熱帯果樹写真館ブログ

 熱帯果樹に関するトピックスをお届けします。

インド産マンゴウの生果実が輸入解禁になりました

2006年06月29日 | マンゴー
 農林水産省は、平成18年6月23日付け発プレスリリース「インド産マンゴウの生果実の輸入解禁について」によりインド産マンゴーの生果実が輸入解禁になったことを以下の通り発表しました。

 インド産マンゴウの生果実については、インド側からの輸入解禁要請を踏まえ、これまで科学的・技術的検討を行い、公聴会、パブリック・コメント等の手続を経て、病害虫の侵入のおそれがないことを確認したので、本日付けをもって、インド産マンゴウの生果実について、輸入解禁措置を講じることとする。

 

 インドにはミカンコミバエ種群(PDFファイル)、ウリミバエ(PDFファイル)といった日本には分布していない(根絶を終えた)果樹・果菜類を加害する害虫が分布してます。
 日本では、それら害虫がインドから輸入される農産物と共に国内に侵入することを防ぐため、植物防疫法第7条1項第1号の規定に基づき、上記の害虫の寄主植物の輸入を禁止しています。
 しかし、このたびインドでは、マンゴーを輸出する前に果実に蒸熱処理(飽和蒸気を利用し、生果実の中心温度を47.5℃以上で20分間加温することにより害虫を殺す処理)を施すことにより、ミカンコミバエ種群・ウリミバエを殺虫することを条件に、日本にマンゴー生果実を輸出できる様にしました(資料1:PDFファイル)。

 インドと言えば世界屈指のマンゴー生産国です。
 デルモンテの「豆知識/マンゴーの話」には、

 現在の、マンゴーの主な栽培地は、東南アジア、中南米、ハワイ、フィリピン、オーストラリア、西インド諸島、東・南アフリカ、エジプト、イスラエルと広い範囲にわたっており、たくさんの人々がマンゴーを食べています。
 中でもインドの生産量は飛び抜けており、インド国内のマンゴー果樹園を合計すると約100万ヘクタールにのぼり、全世界の生産量約900万tのうちの約65%を生産しています。代表品種は“アルフォンゾ”といい、これは最優良品種として知られています。

 

 といった具合にインドの凄さが書かれています。
 因みに沖縄県産マンゴーの生産量は、1,200t~1,800t程度です。

 そして、気になる輸入解禁されるマンゴーの品種ですが、

  ・アルフォンソ種
  ・ケサー種
  ・チョウサ種
  ・バンガンパリ種
  ・マリカ種
  ・ラングラ種

 の6品種とのことです(資料2:PDFファイル

 アルフォンソと言えば、これまでも加工品(缶詰等)が日本に輸入されていた様ですし、「カゴメ」のフルーツジュース「Fruit Morning」や「びっくりドンキー」のデザートメニュー「マンゴードリンク」で使用されている品種です。

 その他の品種は、あまり馴染みがありませんが、マンゴー大国インドから輸入されるマンゴーは1度は食べてみなければいけない気がします。
 しかし、インドマンゴーの収穫シーズン(輸入時期)が国産マンゴーと競合しているのが気になります…。
 頑張れ!国産マンゴー!


インド産マンゴーの収穫時期


「熱帯ドリームセンター」で熱帯果実展が開催されます

2006年06月24日 | イベント
 昨日、紹介しました熱帯ドリームセンター」において、夏休み特別企画として熱帯果実展・食虫植物展・ハス乗り体験会が開催されることが公式HPで発表されました。

 「熱帯果実展」は以下のとおり開催される模様です。

 開催期間:平成18年7月15日(土)~8月27日(日)
 開園時間:8時30分~19時00分
 内   容: 熱帯果実の実物展示と紹介
        最新の農業技術の紹介
        加工品の試食体験
                   など

 さらなるお得情報として、

 ○7月16日(日)は無料入館日
 ○以下の記念日は特別試食会を実施
  ・7月15日:マンゴーの日
  ・8月 1日:パイナップルの日
  ・8月 7日:バナナの日
  ・8月 8日:パパイヤの日

 とのことです。

 夏休みは国営沖縄記念公園(海洋博公園)の「熱帯ドリームセンター」へGO!

熱帯ドリームセンターのマンゴーコレクション

2006年06月23日 | マンゴー
 「熱帯ドリームセンター」は、沖縄県内有数の観光スポットである「美ら海水族館」がある国営沖縄記念公園(海洋博公園)内にある植物園です。
 海洋博公園と言えば「美ら海水族館」があまりに有名なため、水族館とイルカショーの「オキちゃん劇場」だけで時間を使い果たし、満足して帰ってしまわれる観光客が多いと思われます。
 しかし、海洋博覧会記念公園には熱帯植物マニア垂涎の植物園である「熱帯ドリームセンター」やプラネタリウムや太平洋の島々の文化が楽しめる「海洋文化館」といったパビリオン(有料)や沖縄の古い民家が体験できる「沖縄郷土村」や植物に関する書籍を集めた「みどりの図書館」や植物で作った迷路がある「熱帯・亜熱帯都市緑化植物園」等の無料で楽しめるスポットもあり、とても1日では遊びきれない程のボリュームがある観光&レジャースポットであることを忘れてはいけません。

 前置きが長くなりましたが、先日(6/19)に「熱帯ドリームセンター」を訪れる機会がありましたので、そのとき私が特に関心をもった内容をレポートします。

 私が関心をもったのは、「果樹温室」に並んだマンゴーの鉢物でした。



 80L鉢ではないかと思われますが、黒い鉢に入ったマンゴーの樹は結実しているものが少なくありません。
 しかも、これらのマンゴーはほとんど品種が違うではありませんか!



 鉢ごとにラベルが付いていましたので、どんな品種があったのか以下に列記したいと思います。

 1.ベッキー(Becky)
 2.エドワード(Edward)
 3.グレン(Glenn)
 4.ゴールデンリペンス(Golden Lippens)
 5.ゴールデンN(Golden Nugget?)
 6.ヘーデン(Haden)
 7.ケンジントン(Kensington Pride?)
 8.リリー(Lily)
 9.リペンス(Lippens)
 10.マグシマム(Magshamin?)
 11.オースティン(Osteen?)
 12.スピリット(Spirit of 76?)
 13.スプリング(Springfels?)
 14.バレンシア(Valencia Pride?)
 15.Van Dyke(Van Dyke)
 16.玉文(玉文1号?)
 17.アカキーツ、レッドキーツ(果皮の赤いキーツ
 18.ゴールデン(?)
 19.バール(?)

 カタカナ表記は「熱帯ドリームセンター」で実際にラベル記載されていた品種名ですが、その一部に?な部分があったので、括弧内に私が独自に「これではないか?」と思った品種名をアルファベット等で書いてみました。
 ?が書かれているものは、恐らくこれなんじゃないかな?という意味です。

 この他にも、より大きなコンテナで栽培され結実していたキーツ(kiett)と思われるマンゴーもありました。

 これだけのマンゴーコレクションが見られる植物園は、国内では他にないと思われます。
 まだ果実には紅がのっていないものが多い様ですが、これから1ヶ月程度はこのマンゴーコレクションを見に行くだけでも「熱帯ドリームセンター」を訪れる価値があると思いました。

ジャボチカバの分類について

2006年06月06日 | ジャボチカバ
 今回は珍果樹ジャボチカバについての話題です。



 沖縄におけるジャボチカバは、主に苗木販売、庭先果樹が中心とされてきましたが、最近ではあちこちから「結実したよ」との声が聞こえる様になり、少量ではありますが市場出荷もあった様です。

 沖縄では以前より少し身近になった感があるジャボチカバですが、その系統(品種)については詳しい説明、報告がなかなか見当たりません。
 ジャボチカバ苗を扱っている苗木屋さんによると、果実や葉の大きさ、結実時期等により幾つかバリエーションがあり、各タイプを呼び分けている様ですが・・・といった感じです。

 そこで、今回は私が所有している書籍に見られるジャボチカバの分類について以下に記します。
 まず、岩佐俊吉著「図説熱帯の果樹」では、ジャボチカバについて、

 ジャボチカバという名称は、多くの近縁種または実生系の一般名であるが、厳密には Myrciaria cauliflora Berg をさす



 とジャボチカバ総称説を掲載しています。
 しかし、多くの熱帯果樹関係の書物同様に本書ではジャボチカバの近縁種について詳細が書かれていません。

 その様な中で橋本梧郎著「ブラジルの果実」では、ジャボチカバを以下の3種に分類しています。

 ・ジャボチカバ Myrciaria cauliflora (Martius) Berg
 ・ジャボチカバ・アッスー M. jaboticaba (Veiloso) Berg
 ・ジャボチカバ・ミウーダ M. trunciflora Berg

 そして、ジャボチカバ・アッスーの説明文の中で、

 ジャボチカバと通称されるものには普通3種類あり、本種の外にMyrciaria cauliflora Berg, M. trunciflora Bergがそれである。



 としています。
 
 同著内で上記の3種類の特徴が色々と書かれていますが、外観的な特徴で一番見分けがききそうなのは、やはり葉の形です。
 また果実の大きさ、着果状態も重要な特徴となる様です(図参照)。

○葉の特徴
 ・ジャボチカバ:長卵形、円脚、短尖頭
 ・ジャボチカバ・アッスー:披針形、円~鈍脚、鋭尖頭
 ・ジャボチカバ・ミウーダ:披針形、両端は鋭形

○果実の特徴
 ・ジャボチカバ:中型(径2.0~2.5cm)、果梗が短い
 ・ジャボチカバ・アッスー:大型(径3.0~3.5cm)、果梗が短い
 ・ジャボチカバ・ミウーダ:小型(径2.0cm以下)、果梗が長い、3~10果が集合して結実


図:左からジャボチカバ、ジャボチカバ・アッスー、ジャボチカバ・ミウーダ


 沖縄でも大玉の果実を着けるジャボチカバを「アッスー」として売られている様ですが、今度葉の形状等が「ブラジルの果実」の記載と合致するか確認したいと思います。
 また、沖縄の苗木屋さんでは「大葉系」「中葉系」「小葉系」、「四季なり」等の名称でジャボチカバの苗が売られていますが、それについては「マリオンさんのジャボチカバ紹介ページ」に詳しい説明がありましたので、興味のある方はご覧になって下さい。

 他にジャボチカバの分類に係る参考資料を知っている方は、情報提供を宜しくお願いします。


○参考資料
 ・「図説 熱帯の果樹」. 2001. 岩佐俊吉. (株)養賢堂.
 ・「ブラジルの果実」.橋本梧郎.1978.熱帯農業研究センター・(財)農林統計協会.