戦後の石川収容所で人々を笑いで癒やした小那覇舞天さん(本名・小那覇全孝)が自作の歌詞をまとめたノートや未発表とみられる脚本などを長男全人さん(89)=那覇市=が保管しているのが分かった。
全人さんによると、このノートにしか残されていない歌詞も多い。元石川歴史民俗資料館学芸員の宮里実雄さんは作品世界を知る上で貴重な資料と指摘する。
全人さん所有の関連資料は琉歌や短歌を記したメモ、手帳、舞天さんを取り上げた雑誌など約40点に上る。
一部は6日からうるま市の同資料館で始まる「ライオン先生と沖縄のチャップリン」展で初めて一般公開される。
ノートには30曲超の歌詞が記されている。執筆した時期は不明。このうち「健康いろは歌」は戦前に作られ、全人さんら家族が歌っていたという。
「い いつも健康楽しい家庭」など、いろは歌の47字をそれぞれ頭文字とする歌をつづっている。歌謡曲「お富さん」を沖縄芝居「伊江島ハンドー小」に置き換えた替え歌、各学校や愛楽園、琉球新報社に贈った歌などもある。
脚本は舞踊劇「金細工(かんぜーくー)」をせりふのある喜劇に仕立てている。本来の登場人物以外に、太良(たらー)、金細工屋の主(すー)など独自の人物も登場する。手帳に記された琉歌には「思出すさ昔 戦世の哀れ またとねんぐとぅ 御願さびら」など沖縄戦に触れた作品もある。
展示会は3月8日まで。問い合わせは同資料館(電話)098(965)3866。
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