ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

平成最後にあれこれ5

2019-02-20 12:57:00 | 日記
甲斐バンドの【漂泊者】が主題歌だった異色の学園ドラマシリーズ
通称「ナナハンドラマ」の第1話「ガラスの動物園」の冒頭で
熊谷(現・松田)美由紀さん演じる女子高生が、アングラ劇団の芝居でヌードになり
劇団の興行テントを包囲していた警官隊が突入した際に補導される


…というシーンがありましたが、これは唐十郎さん主宰の劇団「状況劇場」が
新宿中央公園に「紅テント」を設置し、約200人の機動隊員に包囲される中
公演を強行されたことがモチーフになっていると思われます


当時、出演なさっていた俳優の大久保鷹さんは
最後に唐さんが「強力な『エキストラ』がお助け下さり
こんな幸せなことはありません」と挨拶され、観客が沸いた
…と振り返っておられましたけど(笑)


その大久保さんと新宿のジャズ喫茶で知り合われた井出情児さんが
役者兼カメラマンとして唐さんのご自宅に住み込まれ
後に、甲斐バンドの写真集やライブ映像を手がけられたことはさておき(笑)


既存の劇場での演劇に閉塞感をお持ちだった唐さんが
寺山修司さんとサーカスについて話された時に
「テント」を思いつかれてから半世紀が過ぎ
ご子息でいらっしゃる大鶴義丹さんは「戯曲の設計図にテントが組み込まれているんで
劇場での上演では、雰囲気が合わないこともあるんです


どしゃ降りで浸水し、沼状態の控え室でメイクをしている時
こんな役者はいないだろうって思いました
観客との距離が近く、密に座っているので
巨大な生き物が横たわっているように感じます


テントの魅力は人間くささ
父も人間くささが大好きなんですね」とおっしゃっていて
また、長女の大鶴美仁音さんは「テント公演は究極のアナログ
だからこそ若い人には新鮮に感じられるのでは…」と分析なさってますが


甲斐さんが「サーカス&サーカス」や
「ローリング・サーカス・レビュー」といったツアー名を冠されたのは
まさしくこの「テント」で行われるショーや
街から街へと旅するサーカス団をイメージなさったんじゃないかと…?


でも、今や「現代サーカス」と呼ばれる新たな形…
猛獣や大がかりなテントを使わず
曲芸を軸にしながらも、演劇のようなストーリー性がある公演…が台頭しているらしく
日本でお馴染みの「シルク・ドゥ・ソレイユ」でさえ
「伝統サーカスの枠組みに近い」とされるほど
より芸術性の高いものを指すようです


フランスの劇場では、ダンス・芝居・サーカスという3本柱の演目が行われ
ポピュラーな習い事としても定着しているみたいで
ダンスファンからも、一般のダンスとは異なる
アクロバットの身体性に注目が集まっているんだとか…


一方で、日本では「役者の体温が伝わってくるような親近感が魅力」の
「大衆演劇」の人気も衰えておらず
「伝統と格式を重んじる歌舞伎が『大芝居』として芸能の中心になったのに対し
寺社の境内などで、小屋掛けをする大衆演劇は『小芝居』と呼ばれ」


出演者全員が登場する顔見せの舞踏ショーに始まり
人情劇、喜劇、剣劇など時代劇中心の演目を披露
座長の挨拶の後、休憩を挟んで、舞踏、歌謡ショーが行われ
いわゆる「お花」をつけて公演終了


座員総出で観客を見送る「送り出し」では、握手や写真撮影もOK…という
舞台上の役者さんと観客の距離の近さは
純烈の皆さんのステージに負けず劣らずですよね(笑)


ただ、ある意味「知る人ぞ知る」という存在だからこその「近さ」とも言える訳で
【HERO】以前の女性ファンの方の中には
メジャーになり、大きなホールで満員の観客に囲まれてライブを行う彼らから
離れてしまわれた方も少なくないみたいですし
ファンの心理って複雑なんだなあと…(苦笑)


ちなみに…「ドサ回り」の「ドサ」は、地方や田舎を蔑む俗語とされてますが
「小屋の中に雨が土砂のように降る」とか
「土に座る」といった語源が諸説あるそうです


九州では、派手な剣劇を中心とした熱演型の劇団が多く
関西は、はんなりとした舞台を得意とし
関東は、小気味のいいセリフ回しが特徴と
大衆演劇の三大地区によって違いがあるらしいんだけど


評論家の佐高信さんは…「大衆演劇には『堅気』でないアウトローが出て来ます
世間という荒波を乗り切るために
不幸な生き方を選ばざるを得なかったかも知れない彼らが
過酷な運命に立ち向かう姿に観客は共感するのではないでしょうか?


大衆演劇の役者には、社会から侮蔑され、白眼視されて来た者も多く
『権力に与したくない』という意地があり
観客は、一瞬の光芒を放つ凄みにスカッとし
『非日常』を生きている男たちに憧れるんじゃないかと思います」と評されていて
「アウトロー」を「漂泊者」と書かれた
甲斐さんの感性に通じるものがあるような気がします
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする