カルメンはそもそもスペインが舞台ですが、今回はスペイン統治下のフィリピン・マニラ
が舞台でした。
スペインの傭兵としてマニラで雇われた混血の現地人ドン・ホセと
どこからともなく流れてきたジプシーの女カルメン、
スペインからやってきた闘牛士のエスカミーリョ、という設定。
それから、盗賊団はいなくてそのかわり、スペイン統治に反逆するレジスタンスが
からんでくる設定でした。カルメンは、崇高な理想のためにレジスタンスに加担して
いるのではなくて、金をくれるから、ぐらいの動機で一味になっているような感じ。
面白かったのは、原典版では全編フランス語なんですが、今回は、なんと
日本語とフランス語のミックス。設定に合わせてところどころ歌詞は替えてありました。
また、ギリシャ悲劇のような半円型の配置の合唱団(コロス)とモダンバレーの
ダンサー達が劇の進行役を引き受けていました。
歌手陣は力があり上手でした。エスカミーリョはいいとしても、相撲取りのような
ドン・ホセでした(声はとっても良かったんですが)。カルメンは、きれいな人で
イタリア人でしたが歌もフランス語のセリフも上手でした。
オケはアンサンブル金沢で、少数精鋭でしたが音も大きくクリアで素晴らしかったです。
演出としてバンダやカスタネットをオケの外で使うなど、音楽的演出が楽しかったです。
いわゆるグランド・オペラではなかったのですが、現代的な演出や挑戦が随所に見られ、
とても見ごたえがありました。コストパフォーマンスの良い公演でした。