羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

自然農法家・福岡正信ー粘土団子の世界ー

2006年05月15日 12時15分59秒 | Weblog
 5月14日日曜日の午後、NHK「こころの時代」、再放送を見た。
 自然農法家の福岡正信93歳「粘土団子世界の旅」だった。
 インタビューはディレクターでもある金光寿郎さん。

 世界各地の砂漠を緑化する自然農法60年の歩みを振り返った。
 93歳になってのご出演は、なかなか貴重な記録となるだろう。
 「いろは歌」に託して、粘土団子から見えてくる自然の真理をやさしい言葉で語っていく仕事が、現在の福岡さんの日常の大切な宗教的な勤めのようにお見受けした。

 粘土を団子状にしてそのなかに一粒の種を入れる。それを無造作にまく。すると芽が出て植物が育ち、それが増えて、緑の大地が回復する。
 詳しい話は、本を読んでみたいとおもっているのだが、ちょうど「粘土鉱物」に関心を向けている時期だけに、「粘土団子」の発想には、手を打つものがあった。

 生物圏と粘土圏が重なっていることの明確な証明だ。
 偶然にも17日に春秋社との打ち合わせがあるので、今日は、とりあえず福岡さんの本を注文しておいた。
 
 それにつけても柏樹社が発掘した著者は、今になって注目されるようになったことに驚かされている。
 福岡さんの最初の著書『麦わら一本の革命』や野口先生の『野口体操 からだに貞く』『野口体操 おもさに貞く』、共著だったが『子どもの体は蝕まれている』では自然分娩の話など、20数年前では、早すぎたテーマの本を次々に出版していたのが、柏樹社だった。そこがなくなって主に春秋社が再版しているのだから。皮肉なものだ。もうすこし、会社が持ちこたえられていたら、今、脚光を浴びる本ばかりで、残念としかいいようがない。

 ところで金光ディレクターは、野口先生を最初にNHKラジオに登場させた方だ。20数年前から変わらない風貌で、70歳になられているとは信じられない若々しさだった。声の張り、聡明な頭脳、ひとつのテーマを追い続ける執念。こうしたディレクターを育ててきたテレビの時代は終わってしまった。テレビ創成期から生き残った数少ない名ディレクターである。
 
 柏樹社が行った「地湧きの思想」というレクチャーとシンポジウムで福岡さんにも金光さんにもお目にかかった。その本は金光さんが編集されたようなものだった。野口先生のお供で、2日間、貴重な勉強をさせて抱いた記憶が甦った。場所は確か市谷だったとおもうが定かではない。

 とにもかくにも「粘土鉱物」の生命の起源とのかかわりと、福岡さんの「粘土団子」は、偶然とはいえない必然の成り行きを感じつつも、やはり驚気を禁じえないのが正直なところだ。

 もうしばらく「粘土」「粘土鉱物」を追ってみたいと思っている。
コメント
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