ギタリスト岡本博文 生徒諸君!

プロギタリストのリアルな経験談、本音を語って行きたいと思います。

歌手、の立場になる事

2009-03-20 08:05:44 | Weblog
ここのところ、ずっと考えている事なのですが。
インストの音楽をやるとき、ギターは、メロディーを弾きます。
たとえば、録音してアルバムを作るとき、
それは、歌手の立場になることなんですね。

最近、良い歌手と一緒にやることが多くなって
思うのは、良い歌手はメロディーだけで感動させてくれる。
いや、それだけなのが、ほとんどの歌手なんです。

その歌手が売れているのは、なぜか?
宣伝に資金をつぎこんだからか?美人だからか?
最近は、それもあるけど、本質的には
その人が歌うと何かが違うからですよ。たぶん。

ふと、自分がアルバムを出すときまで、長い事、
早くメロディーが終わることを考えてた自分が恥ずかしかった。

たとえば、ジャズアルバムを作るなら、
テーマ都合2コーラス(32小節×2)。
ソロは、2コーラスと考えれば、
ギターが、芯に立っている時間のほぼ半分は、テーマ、メロディー演奏。
ポップなアルバムに仕上げるならば、1コーラスもソロがない時も多い。
16小節とか。

そうなれば、普段ふんだんに練習したことを
それにどう凝縮出来るか、やはりそれなりの実力を問われる訳です。

思えば、30年以上前、ロックバンドからボーカリストを無くした、
ジェフ=ベックが、発言していました。

「うちには、ロッド=スチュワートという世界最高のボーカリストがいた。
彼以外のボーカリストを試しても、気に入らなかった。
それで自分が、メロディーを担当する事にした。
歌の代わりをどうすれば、自分が出来るか、実験を重ねている」

まだ、フュージョンが、ジャズロック、クロスオーバーといわれていた時代でした。

これにインスト業界で気付いていた人は、結構少ない。
あとは、マイルス=デイヴィスかな。


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