神秘的で美しい姿から幻の深海魚ともいわれる、リュウグウノツカイの人工授精、ふ化に、沖縄県本部町の沖縄美ら島財団研究センターが世界で初めて成功したことが20日までに分かった。研究センターの岡慎一郎主任研究員は「小さな一歩だが、深海の未知の生き物の生態を明らかにするきっかけになればと思う」と話した。
リュウグウノツカイは全長5メートルにもなる深海魚。長く伸びる背びれや腹びれ、細長い銀色の体が特徴でアカマンボウ目リュウグウノツカイ科に属する。世界中の外洋に分布する。目撃例が少なく、生態はほとんど分かっていない。
研究センターによると、今年1月28日、読谷村沖合の定置網で全長約3メートルのリュウグウノツカイ雌雄2匹がかかっているのが見つかった。2匹は運搬中に死亡したが、それぞれから取り出した精子と卵子で人工授精を行い、約2週間後に約20匹の稚魚が生まれた。
稚魚は全長約7ミリ。成魚に似た長く伸びる背びれも確認された。稚魚を分散、使用する水や形が違う複数の水槽で飼育してきたが、19日までにすべて死亡した。餌をうまく食べられなかったことが原因の可能性が高いという。
リュウグウノツカイ