池井戸潤さんの「下町ロケット」を読みました。主人公の佃航平は7年前、宇宙科学開発機構の研究員として実験衛星打ち上げロケットの開発に携わり、ロケットに搭載する水素エンジン、セイレーンを足掛け9年かかって開発し、種子島宇宙センターでロケット発射の現場に立ち会っていたが、打ち上げ後、異常飛翔が発生し、爆破を余儀なくされた苦い経験があった。今は家業であった小型エンジンを主力製品とする佃製作所を引き継ぎ、製品開発に注力して社長として業績を伸ばしてきたが、大口の取引先の京浜マシナリーから取引終了を通告され、おまけに同業者ナカシマ工業から特許権侵害で訴訟を起こされると言う窮地に陥る。別れた研究者である妻の紹介で技術面の知識に詳しく知的財産に絡む訴訟に辣腕を振るう神谷弁護士を紹介され、ナカシマ工業との訴訟に勝ち、窮地を脱することができた。ところが次は帝国重工という大企業から佃が持つ水素エンジンの技術特許の独占使用を条件にする契約を持ちかけられる。しかし、佃は目先の特許使用料に揺るがず、製品供与を申し出るのだった。それはロケットに自社製品を搭載すると言う航平の夢だった。池井戸潤さんらしい大企業対中小企業の対立の構図。中小企業の窮地を顧みない銀行。企業の中での人間関係など、前回読んだ陸王にも通じる内容でしたが、面白いので一気に読みました。タイトルが下町ロケットなので、ハッピーエンドが予測できますが。^^; 第145回直木賞受賞作です。
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