トドの小部屋

写真付き日記帳です。旅行記、本や美術展の紹介、俳句など好きなことをつれづれに。お気軽にどうぞ。

羊と鋼の森

2016-10-18 16:03:34 | 
宮下奈都さんの「羊と鋼の森」を読みました。主人公の外村は、高校時代に体育館のピアノを調律しに来た板鳥という調律師のピアノの音を聴いて、衝撃を受けた。板鳥に「弟子にしてください」と頼んだが、板鳥は調律師養成学校を紹介してくれ、外村は2年間その学校で調律の基礎を学んだ。卒業後、板鳥が勤務している江藤楽器店に就職した外村は、しばらくは先輩の柳の仕事場についていき、見習い調律師として働き始めた。ピアノも弾いたことのない外村だったが、先輩調律師の柳についていった仕事先で、ピアノの上手な双子の姉妹の由仁と和音に出会う。彼女らのピアノの音色で、一般受けする華やかな音色の由仁のピアノでなく、和音のピアノが好きだというあたり、やはり外村は只者ではない片鱗を見せます。コンサートチューナーとしても活躍する板鳥のように調律ができる日をめざし、外村は研鑽をつむ。努力の人ですね。これは主人公、外村の調律師としての成長物語です。題名の「羊と鋼の森」はピアノ内部のハンマーがフェルトでできていることと、ピアノの弦が鋼だから。板鳥のピアノの音色のように、森の匂いがたちのぼる、森を感じさせるような音色をめざす山育ちの外村なのです。本屋大賞を取った本作はさすがに面白かったです。お薦めです。
コメント (6)
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