2009年12月22日に大宜味村で「フルーツシークヮーサー旬入り宣言」式が開催されました。
このイベントを行ったのは、北部地区シークヮーサー生産・出荷・販売推進協議会。
これまで、沖縄県産シークヮーサーは生産量の90%以上をジュースや製菓等の原料として使用してきましたが、最近ではスダチやカボスの様に酢の物用柑橘類として青果の販売も増えてきました。
そして、今年から完熟シークヮーサー果実を「果物として食する」という観点で消費を推進しようと高らかに宣言したのが当イベントの様です。
シークヮーサーと言えば、以前に種無しの「仲本シードレス」という品種紹介をしたことがありましたが、それ以外にも産地には様々な系統があります。
その中には「大宜味クガニー」「勝山クガニー」「伊豆味クガニー」等、「産地名+クガニー」と呼ばれるものがあります。この「クガニー」とは「黄金(こがね)」のことです。
クガニーの名称は、シークヮーサーの完熟した果皮色に由来しています。
たわわに実った完熟シークヮーサーは「黄金がなる樹」の様です。
シークヮーサーの生果は、温州みかん等とは違った、爽やかさ瑞々しさがあります。
是非、今年の冬は黄金色に熟したシークヮーサーを食べて、心に爽やかな「黄金の風」を呼び込んでください。
あと、私は参加できませんでしたが、同日に浦添市で当イベントと併せて福岡県の中村学園大学大学院の太田英明教授が、「生果(青果)としての柑橘とシークヮーサー:健康への貢献」と題して、シークヮーサーに豊富に含まれているノビレチンの機能成分に係る最新の研究成果等の発表を行ったそうです。
これまでに、ノビレチンは、マウス皮膚やラット大腸において発ガン抑制作用が確認された他、様々な効果があることが知られています(図1、表1)。
図1:これまでに知られていたノビレチンの主な機能性
(住、2007より抜粋)
表1:ノビレチンなどのポリメトキシフラボノイドの健康増進効果
(矢野、2000より抜粋)
今回はそれに加え、「近年では劇症肝炎の発症モデル動物において、シークヮーサー果汁の抑制作用が示され、その有効成分としてノビレチンが確認された」という発表もあった様です。
因みに、1果実当りの果汁中のノビレチン含有量は、今回紹介した生果で用いる系統(図2では「普通」)では、熟度が進むに伴い増加することが知られています(図2)。
図2:1果実当りの果汁中のノビレチン含有量の推移
(住ら、2005.より抜粋加工)
ノビレチンが豊富な黄金色のシークヮーサーを食べて、元気に新年を迎えましょう!
○参考文献
・「生果(青果)としての柑橘とシークヮーサー:健康への貢献」.2009.太田英明.講演会資料.
・「果実の機能性成分変動の解明」.住秀和.2007.シークヮーサー栽培講習会資料.
・カンキツ(シィクワシャー)の健康維持・増進効果.矢野昌充.2000.今月の農業 10月号 p.54-57.
・「シークヮーサーの果実肥大特性と果汁成分の推移」.住秀和・比屋根理恵・井上裕嗣・玻名城晋・宮城威・宮重俊一.2005.沖縄農業研究会;第44回(平成17年度)大会;講演要旨・総会資料;p.39-40.沖縄農業研究会.
○参考サイト
・「琉球朝日放送 報道部;冬の果物シークヮーサーを食べて:09/12/22」