すばるに恋して∞に堕ちて

新たに。また1から始めてみようかと。

STORY.15 Little sister 前編

2009-02-01 21:44:30 | 小説
お約束の、妄想小説になります。

これを書いたのは、07冬。

妄想の種は、単純に、
すばる君とおかんのメール話と、
初恋の話。
それに、「妹」っていう、キーワード。

とりあえず、興味のある方は、続きから、どうぞ。




「あれえ???」


楽屋に響くメンバーの声。

バッグの中をごそごそ探していたかと思えば、
しきりに、ポケットを探り、

あげく、

机の上の書類やら、菓子の袋を引っ掻き回し、
鏡の前のメイク用具の中にまで手を突っ込んで、
なにやら、慌てた様子だ。


オレは、オカンにメールを打ちながら、
横目で、そいつを見ていた。


「なあ、俺の携帯、知らへん?」


自力では探せないと悟ったのか、
部屋にいた奴らに、片っ端から訊いて回る。


「また、携帯、あらへんのかいな」

「どっか、違うとこ、入れたんちゃうん?」

「最後に使ったん、いつやねん」

「いいかげんにしいや。ちゃんと探してみ」

「やって、しもうたやな」


メンバーのそれぞれに、散々なことを言われ、
頭を掻きながら、そいつは、オレのとこまで来た。


「なあ、ちょっと、おまえの携帯で、俺のやつ、呼び出してみてくれへん?」


オレが携帯を手にしているのをいいことに、勝手なことをほざく。


「ああぁ? なんでやねん。めんどくさいわ、そんなん。
 自分で探せや」


「ええから、やってみて。頼むわ」

「おまえの番号、この間、変わったとこやんか。
 入ってないわ、まだ」


「ほんなら自分でやるから、貸して」

「はぁあ???」

言うが早いか、そいつはオレの手から、携帯を取り上げた。

ヤバイ、と思った時には、もう、遅かった。


「あれえ? これって・・・」


画面を見るなり、そいつは、素っ頓狂な声をあげた。

オカンから送られて来た画像が、出っ放しやった。


「誰?」


判らんかったら、ええねん。


「返せって」

「この子、オレも知ってるコやんなあ? 見覚えあるもん」

じっと携帯の画像見ながら、首をかしげ、

「なあ、おまえも、知ってるよなあ?」

近くでストレッチしてたやつに、携帯を見せやがった。


待て!
何すんねん!!

ヒトの携帯、勝手に他のヤツに見せんなって。


「ええから、返せって」


オレは、携帯を、そいつの手から取り上げた。

急いでメール画面を切り替える。

ヤバイ、ヤバイ。

大体、オカンがこんな画像送ってくるから、ややこしいねん。


「それさあ、おまえの、幼馴染、だよな」


なんで覚えてんねん。
ヒト覚えのいいヤツって、嫌いやわぁ。


「結婚、したんやな」

「オカン同士が友達やってん。花嫁姿、見に行ったらしいわ」

「で、その画像、送ってきたんかいな。暇、やな」


画像送ってくるのに、暇もなんも、ないと思うで。


「でもさあ、オカン、知ってたんやろ?
 おまえらが付き合ってたん」



おまえが知ってるんやから、オレのオカンが知らんわけ、ないやんか。

大体、付き合うときも、別れるときも、
オレ以上に、オカンの方が大騒ぎしよったわ。


「なのに、わざわざ白無垢姿の画像送って来るって、
 厭味、やな」



オレのオカンやぞ。
ほっとけや。


「ええねん。
 コドモは、男ばっかしのオカンにしたら、
 友達の娘でも、自分の娘みたいなんやろ。

 ちっちゃい時から一緒に遊んどったし、な。

 言うたら、・・・なに? オレにしたら・・・妹、みたいなもんや」



妹、か。


そういいながらも、
オレには、ちょっと、胸の奥のほうに、引っかかるものがあったりして。


オレの記憶の始まりから、彼女は、存在してた。

それくらい小さい時から一緒に遊んでたし、
近くにも、おった。

そばにおるんが、あたりまえ、やった。

いかに早熟なオレでも、
恋ってもんを意識しだす前から、彼女はそばにおったんやから。

『おっきくなったら、オレの嫁はんになれよ』って、
ガキの頃の、お決まりの約束もした。

『ウチのん、アホやで。背ぇもちっちゃいし。ほんまに、ええのんか?』って、
オカンが彼女に言うて、笑ろうとったんを、覚えてるわ。

せやから、

別れたあとの不思議な感覚は、今でも、ずっと、残ったまんまや。

どっかで、なんか大切なもん、
置き忘れて来た感じがしてた。

オカンからの画像。
白無垢姿で、幸せそうに微笑ってる彼女の顔を見て、

「これや」って、思った。

この笑顔。

オレは、与えてやれんかったんやなぁ、って。

手に入れようと思ったら、手に出来てたはずやのに。

真っ先に思ったんは、それ、や。






後編へ続く。






コメントを投稿