熱帯果樹写真館ブログ

 熱帯果樹に関するトピックスをお届けします。

台風4号に対するパッションフルーツの被害対策と結果

2007年07月15日 | パッションフルーツ
 沖縄本島では、過去2年間(平成17年・18年)に直撃した台風がありませんでした。
 そこへ今回の非常に強い大型台風4号が襲来しました。

 台風4号が沖縄本島に直撃することがほぼ確定した7月12日(木)。
 私は、昨年秋から育てているパッションフルーツ2樹を始めとする趣味で栽培している熱帯果樹類の台風対策を行いました。
 今回は、収穫期真っ只中のパッションフルーツで行った台風対策とその結果をお伝えします。

 栽培しているパッションフルーツは、A樹(約3年樹で粗放垣根仕立て)とB樹(昨年11月に定植した立体垣根仕立て)の2樹です(写真1)。


写真1:パッションフルーツのA樹とB樹


 A樹、B樹は共に紫色種で、B樹はA樹から挿し木繁殖で殖やした株です。

 台風対策を行ったのはB樹のみです。
 まず高さ約1.5mに設置されている横枝の誘引パイプを高さ1m程度まで下ろし、次に農業用の防風ネットで垣根を覆い、ネットをパッカーや針金で固定しました(写真2)。


写真2:B樹の台風対策


 所要時間15分程度の簡易な対策ですが、風当たりが強くなければ、それなりの効果が期待できると思われます。

 そして、台風4号が沖縄本島に再接近した7月13日(金)。
 午前2時頃から沖縄本島は暴風域に入り、午前7時40分には台風の目が沖縄本島南部に差し掛かりました(図1)。


図1:午前7時40分の台風情報
(「気象庁」のサイトよりデータを抜粋・加工)


 午前中から正午過ぎまで強風と時折の大雨が降り、午後2時過ぎには一旦風が治まり、夕方から少し風が強まる、そんな印象の台風4号でした。
  夕方18時50分の台風情報を確認すると、台風の目は沖縄本島を縦断せずに、西の海上に抜け、このときには奄美大島の西側まで移動していました(図2)
 この後、吹き返しが想定されますが、沖縄本島北部地域では主に吹き始めが最も驚異となる時期だった言えそうです。


図2:18時50分の台風情報
(「気象庁」のサイトよりデータを抜粋・加工)


 一夜明け、7月14日(土)。
 気象台のサイトでは、7月13日の気象情報のデータが更新されていました。
 それによりますと、私が住む名護市では、正午付近で降水量が最も多く、風速も強かった様です(図3)。


図3:7月13日の名護市における1時間当たりの降水量及び風速、風向き
(「沖縄気象台」のサイトよりデータを抜粋・加工)


 また、7月13日の名護市における平均風速は17.2m/s、最大風速は28.8m/s(南東)、瞬間最大風速は50.9m/s(南東)、1日の降水量は216mmでした。

 この様に強烈な風が吹き、降水量の多かった台風4号の影響で、名護市内の各地で街路樹の太い枝が折れ、道路に散乱していました(写真3)


写真3:街路樹の太い枝が散乱する名護市内


 市内の惨状を見ながらパッションフルーツの栽培地に到着すると、B樹周辺のバナナは全てなぎ倒され、B樹に台風対策のために被せた防風ネットは剥がされ、葉の多くにも欠損が見られました(写真4)。


写真4:台風後のB樹


 肝心の果実の被害状況を確認しますと、落果している果実は36果中の5果(うち着色前の状態での落果は1果)と台風による落果は実質1果(3%)でした。

 次に特に台風対策を行わなかったA樹の様子を確認しました。
 A樹は垣根が歪み、葉は飛ばされ、貧弱な外観となっていました(写真5)。


写真5:台風後のA樹


 しかし、A樹も落果した果実は65果中の12果(うち着色前の状態での落果は2果)と台風による落果は実質2果(3%)でした。

 A樹、B樹共に、今後台風による風擦れ及び葉の欠損による品質の低下が見られるかもしれませんが、落果という形での台風被害は予想より軽微に済みました。

 台風対策の有無が被害量の差にならなかったのは意外でしたが、とにかく被害が少なくて良かったです。
 最後にB樹の垣根を台風前と同じ仕様に戻し、作業を終えました(写真6)。


写真6:垣根を台風前の仕様に戻したB樹



○参考サイト
 ・「気象庁
 ・「沖縄気象台