深度計予備回路

どこまで行けるか模型生活!
粘土でキャラドールの首をつくろう!
箱模型もつくろう!

SSの続き・・

2009-02-02 13:38:12 | ボトムズ不定期ショートストーリー
先週の続きです。なんか8000字超えました
昔編はこれでお仕舞です。
艦長は、村井国夫さん、副官は、おなじみカンユー広瀬さん
情報将校は、大塚明夫さんあたりでイメージしとります・・・・・・・・

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目が覚めた・・・・・

殺風景な天井が見える。

・・・節々が痛む身体を、ゆっくり起こす。

どうやら、硬い寝台に、着の身着のままで転がされていたようだ。


「どうなっただか、よくわかんねぇが、まだ生きてるみたいだな」グルグルと、首を回してひとりごちる。

無意識に身体のチェックを行うのは、長い年月で、身に染み付いた癖である。

(節々痛いが、骨折も捻挫も無い・・・・・頭は多少ぼーっとしてるが・・・・・動くにゃ問題は無いな)

改めて狭い室内を見回す。

どこか見慣れた内装と、床に響く鈍い振動、人工重力独特の感覚からして、どうやら、航行中のギルガメス艦の中のようだ。

船窓は無く、恐らく施錠されてるであろう入り口は一箇所、天井の隅には監視カメラを見つけた。

「起きたぞーーーー」くたびれた調子でカメラに手を振る。

事情が事情なら、速やかに脱走の準備に取り掛かる所だが、最早この際どうでもよかった。

ブーツを脱ぎ、素足になって、再びベッドに寝転がる。
腰のポーチを探ると、驚いた事に、タバコ道具一式が入ったままになっていた。

「おぉぅ サービスイイねぇ・・・・・」

潰れた箱から、一本取り出し、火をつける。
通常、宇宙軍規において、船内の定められた場所以外での喫煙はご法度である。

空気清浄機の音が大きくなった。

「そういや・・・・神の子・・・・どーなっちまったんだろうねぇ・・・」

タバコの長さが半分になった頃、前触れも無く、ドアが開いた。

逆光気味に立っていたのは、サングラスを掛け、ギルガメスの将校服を着た壮年の責任者らしい男と、恐らくその副官、銃をたづさえた護衛の兵士は二名。
ロイズは、タバコを指でモミ消し、ゆっくり立ち上がって、ギルガメス式の敬礼をする。

素足で、踵は鳴らない。

「こちらは、この艦の艦長、ボスコー大佐だ!!!」副官らしい男が、甲高い声でいう。

「はぁ・・・そりゃ わざわざどうも」姿勢を崩して頭を掻く

「貴様ぁ!!!!!!!!!」予測どうりに、殴りかってくる副官の拳を軽く避け、後ろに回りこんで、盾にすると、腰に下げられた拳銃を抜き背中に突きつける。

「!!!!!!!!!!!!!!!」兵士は、慌てて銃を構え、緊張が走る。

ロイズは、唇をゆがめて、副官の背中を軽く突き飛ばしすと、奪った拳銃をクルリと回し、グリップ向けて差し出す。

「あんたらも、仕事だろうけど、俺も少々くたびれてるんだ、この期に及んじゃ”協力的な捕虜”って奴で、やってくつもりだから、お手やわららかにたのむぜ。」

引っつかんだ拳銃を慌ててホルスターにもどしながら、睨みつける副官の視線をやり過ごす。

「ふん 面白い男だな、お前が、どこのどいつか知らんが、この艦で拿捕した以上、私たちにはその素性を知っておく義務がある、
そして”協力的な捕虜”で、ある以上、しばらく命の心配は必要ないと言っておく。」

「しかし艦長!こいつは!!」

「だまれロドバ 副官として、己の不注意を先ず恥じろ」と、艦長氏は、ぴしゃりと言い放つ。

「あーー ボスコー艦長に、ロドバ副官、非礼は詫びるぜ、話の通じる奴が責任者で正直助かったよ・・・・・クドイのとか痛いのは苦手なんでな」

「この時点で、まだ君の身分は民間人だから、軍人として極端な真似はしまいよ・・・まぁ、とり急ぎの疑問があれば聞こう」

「あ・・・あぁ・・・・・・・・     靴履いていいか?」寝台の横に転がったブーツに目をやる。

「構わんよ、履いたら付いて来たまえ、それと、わたしの艦は禁煙だ、注意してくれ。」艦長は、にやりと笑って言う

「へいえい・・・」モソモソと、ブーツを履き、兵士に挟まれるようにして、船室をでた。

軍艦特有の殺風景な、廊下を進みながら言う。

「ところで、この船はギルガメスの船だろ?どこに向かってるんだ??」

「いかにも当艦は、ギルガメス軍レスリオン級12番艦”アンダガーバ”、12時間前にクエント宙域を離れ、亜光速でメルキアに向けて航行中だ」
背中を向けたまま、ボスコー艦長が応える。

「俺は半日も寝てた勘定になるのか、そういや、クエントはどうなったんだ???」

「消滅したよ」

「は????」間抜けな返事をかえす。

「事情は解らんが、クエント星は、爆発して消えて無くなったのだ。」

「はぁ・・・・・・」さらに間の抜けた声がでる。

「宙域での、作戦を終えた、当艦が、メルキアに向けて転進している最中、貴様の乗ったシャトルが、クエント星から救命信号を出しつつ接近してきたのだ。
我々は、条約に則って、速やかに回収作業を行い、亜光速航行に移行した後40分を待たず、クエント星は爆発した。
作戦行動中だった、わが軍と、バララントの兵員はもちろん、あの星の住人、動物、全て星と運命を共にしたのだろう」

「神様も神の子も、木っ端微塵かぁ・・・」一同は、少々マシな調度で、飾られた一室に到着する、恐らくサロンだろうか・・・・・

「まぁ掛け給え、亜空間航行中は時間がたっぷりあるし、クエントの消滅を生き延びた貴様の話なら、退屈しないで済むだろう。」
垢抜けないデザインの、ソファーに、腰掛けたボスコーは、帽子を取って、サングラスを外す。

「そんじゃ、まぁ、遠慮なく」ロイズも腰掛、兵士は、入り口の両脇に移動した。
ロドバは、艦長の脇で、直立してロイズを睨んでいる。

「で?見慣れない耐圧服を着て、ギルガメスの敬礼ができる貴様の素性から、話してもらおうか????」
落ち着いた話し振りだが、目つきは鋭い、無駄に相手を威圧しない、この手の男は総じて油断できない。

「まぁ、親方も、組織も消し飛んじまった今となっちゃぁ、なんに遠慮もねぇ・・・っていうか、元々義理も恩もねぇ成り行きみたいなもんだから、
隠し立てしても、はじまらねぇ、俺の名前は、ロイズ=A=バッカニア、ご推察の通り、元々ぁ、おたくらのご同輩さ、
得体もしれず名前も無い、妙な組織に転属させられる前の、最終軍歴は”メルキア戦略機甲歩兵団特殊任務班X-1”・・階級は少尉くらいだったかな」

「ほぅ」ボスコーの眉が、軽く吊りあがり、ロドバの顔は明確に引きつった。

「まぁ、転属の流れは、ペールゼンのおっさん任せだったから、円満退役になってるのかわかんねぇが・・・
そういやぁレッドショルダーも、終戦前に消滅したらしいな・・・
まぁ、どうせ、俺の血液からとった、DNAは、情報部に、まわされてるんだろう? この線で照合すりゃ手間は省けるぜ」

「まだ結果は届いていないがね、メルキアに付く頃には、報告もあるだろう」

「とにかくいろいろあったさ、どっか始めたもんやらわからんが、長い話になるだろうから、喉が渇くぜ? 飲みもんくらいサービスしてほしいね」

「きさまぁ!!!!立場をわきまえろ!!!!!!」間髪要れず、ロドバが喚く

「まぁ良いさ、私も、喉が渇いていた所だ、アルコールまではサービスできんが、茶ぐらいは良かろう 今のところ、これは尋問では無いのだから」
ロドバが不承ながら、通信機でその旨をつげる。

「俺が転属した、秘密結社は、いろいろ興味の尽きないところさ・・・・・・・・・・・」
運ばれて来た、不味いコーヒーを片手に、ロイズは話始めた、重要ないくつかを、巧く省きながら・・・・・・







「ふーーむ 正直驚いたよ、恐らく、わが軍の情報部でも、結社について、ここまでの内容は掴んでおるまい・・・・」
3倍目のコーヒーが冷めた頃、ようやく話を終えた、ロイズを前に、ボスコー大佐は唸った。

「貴様!他に隠し立てしてる事はないんだろうな!!!!!!!」ロドバが甲高い声で凄むが、ロイズは肩を竦めただけだった。

「まぁ、俺も、あそこじゃ、一兵卒だから、しらねぇ事もたくさんあるさ」

「しかし・・・・両軍の、AT部隊を切り抜けるほどの腕前を持つ、「神の子」キリコ=キュービーとは何者なのだろう・・・・・」

「素性はしらねぇが、スカシタ態度で愛想のない餓鬼さ、
ただまぁ着てるもんは、ギルガメスの耐圧服だったから、調べりゃ解るんじゃないか?
ひょっとして、奴もレッドショルダーだったりしてな」冗談めかして笑ってみせる。

ボスコー艦長が立ち上がるのに合わせて、ロイズも立ち上がる。

「いずれにしても、面白い話だったよ、わたしは、以上の内容を報告書に纏めて報告することにしよう、メルキアに着いても、しばらく情報部が離してくれんだろうから、
今のうちにゆっくりしとくといい  ロイズ=バッカニア元少尉  協力に感謝する!」

見事な敬礼をするボスコーにつられて、ロイズも敬礼する、

  今度は踵が鳴った。




その後、船室に戻されたロイズが、亜空間航行を終えるまでの5日間、再び尋問される事はなかった。
翌日に、ちゃんと船窓のある、一回り上等な部屋に移されてからは、定期的に運ばれる、「恐らく一般兵士よりはマシな」食事を食べて、天井を見上げる日々。
退屈ではあったが、休息には丁度よかった、なにより元来は活動的なタイプでは無い。
酒とタバコが無いのは堪えたが、疲労が溜まった身体は、気を抜くと一日の大半を睡眠に費やす為、涙がでるほどでも無かった。

6日目の未明、サイレンと共に、通常空間にでるアナウンスが艦内に響き、かっきり10分後、
独特の感覚ともに、艦は「減速」したようだった。

船窓のシャッターが開き、見慣れた星空が広がる。
見知った、惑星メルキアが、思いがけず近くに見えた。

施錠されたドアを叩くと、小窓が開き兵士の目元が見える。

「あとどれくらいで着くんだ????????」

「あぁ、最終減速工程を入れても、明日の朝には着くだろう、ちょっと身体動かしとかんと、地面に下りたら堪えるぜ」
無駄話に付き合う程度の仲になった、兵士が応える。

(まぁ、どうなるもんやら、解らんが、船から下りたら、とんずらする手もあるだろうさ)
結社の耐圧服のベルトの裏に、隠されている、”ワイヤーソー”を、無意識に確認する。

自然豊かなメルキア星は、ギルガメスの主星であり、軍本部が置かれている。
大戦末期は、このギルガメスの喉元にまで、バララントの攻撃が及び、人工の大半を失う事となった。

予告どおりに、戦艦アンダガーバは、メルキアの軌道上に到着し、搭載された数機の着陸シャトルが、軍港に向けて降下を開始する。
その中には、ボスコー艦長達と同乗するロイズの姿もあった。

程なく、広い軍港の滑走路に着陸したシャトルにタラップが接続され、兵士に挟まれる形で、ロイズは地上に降りた。
光化学スモッグで、薄暗いとは言うものの、久しぶりに浴びる太陽と、地面の感覚は格別だった。

艦長と副官の乗るリトルパーサーを見送ったあと、後続の護送車に載せられたロイズも、軍港を後にする。

20分少々で、車は、大きな建物の前に着いた。

4人の兵士に囲まれて、ロイズは、エントランスをくぐり、ゲートを素通りする形で、そのままエレベーターに載せられる。
回数表示が、62になった所で、エレベーターは開き、広い廊下を進むと、立派なドアがある。

「ロイズ=バッカニアを護送いたしました」

返事の変わりにドアが開き、一同は、大きな窓が並ぶ、広く明るい部屋に進んだ。

立派な丁度が設えられ、厚い絨毯が敷かれた室内からすれば、高官向けのフロアーだろう。
窓に向かい、こちらに背中を向けて立つ将校服の男の他に、銃を持った兵士が6名。

「ご苦労・・・・下がりたまえ」将校服の男が、振り向かずに言うと、護送してきた兵士はきびきびと引き返す。

「ロイズ=バッカニア君 長旅ご苦労・・・・・もはや見当も付いていると思うが、ここは、メルキア軍情報部だ、
そこのドアをくぐった時から、君の存在は世界から消滅したと、考えて頂きたい・・・・この意味は解るな。」ロイズは、肩を竦める。

「おとろしい話は、ともかく、久しぶりの重力が堪えるんで、座らせてもらうぜぇ」
返事を待たずに、仕立ての良いソファーに、どっかと座る。

「惚けた男な、まぁいい、今日は私も、充分に時間を採ってある、お互い遠慮は抜きで行こう」
戦艦で出されたのとは香りが違う「本物の」コーヒーが運ばれてくる。

「で?こないだの長話で、大方ぶっちゃけたつもりだが、まだ足りないのかな???」

「ボスコー艦長の報告書は、仔細で、信頼に足る物だったし、ソースである、君の証言は”可能な範囲で”裏を取っている最中だ。
とりあえず、ロイズ=A=バッカニアが、本物だったのは確認できた、因みに、軍の記録ではレッドショルダーとして、死亡した事になっていたが・・・」

「ほぉ・・・円満退団だと、思ってたんだが、ペールゼンのおっさんは、やっぱし食わせもんだな」

「大佐も死んだよ・・・・君は、もはや数少ない、彼の忘れ形見かもしれんな。
 まぁそれはともかく、本人のDNAと、死亡と記された記録が一致しただけで、
君の身元を鵜呑みにするほど、この国の諜報部は甘くない ここで、君の身分がある程度保障されたのには、訳がある。」

ここで、始めて情報将校は、向き直った。

サングラスをはずしたその顔に、ロイズは見覚えがあった、

「あぁぁ?お前!ヘッジス!ヘッジスだな!!!!!!!!」つい腰を浮かせる。

「久しぶりだなロイズ、 メルキア軍情報将校 ヘッジス中佐だ、オロムでは世話になったな」
ニヤリと笑った顔の左側に残る、大きな古傷は目にまで達しているようで、左目を開く様子は無かった。

「運ばれてったまま、帰って来なかったからてっきり死んだと思ってたぜ! 出世しやがってこの野郎!!!」柄にもなく、駆け寄って肩を叩く。

ロイズと、ヘッジスは、オロムの前線で一緒の部隊にいた。
別段歳が近かったわけでも、気が合ったわけでもなかったが、あの酷い戦場では、だれもが家族同然だった。

バララントの絨毯爆撃でATを失ない、丸裸になったロイズは、重症を負ったヘッジスを背負って、15km先の合流地点まで歩ききった事があった。
格好の良い理由など無かったが「弾に当たったのが俺だったなら、こいつは俺と同じ事をしただろう」という確信だけはあった。

生命維持装置をつけられ、ヘリで運ばれたヘッジスは、二度と部隊に帰ってくることは無く、その数ヶ月後にロイズはレッドショルダーに転属した。

「命は取り留めた物の、左目を無くした俺は、情報部の内勤にまわされたのさ、
お前が、吸血部隊で血反吐吐いてる頃、運に任せて出世して、気が付きゃ、お偉い中佐殿だ」ヘッジスは笑ってみせた。

「お互い悪運だけは一級品ってこったな、とにかく情報部将校殿の、裏書が採れれば、俺は無罪放免・・・・・・ってわけにはいかねぇだろうな」
再びソファーに戻って、コーヒーをすする。

「・・・・・・まぁ、そういうことだ、お前の立場は二重に苦しい、秘密結社の生き残りで、レッドショルダーの生き残り、
逃げないように鎖に繋いで、死ぬほど自白剤を飲まてやりたいと思ってる奴は山ほど居るだろう」
ヘッジスはタバコを取り出して火をつけると、ロイズに箱を放った。

「もうちょっと、ソフトに言えねぇもんかね」ロイズも、一本取り出し、テーブルの上のライターで火をつける。

「ボスコー艦長から、お前の報告をもらったのが、俺で良かったよ、神に感謝するんだな」

「神様も神の子も、もう辟易だ・・・・・」露骨に顔を歪める。

「まぁいいさ、お前から出た情報は、ある程度ソースをぼかして、俺が処理しておく、上手にやったら、もう一つくらい出世できるくらいのネタだ、
問題は、今後のお前の処遇なんだが・・・・、近い奴らの目もあるし、監視を付けずに放免何ていうわけにはいかんだろう・・・・・
ところで・・・・」
ヘッジスは、脇に置いた、ブリーフケースから、資料の束を取り出してロイズに放る。

「コレに見覚えはあるか??」

部外秘の判が圧された資料は、アデルハビッツから提出されたATの仕様書で、数枚めくった先に載っている3面図に、見覚えがあった。

「こいつぁPS用ATじゃねぇか、報告し忘れてたかもしれねぇが、結社で、こいつのテストもしたことがあるぜ」悪びれず答える。

「それはギルガメス制式になった、ATH-12の資料だ、ア=コバの基地に何機か先行配備されている」

「おい・・こんなマシン普通のパイロットにゃぁ上等過ぎだろう、持て余すにも程があるぜ」煙を吐きながら背もたれにふんぞり返る。

「アデルハビッツの商魂には、頭が下がる・・・というか、お偉いさんには”クエントのアレ”が、忘れられんらしいな」

「・・・・・・・・・・・・」目だけヘッジスを見る。

「まぁ、お前も俺も、口出しできる立場じゃ無い、それどころかこれは、お前にとっちゃぁ有り難い話になる。」

「・・・・・?」

「ATH-12は、先行配備されてるという物の現実的に煮詰めが足りない、
当のアデルハビッツでさえ、完全な試験データーを持っていないんだから当然だろう、
だが、”売りたい奴”と”買いたい奴”は居る、そしてここに、”商品のテストをしてたやつ”が居る、おまけにそいつには身分が無い」

「要するにどういうこった?」灰皿で、タバコをもみ消す。

「ギルガメスの軍籍を戻して、こいつのテストパイロットをしろと言ってるんだよ、我々としても、お前の監視が出来るわけだ、お互いにいい話だろ???」
ヘッジスはニヤリと笑う。

「いいか悪いかわからんが、とりあえず命の心配しないで済むのは在り難いな、
そんで? 具体的にドコで何をすれば良いんだ??
俺は頭の悪い兵隊だ、解りやすく言って貰おう」冷めたコーヒーを一気に飲み干す。

「こいつのテストは、バトリングで行う、戦後はバララントもこのパターンで、新型のテストをしているらしいし、ATメーカーの肝いりで暴れてるチームも多いそうだ」
ここで一旦言葉を切ってヘッジスは立ち上がる。

「ザ=クイの駐屯所に、マシンとアデルハビッツのメカニックが既に入っている、現場はパイロット待ちだ。」

「嫌も応も無いっつーか、手回し良いのな」資料をぺらぺらめくる。

「そうでもなけりゃ、ここで中佐まで出世出来ん、命の恩人に精一杯の礼さ」ヘッジスは再びタバコに火をつけ、深く吸い込んだ。

「お前の軍歴は、オロム時代の曹長で戻す、レッドショルダーの話は、この際無かった事にしてもらおう、”お互いの為”ってやつだ」

「まぁ、なんでも良いさ、とにかく今着てる耐圧服は、不景気でいけねぇ、
仰せの通りにバトリングで遊ばしてうから、とっとと新品の”オレンジ色”を支給してくれ 中佐殿」
ロイズは、資料をテーブルに放って立ち上がり、唇を歪ませた。