東京都薬剤師会から発行されています「都薬雑誌」と云う業界雑誌があ ります。
「都薬雑誌」には、熱帯果樹の業界ではシークヮーサーの機能成分に係る研究で有名な指田 豊 先生(東京薬科大学名誉教授)により「漢方薬に使われる植物」という コーナーが連載されています。
「都薬雑誌」2012年1月号(第34巻第1 号)では、同コーナーでフトモモ科の「チョウジ」が題材として取り上げられました。
その記事の中で使われたフトモモの花と果実の写真を「熱帯果樹写真館」から提供しました。
写真2:写真の掲載状況
B5サイズ6ページからなる同コーナーには、以下に章が設けられています。
・フトモモ見る? ・チョウジ ・フトモモ科とその仲間 ・フトモモ属Syzygium と タチバナアデク属Eugenia ・名前について ・チョウジの原産地と中国、日本への伝播 ・香料貿易の主役 ・丁子の用途 ・丁子染めと防虫布 ・歯医者の匂い ・薬としてのチョウジ |
全体的に内容が濃く参考文献としても使えるし、読み物として面白いものでした。
特に私が面白いと思った内容を2つほど紹介します。
・フトモモ見る? より
所謂、掴みの章から。
薬学生はチョウジを生薬関係の授業で憶えなければならず、その際は「指示があるまで太もも見る(Syzygium aromaticum フトモモ科 Myrtaceae)」と学名や科名を語呂合わせするのだとか。
専門分野が異なると、聞いたことがない語呂合わせが生まれるのだと感心しました。
私は、今まで学名(特に種名)はラテン語の意味で憶えていました。
意味で憶えた方が好奇心が刺激される気がしますが、膨大な知識量を一気に暗記する学生さんに、そんな余裕ないですよねー。
私も学生時代に歴史の年号は語呂合わせで憶えていました。
それを歴史が得意な友人は「歴史は流れで憶えるもの。基点となる出来事から何年後に次の出来事が起こったのかを憶えた方が流れがわかって面白い」と指摘してくれましたが、当時の私はイラっとしたことを思い出しました。
・名前 について より
フトモモは中国名の「蒲桃(プータオ)」が沖縄で「フートー」となり、それが「フトモモ」に転じたと言われています。
それならば、「フートー=蒲桃」で桃が既に含まれているのに、「フトモモ」にしたら「蒲桃モモ」とモモが2回含まれているではないか!という お茶目な意見が書かれています。
確かに。
気づきませんでした・・・。
専門情報満載の記事の中に上記の様な雑学ネタと云うか、息抜きの箇所が設けられているところに感心しました。
流石、長年学生さんを相手に講義された上に、専門書を何冊も書いている方だな、と。
業界雑誌なので手にとる機会は少ないかもしれませんが、世の中には面白い情報が溢れていることを再認識していただければ幸いです。
○参考サイト
・「東京都薬剤師会」