沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

改めて中北清掃組合の補助事業者としての責務を考える

2017-01-23 09:08:40 | ごみ処理計画

ゲストの皆様へ  

このブログは、当分の間、下の資料にある問題を解決するために管理をして行く予定です。 なお、この問題を県が放置していた場合は、県に対する県内の市町村、そして県民の信頼を著しく損なうおそれがあると考えています。  

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沖縄県や県内の市町村は他の地方公共団体に比べて国の財政的援助に対する依存率が高い地域です。しかし、国の財政的援助を受ける場合はそれなりの覚悟をして受けなければなりません。なぜなら、国の財政的援助を受けた地方公共団体(補助事業者)には補助金適正化法の規定に従って誠実に補助事業を行う責務があるからです。 

そこで、今日は、改めて中城村北中城村清掃事務組合(以下「中北清掃組合」という)の補助事業者としての責務を考えてみます。

その前に、下の画像をご覧下さい。

これは、最終処分場の整備に関する廃棄物処理法の基本方針を整理した資料です。

廃棄物処理法基本方針(平成13年5月26日告示)

廃棄物処理法基本方針(平成17年5月26日変更)

廃棄物処理法基本方針(平成22年12月20日変更)

廃棄物処理法基本方針(平成28年1月21日変更) 

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【補足説明】中北清掃組合は、補助事業者として平成15年度から平成25年度まで溶融炉を運用していましたが、その間に2度廃棄物処理法の基本方針が変更されています。また、同組合は平成26年度から溶融炉の運用を休止していますが、廃棄物処理法の基本方針については平成28年の1月(約1年前)に3度目の変更が行われています。しかし、上の資料にあるように、最終処分場の整備に関する廃棄物処理法の基本方針については、これまでに一度も変更されていません。

(注)中北清掃組合は平成15年度から平成28年度まで、地域ごとに必要となる最終処分場の整備を行わずに、毎年度、民間委託処分を継続してきています。そして、平成26年度からは地域ごとに必要となる最終処分場の整備を放棄しています。

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ということで、本題に入ります。

下の画像は、廃棄物処理法に基づく市町村に対する国(防衛省を含む)の財政的援助に関する基本原則を整理した資料です。

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【補足説明】このように、国(防衛省を含む)は廃棄物処理法第4条第3項の規定を根拠として、市町村に対して財政的援助を与えています。そして、国(防衛省を含む)は市町村が廃棄物処理法の基本方針に即して廃棄物の適正な処理に必要な措置を講じるように努めることを前提として財政的援助を与えています。

下の画像は、廃棄物処理法の基本方針と市町村の責務を整理した資料です。 

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【補足説明】廃棄物処理法の規定に基づく市町村の責務についてはペナルティ(罰則規定)はありません。しかし、市町村が国の財政的援助を受けている場合は補助金適正化法の規定が適用されるので、その規定を遵守して誠実に補助事業を行っていない場合は、補助事業者としての責務を果たしていないことになるので、補助金返還等のペナルティを科されることになります。

(注)廃棄物処理法の基本方針に即したごみ処理事業を行っていない市町村は、結果的に国の財政的援助を受けることができないので、それが実質的なペナルティになります。

下の画像は、市町村がごみ処理施設を整備する場合に、国(防衛省を含む)が財政的援助を与えるときの条件を整理した資料です。

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【補足説明】平成13年度からは、地域ごとに必要となる最終処分場を継続して確保するように整備することが廃棄物処理法の基本方針になっているので、平成13年度以降に最終処分場の整備を行わない前提で国の財政的援助を受けてごみ処理施設を整備している市町村には、最終処分ゼロを達成して継続する責務があります。なお、市町村が最終処分場の整備を行わずに「焼却炉+民間委託処分方式」を採用した場合は、自主財源により焼却炉を整備することになります。

下の画像は、市町村のごみ処理計画と廃棄物処理法の基本方針との関係を整理した資料です。

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【補足説明】国の財政的援助を受けてごみ処理施設を整備している中北清掃組合が補助目的を達成している場合は、その段階で廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理計画に改正することができます。しかし、同組合は最終処分ゼロを達成した年度が一度もない状況で、沖縄県の技術的援助に従って組合のごみ処理計画を廃棄物処理法の基本方針に適合しない計画に改正しています。

(注)沖縄県と中北清掃組合は、同組合が補助目的を達成していると判断しているのかも知れません。しかし、そうだとしたら、県と組合は最終処分場の整備に関する廃棄物処理法の基本方針を知らないことになります。

下の画像は、中北清掃組合の補助事業(ごみ処理事業)の実態を整理した資料です。

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【補足説明】このように、中北清掃組合は国の財政的援助を受けて「焼却炉+溶融炉方式」と「焼却炉+民間委託処分方式」を併用した補助事業(ごみ処理事業)を行っていたことになります。そして、平成26年度からは完全に「焼却炉+民間委託処分方式」に一本化していることになります。

下の画像は、上の中北清掃組合のごみ処理の実態をフローにした資料です。

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【補足説明】このように、中北清掃組合は国の財政的援助を受けてごみ処理施設を整備したときから民間委託処分を継続していました。そして、平成26年度から最終処分場の整備を放棄して資源化が困難な廃棄物の全量を民間に委託して処分しています。

下の画像は、中北清掃組合のごみ処理計画の実態を分かりやすく説明するために、同組合における廃棄物の資源化率と民間委託処分率を書き加えて整理した資料です。

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【補足資料】中北清掃組合は平成15年度から「焼却炉+溶融炉方式」を採用してごみ処理事業を行っていますが、平成16年度から平成25年度までの10年間において、約60%(約6年間)は「焼却炉+民間委託処分方式」を採用していたことになります。そして、平成26年度からは100%「焼却炉+民間委託処分方式」を採用していることになります。

(注)中北清掃組合が改正したごみ処理計画は、平成26年度から平成35年度までは、最終処分場の整備を放棄して「焼却炉+民間委託処分方式」を継続する計画になっています。

下の画像は、地方財政法第8条の規定に対する国(総務省)の考え方を整理した資料です。

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【補足説明】補助事業者である中北清掃組合が溶融炉を休止するためには、最終処分ゼロを達成して継続することができる代替措置を講じていなければなりません。しかし、同組合は平成26年度から最終処分場の整備と最終処分ゼロの継続を放棄しています。したがって、同組合は平成26年度から補助事業者としての責務を放棄しているだけでなく、地方財政法第8条の規定に違反してごみ処理事業を行っていることになります。

(注)平成26年3月にごみ処理計画を改正して溶融炉を休止したことによって、中北清掃組合は補助事業者としての責務と地方公共団体としての責務の両方を放棄していることになります。

下の画像(3つ)は、市町村に対する沖縄県の考え方を整理した資料です。

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【補足説明】沖縄県がなぜ、中北清掃組合に対して最終処分場の整備を求めていないのか不思議ですが、県が廃棄物処理法の基本方針を無視して同組合に対して技術的援助を与えていることは間違いありません。

下の画像は、廃棄物処理法の基本方針と都道府県の責務を整理した資料です。

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【補足説明】沖縄県の廃棄物処理計画は廃棄物処理法の規定に従って基本方針に即して定めなければならないことになっています。そして、県は県が定めた廃棄物処理計画の達成に必要な措置を講じるように努めなければならないことになっています。しかし、沖縄県は県の廃棄物処理計画に適合しない技術的援助を中北清掃組合に対して与えています。

下の画像は、沖縄県の考え方が正しいとした場合を想定して作成した資料です。

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【補足説明】上の資料にあるように、沖縄県の考え方が正しいとした場合は、県は県の裁量において日本の法令に適合しない技術的援助を市町村に与えていることになります。したがって、沖縄県は日本の地方公共団体ではないことになってしまいます。

下の画像(3つ)は、総務省が作成している「補助事業等の適正執行に関する手引き」を参考にして補助事業者に対する国(総務省)の考え方を整理した資料です。

補助事業等の適正執行に関する手引き(総務省)

 

 

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【補足資料】このブログの管理者は、総務省や会計検査院が中北清掃組合の補助事業の実態を調査した場合は、補助事業者として不誠実に補助事業を行っていたと判断すると考えています。したがって、同組合が平成26年3月に改正したごみ処理計画の見直しを行わない場合は、ほぼ間違いなく国から補助金の返還を求められることになると考えています。

下の画像は、中北清掃組合がごみ処理計画の見直しを行う場合の注意点を整理した資料です。

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【補足説明】このように、中北清掃組合は浦添市との広域処理を推進する前に、国が考えている補助事業者としての責務を果たす必要があります。そのためには、沖縄県が同組合に与えている技術的援助を訂正する必要があると考えます。

(注)国が考えている補助事業者としての責務については、沖縄県よりも浦添市の方が十分に認識していると判断します。なぜなら、同市は「焼却炉+溶融炉方式」を採用したときから、最終処分ゼロを達成して継続しているからです。したがって、最終的には浦添市が広域処理のパートナーである中北清掃組合に対して、補助事業者としての責務を果たすように求めることになると考えています。

下の画像は、中北清掃組合の補助事業者としての責務が免除される場合を想定して作成した資料です

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【補足説明】そもそも、中北清掃組合は最終処分ゼロを達成して継続する前提で国の財政的援助を受けている(「焼却炉+溶融炉方式」を採用している)ので、その前提に適合しないごみ処理事業(補助事業)を行っている場合は、補助事業者としての責務を果たしていないことになるので、補助金を返還しなければならないことになります。

最後に、下の画像をご覧下さい。

これは、この記事の結論を整理した資料です。

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【補足説明】地方公共団体である沖縄県には法令を改正する権限や廃棄物処理法の基本方針を変更する権限は与えられていないので、普通に考えれば、このような結論になると判断します。

(注)日本の行政機関は全体の奉仕者である公務員が事務を処理しています。その公務員が一部の奉仕者として事務を処理することができる場合は、別な結論になるかも知れません。しかし、日本の公務員(国家公務員及び地方公務員)は一部の奉仕者ではなく全体の奉仕者として事務を処理しなければならないことになっています。

【追加資料】

下の画像は、浦添市と中北清掃組合の補助事業の違いを整理した資料です。 

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【補足説明】最終処分場を整備していない市町村が補助事業者として「焼却炉+溶融炉方式」を継続することは簡単なことではありません。なぜなら、最終処分ゼロを達成して継続しなければならないからです。しかし、浦添市はその責務を果たしていますが、中北清掃組合は果たしていません。そして、同組合は平成26年度から補助事業者としての責務を完全に放棄しています。このことは、国が中北清掃組合に対して不適正な財政的援助を与えていることになると考えます。

(注)中北清掃組合が補助事業者としての責務を果たしている場合は、浦添市は最終処分ゼロを継続するための努力を放棄することができることになります。

下の画像は、中北清掃組合と沖縄県と国の法令違反を整理した資料です。

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【補足説明】沖縄県と国は、中北清掃組合に対して適正な技術的援助を与えることで法令違反を是正することができます。しかし、中北清掃組合は補助金を返還しなければ法令違反を是正できない可能性が高いと判断しています。なぜなら、同組合は「焼却炉+溶融炉方式」を採用したときから約14年間、一度も最終処分ゼロを達成した年度がないからです。

(注)平成16年度から平成28年度までの中北清掃組合における民間委託処分率(「焼却炉+民間委託処分方式」を採用していた割合」は約70%に達しているので、「焼却炉+溶融炉方式」を前提とした補助目的達成率は約30%ということになります。

下の画像は、中北清掃組合に対して国と沖縄県が適正な事務処理を行う場合を想定して作成した資料です。

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【補足説明】このブログの管理者は、上の資料の右側にあるように、国は沖縄県を通じて間接的に中北清掃組合に対して技術的援助を与えることになると考えています。そして、同組合が県の技術的援助に従わなかった場合は、上の資料の左側にあるように、同組合に対して直接、是正の要求や命令を行うことになると考えています。

(注)国や沖縄県が中北清掃組合に対して適正な事務処理を行わなかった場合は、沖縄県内の全市町村が最終処分場の整備を行わずに「焼却炉+民間委託処分方式」を採用することになっても、国は財政的援助を与えなければならないことになってしまいます。そして、その場合は、補助事業者が廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理事業(補助事業)を行っていても、補助事業者としての責務を果たしていることになってしまいます。