トドの小部屋

写真付き日記帳です。旅行記、本や美術展の紹介、俳句など好きなことをつれづれに。お気軽にどうぞ。

残り者

2018-02-05 22:29:36 | 
朝井まかてさんの「残り者」を読みました。時は1868年4月10日。大奥の主、天璋院が江戸城西の丸の大広間に奥女中170人余りを集め、江戸城を明け渡さなければならないこと、また官軍による江戸城総攻撃はない。ゆるゆると急げと言い渡して御座之間に身の回りの高価な品々を残したまま一橋家へ移ったのだった。奥女中の1人、天璋院付きの呉服之間でお針子として奉公していたりつも、城から退去しようとしていた。ところが、サト姫と名付けられた天璋院の愛猫が行方知れずになり、猫の名を呼びながら探し回っていたお蛸という御膳所の女中と遭遇する。早く城から退去するよう促してもお蛸は猫を探し続ける。仕方なく一緒に探し始めたところ、木に登ってしまったサト姫を木登りして救い出そうと、ちかという女中も加わる。さらに静寛院宮付きの京方の呉服之間でお針子をしていたもみじも長持に潜んで留まっていた。御中臈のふき、呉服之間のりつともみじ、御三之間のちか、御膳所の仲居のお蛸。女5人は大奥に残り者となって一夜を明かすことになる。真っ暗な江戸城大奥で長局に集まり一夜を過ごす5人。5人に奇妙な連帯感が生まれ、翌日、官軍の目を逃れ、隠れ部屋から抜け道を経て辛くも江戸城から抜け出す。徳川方にとっては驚天動地の事態だった徳川幕府の瓦解。こんなフィクションも楽しいなと思いながら読みました。
コメント (2)
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