11:00~、体育館のような会場で、多くのスペイン人の ホットな視線を浴びながら、真剣に花を生けているハカマ姿の 東洋人男性!の姿がありました。
まず、アーモンドの枝、次にグラジオラスをー。
きっかけは、総領事館を通して、日本人による「生け花のデモンストレーションをやってほしい」と、”ラス・パルマス生け花グループ”からの依頼がありました。当然のことですが、一つの花を生けるにはアレコレ構想を練り、神経を集中させます。所変われば花材も変わり、どんな花が手に入るか、また、ある程度スペイン人の好感度の生け花はどんなものか、シミュレーションの日々がー。
この催し物の流れは、まずラス・パルマス生け花グループの7人が生けました。某流派の生け花を基本に、剣山を使った本格的な日本の生け花です。全員生け終わった後、司会者が、どれが一番か順位を付けてくれ、という。流にとらわれず一つだけお気に入りのものがありましたが、「お客さんの拍手で決めたらどうですか!?」と、順位決めは辞退しました。
次にカーネーション➨アンシュリュームをー。
いよいよメインイベントであり、私にとっては本番です。持ち時間は20分、制作過程を日本語ができるスペイン人が解説していきます。内容は、総領事館にあった大振りのスペイン壺を借り、いわゆる「壺生け」です。このようなデモの場合、時間の配分と演出効果が必要です。何をどのように生けるかの構想はもっていますから、花材の種類や数も一定量しか準備していません。その中で、花をカットする場面をどこで、何回位するか、また準備してきた花材を機械的に生けていくのではなく、間を置き、試行錯誤の場も設定しました。
完成した生け花
生け花には、通例いわゆる「シン」になるものを使います。この壺生けにもシンに何がイイかいろいろ考えました。日本では生花店に行けばそれらしきものが売っていますが、スペインではナカナカ見つかりません。結果的には、この地ならではのアーモンドの大きな枝を使うことにしました。太くゴツゴツとした枝を勢いのある上昇線とし、その間に花や葉を生けます。花は、グラジオラス、カーネーション、アンシュリュームなどの花といろいろな葉をマス(=定まった形のない塊状)に使い、色の配置を考え更に立体感を出しながら生けました。
生けた花と記念写真
時間を見計らい、後片付けを終えアクシデントなく終了です。司会者が解説した後、大きな拍手があり、これが私のスペインでの作品の一つになりました。
※ フイルム写真をGoogleスキャナーで処理
しましたが、きれいにできませんでした。