羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

無機界と有機界を結ぶ微粒子の世界

2006年05月05日 21時08分57秒 | Weblog
 先月、新しい地球観に基づく生命の起源の仮説を書いた新刊本に出合った。
 生命は地下で発生し海に出たという仮説による物語である。
 本の名は『生命の起源 地球が書いたシナリオ』中沢弘基著 新日本出版。
 「生命の起源」といえば、誰でもが思い出すのはオパーリンである。このオパーリンが「生命の起源」を最初に発表したのは、昭和初期のことだった。
 当時の地球観では、もちろん「大陸は不動のもの」だった。
 しかし、1970年以降、「大陸移動説」、「プレートテクトニクス」が地球観を大きく変えた。
 著者は、生命の起源を新しい地球観から考える説を提示し論じている。
 詳しい話も概略もここでは書かない。ぜひご一読をおすすめしたい。
 
 無機の物質から有機分子から高分子、その高分子の組織化から生命は地下で発生して、海洋にでて適応放散した。その無機界と有機界をつなぐ物質として、著者が注目したのが「粘土鉱物」だった。

 そこで今日は、知人に紹介され、岩石・鉱物標本を先代から作って、学校に卸している方のご自宅を訪問することができた。
 ご主人は、無数にある岩石・鉱物の標本原材料の中から、粘土鉱物を選び出し用意してくださっていた。

 予想以上にたくさんの粘土鉱物を手に入れて帰宅した。
 それらの石は、お世辞にも美しいとはいえない鉱物ばかりである。
 崩れやすく微粒子がまとまた鉱物群、薄い板状にはがれる雲母など、十数種類の鉱物を分けてもらった。
 なんと3時間、粘土鉱物を前に、話を伺ったのだった。

 これらは『原初生命体としての人間』や野口三千三先生の晩年の語録を読み込んでいく大切な資料となってくれることは間違いない。
 これからじっくりこの問題を取り上げていきたい。

 同行してくれた野口体操のお弟子と一緒に帰宅し、しまってあった「鉱物標本100種」を見せした。この標本がつくられる現場を、さっき見てきただけに、標本に惹き付けらる横顔からは、今まで見たこともないくらい真剣な様子が伝わってきた。

「ものの力は凄い」
 彼の横顔をみながら、野口先生が「もの」「ことば」「うごき」を三つ巴で大切にされた意味を新たに感じていた。

 ひとつだけ石にまつわるエピソードをご紹介しよう。
 粘土鉱物のなかには、雲母がある。その雲母の仲間に「絹雲母」がある。これはものすごい微粒子で、化粧品に使われているのだそうだ。資生堂では、この絹雲母を大量に探していると聞かされた。
 そういえば化粧品の粉は、最近ますます微粒子になっている。
 こういった化粧品にこの絹雲母が混ざり合っているということは、もしかして「光にあたると肌が輝いて見える作用の働きがあるのかなぁ」なんて素人考えに取り付かれた。効果の真偽のほどは分かりませんが。

 本の副題にあるように、地球が書いたシナリオを展開しているこの本は、とても面白い。
 いよいよ6月はミネラルフェアが開催される。
 今年は、今までとは違ったイメージで、石に親しむことができそうな確信を得た今日の出来事である。
コメント (1)
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