第1章「一日3食しっかり食べる」「空腹の時間を作る」 どちらが長寿と健康をもたらすか”の「❶がん、糖尿病、心筋梗塞や脳梗塞。年齢を重ねるごとに食べ過ぎのダメージが大きくなる」を要約します。
(3) がん、糖尿病、心筋梗塞や脳梗塞。年齢を重ねるごとに食べ過ぎのダメージが大きくなる
❶ 一日3食は、気づかぬうちに食べ過ぎを招く
決まった時間に食事をするということは、一見健康そうだが、食べ過ぎに気付きにくいというデメリットもある。しかも、胃には伸縮性があり、食べた量に合わせてふくらむ。ふだん慢性的に食べ過ぎている人の場合、胃がふくらんでいることが当たり前になっていて、「本来、体が必要と要している量以上の食べ物も、どんどん受け入れてしまう。
❷ 食べ過ぎは、DNAや細胞をも傷つける
特に夜、食べ過ぎてしまうと、内臓が寝ている間も働かなければならず、睡眠の質を落とす。また、食べ過ぎは、体内の活性酸素が増す。ものを酸化させる力があり、それによって体内に侵入したウイルスや遺物などを殺菌・排除するが、一方で活性酸素の攻撃は、体内のDNAや細胞をも傷つける。活性酸素が増える原因は、ストレスや紫外線、ウイルスや細菌、毒物などの異物の体内への侵入、過剰な運動などの他に、食べ過ぎもその一つと言われている。
❸ ご飯や肉の食べ過ぎが、あなたの命を危険にさらす
食べ過ぎる人のほとんどの人は、ご飯や麺類、パン、甘いものなど、糖質の多いものや肉、油など、脂質の多いものをとり過ぎている。そして、糖質や脂質を過剰に摂れば、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールと呼ばれるLDL・コレステロールが増え、それが血管壁に付着する。その結果、血管が狭くなり、血流が悪くなる。そのため、①老廃物がきちんと排出できなくなり疲労や冷え、肌荒れが起きやすくなる。②血圧が高くなり、動脈硬化が生じて脳梗塞、心筋梗塞、脳出血、心不全などのリスクも高くなる。
❹ 脂肪細胞は無限に増大していくから恐ろしい
食べ過ぎの弊害として、「内臓脂肪」の問題がある。食べた物によって得られた糖質や脂質は体内で使われるが、余った分は、まずは筋肉や肝臓に蓄えられる。しかし、筋肉や肝臓の貯蔵スペースには限りがあり、あまりたくさん蓄えることができない。すると、エネルギーを中性脂肪に変え、脂肪細胞に蓄えてしまう。脂肪細胞は、柔軟性が高く、中性脂肪を取り込んで、もとの数倍の大きさまで膨れ上がることができるのである。肥大化した脂肪細胞からは、悪玉ホルモンが分泌されるようになり、糖尿病や高血圧、慢性遠炎症を導いてがんになるリスクも高くなる。
❺ 増え過ぎた脂肪が、血液やリンパの流れを悪くする
脂肪には、①エネルギーを貯蔵する、②体温を維持する、③内臓の位置を保つ、④外部の刺激から身を守る、⑤ホルモンや胆汁などの原料となる、⑥各種ビタミンの吸収を助ける、といった働きがある。脂肪が付き体重が増えると、足腰に負担がかかり傷めやすくなる。また、首周りの脂肪が増えれば気道が圧迫され、睡眠時無呼吸症候群に陥る可能性が高くなり、眠りが浅くなる。さらに、血液やリンパの流れも悪くなる。肥大化した脂肪が血管やリンパ管を圧迫すると、心臓に負担がかかり、高血圧や心不全、むくみの原因になる。
❻ 実は皮下脂肪よりもタチが悪い、悪玉ホルモンを分泌しやすい内臓脂肪
脂肪細胞には様々な体にいい作用を及ぼすホルモン(善玉ホルモン)を分泌しているが、脂肪が大きくなると、ホルモン分泌のメカニズムが狂って、善玉ホルモンの分泌が減る。代わりに、血糖値を上げ、糖尿病に関わるリスクを高めるホルモン、慢性炎症を引き起こし、がんや糖尿病、リウマチ発症の原因になるホルモン、血栓を溶けにくくするホルモンなど、体に悪い作用を及ぼす「悪玉ホルモン」の分泌が増える。すなわち、食べ過ぎることによって脂肪が過剰に増えると、悪玉ホルモンの作用により、糖尿病、脳出血、脳梗塞や心筋梗塞、がんなどの病気を発症するリスクが高くなる。
❼ 年齢を重ねるごとに、食べ過ぎのダメージが大きくなる
このように、一日3食の食生活、そして食べ過ぎは、体に大小様々なダメージを与える。しかもそのダメージは、①代謝が落ち、同じ量を食べても食べ過ぎになりやすくなる。②細胞の老化が進み、体内の各器官や血管がもろくなり、年齢を重ねるごとに、そのダメージがどんどん大きくなる。