サンゴ礫が付着して成長した石筍「固結礫タワー」=8日、名護市の長島(中井達郎さん撮影)
沖縄県名護市辺野古崎沖に位置する長島の洞窟群を調査した専門家らは、海岸の鍾乳洞の中に海浜石灰質の堆積物がセメント化されたビーチロックが形成され、その石筍(せきじゅん)にサンゴ礫が付着し成長した鍾乳石「固結礫(こけつせき)タワー」(仮称)が確認できたとの調査結果をまとめた。専門家はこの現象は「国内では唯一と見られ、極めてまれ。学術的に非常に高い価値を持つ」と評価し、より科学的な調査の必要性を指摘した。19日、県庁で日本自然保護協会が記者会見し、発表した。
協会の辻村千尋さんは「地質学的、地形学的にも沖縄の島形成のプロセスを知る上で貴重なデータになり得る」と指摘。天然記念物に指定し、県主体で綿密な調査を実施するよう求めた。
長島は新基地建設が行われている辺野古の臨時制限区域近くにあり、立ち入りが禁止されている。だが、県による埋め立て承認撤回で工事が中止されていることを受け、協会が8日と12日、サンゴ礁地理学・地形学の中井達郎国士舘大講師と、海洋生物学の藤田喜久県立芸大准教授の協力を得て、洞窟内を緊急調査した。
協会の安部真理子主任は、埋め立て工事により海流や潮流が変われば、固結礫タワーへの影響も計り知れないと指摘。「学術的にも貴重な自然環境を守らなければならない」と訴えた。
協会は同日、調査結果を説明した上で県知事職務代理者の謝花喜一郎副知事に充て長島の洞窟調査を求める要望書を提出した。