまた「グルグルグルグル..」
☆*****☆
翌日は「金属くず行商」の
許可を取りに警察署へ行き、
いよいよ 会社から車を借りて
出発、「緊張の一瞬..」、
「みなさま、毎度おなじみの
ちり紙交換車でございます。」~♪
「ぅわッ」かなり、恥ずかしい..
団地の中をグルグルグルグル..

でも この商売、思ったほどは儲からない
ガソリン代と化粧紙代をひいて
収入を二人で分けると
いくらにもならない....
それに雨の日は仕事にならないし
古紙を持ち込んだ時に
とにかく車がパンクするので
三ヵ月後、
「もう やめようか。」
「うん、やめよう。」
こうして 僕らの初めて作った会社は
つぶれたのでした
☆*****☆
この後、税務署から呼び出しが来て
現実の厳しさを 更に知らされた僕らでした
