弓道八節の中の⑦「離れ」は、弓から矢が飛び出し、弓から「離れ」た後の姿勢のこと。弓を引く一連の動作は、「離れ」によって終結したのでなく、形でいえば「残身」ですが、精神・ココロで言えば「残心」です。これは、「離れ」の連続ですから、その姿勢を保ちながら、体は天地左右に伸ばし、眼は矢の着地点を見ていなければなりません。射全体のよしあしや射手の品格・風格は、この「残心(残身)」によって決まるといわれほど大切な所作です。
弓道八節の「残心(残身)」
またこの「残心(残身)」は、最後の場だけでなく、八節の一つ一つのつなぎ目にも起きています。次の動作に移るときの「間」 (ま)というか、「瞬間」のつなぎなのです。時間にしたら1秒かも、2秒かも知れませんし、100分の何秒かも知れません。この「間」を会得するには、同じ所作を繰り返し体験=稽古する必要があります。これをマスターするには、自助努力・自己啓発が基本ですが、指導者のアドバイス・助言を得ることにより一歩前へ進めます。
この的は「小的」(=近的)といい、直径36cm。
※ どの場所にあたっても、あたり!になります。
剣道や合気道、空手なども、この「残心(残身)」を大切にします。これは、それで終わったのでなく、次への構えなのです。茶道においても、すばらしいお点前は、「残心(残身)」が的確なのだと思います。自分を客観的に見えるようになると、更にバージョンUPすることでしょう。そのためには、常に初心に却って、稽古、稽古です。この「残心(残身)」は、芸ごと、各種スポーツ、日常生活などにも活用することができます。