公開メモ DXM 1977 ヒストリエ

切り取りダイジェストは再掲。新記事はたまに再開。裏表紙書きは過去記事の余白リサイクル。

書評 「日本経済はなぜ浮上しないのか」 片岡剛士(著)

2017-07-10 09:25:40 | 意見スクラップ集
追補2017.7.10

『日本の経常収支 35か月連続の黒字
7月10日 9時00分
財務省の発表によりますと、海外との貿易や金融取引などでどれだけ稼いだかを示すことし5月の日本の経常収支は1兆6539億円の黒字となりました。経常収支が黒字となるのは35か月連続です。nhk』


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以下は2015年1月の投稿(約31ヶ月前)経常収支の赤字について何ら悲観する必要などない。要は國のファイナンス能力が大切ということ。

貿易収支も経常収支も、その赤字は日本の稼ぐ力の減衰を表していない。すぐに解説されるこのことばは単純な事実。
しかしながら営々と受け入れないのが財務省に取り込まれた政府とその広報であるマスコミだ。
「 報道によれば、増税後2割落ち込んだ百貨店の売上げは約1割に復調し。。。 」
景気動向も事実を伝えてなかった。増税は最も避けるべき氷山だったが、突っ込んだのは安倍晋三だけではなく、国会議員のほぼ全員が望んだ税率アップだった。これも財務省に取り込まれた安易な選択だった。

弟子屈町川湯で33.9度/7月観測史上最高
対外純資産2年ぶり増 16年末349兆円、企業の海外展開加速
2017/5/26 9:10
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 財務省は26日、日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産残高が2016年末時点で349兆1120億円になったと発表した。1年前から2.9%増え、2年ぶりに前年を上回った。日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)といった海外展開が加速し直接投資が増えたほか、国内投資家の外国債券への投資も膨らんだ。

 麻生太郎財務相が同日の閣議で報告した。対外純資産残高は過去最高の14年末(363兆4090億円)に次ぐ大きさだ。日本は26年連続で世界最大の債権国となった。

 対外資産残高は1年前と比べて5.0%増加し997兆7710億円だった。国内企業の海外進出が盛んな動向を反映している。一方、外国為替市場で円高が進み、外貨建て資産の円換算額は目減りした。16年末の円相場は1年前と比べて対ドルで2.3%上昇、対ユーロでは5.9%上昇した。

 対外負債残高は6.2%増え648兆6580億円。海外投資家による日本への直接投資や債券投資の取得が押し上げた。

言葉柄上習慣として収支と書いているがこれはP/Lではない。キャッシュフローの瞬間記録だ。居住者と非居住者との間で、キャッシュの移動があるのは当たり前であるが、キャッシュインが競争力とは限らない。このような単純なことさえ無視できるのは、外為会計が見えにくく発表されていることと、日本の歴史に残る苦い教訓が影響している。

国民が資産を持たない弱小国だった日露戦争の頃の国富欠乏センスを残しているからだ。先立つものが無くて戦争ができなかった昔と、戦後インフラ投資できなくて世界銀行から借り入れた時代は確かに苦労した。米国の双子の赤字が言われ出した頃から、米国の衰退と貿易赤字を関連づける報道が増えてきた。
以上の通り、ファイナンスさえできれば収支の赤字は国難でも国の衰退でもないということは歴史が示す通りだ。最近では90年代の日本は経常黒字で財政赤字、つまり税収が伸びなかった。黒字だからどうだというのか。要はファイナンス可能なほど未来像を描けているかどうかということで、その点では企業経営と変わらない。

仮にアベノミクスの緩和政策と政府ファイナンスについて日銀のコミットメントに批判的な国の名前を並べて見れば、国民の知るべき日本の実力が理解できる。
ドイツ、中国、韓国、アメリカ。

ましてや、日本は債務国ではない。世界最大の債権国で、118兆円2位の中国に差をあけている。香港と合わせても、まだ中国とはロシア3ッ分ほどの差がある。
2013年末 各国の対外純資産
日本 325.0兆円 2016年末349兆円
中国 207.6兆円
ドイツ192.2兆円
スイス103.6兆円
香港  80.8兆円
ロシア 11.5兆円 (2012年)
カナダ  2.6兆円

英国   マイナス  3.7兆円
フランス マイナス 50.4兆円
イタリア マイナス 67.7兆円
米国   マイナス482.0兆円



マイナスというのは言うまでもなく対外投資よりも債務が上回っている国だ。日本は過去の貧しい国ではなく、投資の競争相手であるということはもちろん、アベノミクスが舵を切った日本の国富に基づく自前の競争力強化がこれらの四つの国に投資するグローバル金融資本にとって、アベノミクス以前よりも邪魔ということは、はっきりしている。米国は自国通貨で返済できれば良いので、ドルが紙くずにならない限り対外資産マイナスでも何ら問題がない。ギリシャの次の問題はイタリアだろう。

彼らにとって都合のいい最善の国は、身の丈以上に借入金を膨らまして、投資することでできたアブクが成長の証と信じるブラジルやアルゼンチンのような確信犯政府、最悪の政府は自国資源を収入源として独立して自国投資したシリアやリビアの旧政権である。
世界には彼ら流の「悪の」序列がある。さらにその国がいつデフォルトになるかということまで手の内にあれば、カジノとしての利用価値は高く、彼らは胴元の立場でギリシャなどの資源も産業もない国で場を立てては素早く消える。これが金融の自由化の最大の魅力な訳だ。裨益のためのチップの発明がユーロ、胴元はドイツときたもんだ。





アベノミクス緩和に批判的な前述の利害の異なる四カ国に共通する性質は世界の工場としての中国をしゃぶり尽くしたい国際金融資本の貪欲だ。中国政府すら中国国民を成長と開発の名のもとにしゃぶっている。あたかも清朝末期の状況に世界が戻って、日本だけが中国ゲームから抜けた状況と思えば良い。李鴻章の再来が習近平かどうかは分からないが、ちゃんと裏で秘密契約をロシアとの間に用意している点も、いつか見たような東アジアの情勢だ。まるまると肥えてから料理するのが彼らグローバル金融資本の流儀だから、仮に中国政府が公言しているように中国が金を10000トン備蓄したら、嘘だろうが、そこでドルゲームが終了し、ユーラシアが誕生するだろう。

昨年ドイツが金を米国やフランスから回収している動きも見逃せない。その時は、ドイツがユーロを捨てて、ロシアをブリッジとして上海機構を発展させユーラシア経済圏(地理的流通障壁の撤去)を創るかもしれない。ロシア中国の天然資源とドイツの工業力と中国ドイツの金地金と対外債権500兆円の担保力、ロシアの情報軍事力をつけた新通貨経済圏はEU以上に文化が違いまとめることが難しいが、ヨーロッパと中国を21世紀の新しいドイツロシア共和国の植民地とみれば、できないことでもない。それでも新通貨ユーラシアが世界の基軸になるまでには、まだイスラムの大きな問題が残っている。まずメルケルとプーチン、メルケルと習近平との間で交わされる会話に注意しておくべきだろう。

彼らにとって日本のように資源がないくせに何度戦争を仕掛けても人質の金品は出すが奴隷にならず、最初は平身して借り入れながら最後には自前のファイナンスで、投資リスクを選り好みして自前で調達。ハイハイとアブク金を借りない国民は存在することが許せない。なぜなら全世界の資産増加が自分たちの支配する賭場にだけ生じると予定されているのに、未だにそこに大きな穴があいているのだから。
故にTPPを試金石にして日本の仕組み自体が悪と世界に思わせるしかしかない。グローバル主義に逆らう行動は悪である。これを植え付けようとしているのが、マスコミの求める"逆らえば日本衰退構図の布教要請"に応じて"ブランド発言"するshoreらインチキ学者達だ。TPPのISDSは企業が政府を相手に巨額の賠償金を国内法ではなく国際仲裁機関を通じて提訴できる。国民国家否定の条約だ。


しかし国民は気づいてしまった。製造業の広い雇用創出に頼らなくとも、経済成長できる可能性と活路は自国内にあること。世界も気づいているから円による調達や決済を拡大して、日本国債を熱心に購入している。短期や五年ものがゼロ金利でも飛ぶように売れる。知らないうちに円決済を基軸とするグループが自然発生しているのだ。

日本国民は精神的鎖国をしてグローバル金融資本の賭場が自滅するのをしばらく静観したほうが良いだろう。
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