新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、沖縄県内のホテルで休業が相次いでいる。
玉城デニー知事が発表した休業要請に宿泊業は含まれないが、従業員や宿泊客の感染防止に加え、客室稼働率が10%を切るなど採算が取れないこともあり、自主的な判断で臨時休業に踏み切る。国の緊急事態宣言や県の休業要請期間は5月6日までとなっているものの、6月まで休業を続けるホテルもあるなど、早期の終息は難しいという厳しい見方がされている。
那覇市の沖縄ハーバービューホテルは23日から全館休業し、シティーリゾートのザ・ナハテラスも県の緊急事態宣言を受けて25日から臨時休館に入る。それぞれ5月末までの予定で、6月1日の再開も「国や県の状況を見ながら判断する」として感染状況次第という部分がある。
沖縄の観光業にとって例年なら書き入れ時のゴールデンウイークの収入は吹き飛び、ホテル経営の悪化は深刻さを増している。関係者から「今はどこも休業だが、長引くと廃業する施設が出てくるのではないか」と懸念の声が高まる。
約230人の社員を抱える那覇市内のホテルの総支配人は「1日に3人しかお客さんがいない日もある」と肩を落とす。稼働率が10%前後の日が続いていることや従業員への感染予防のため、1カ月以上の休業を決めた。休業中の社員の給与支払いで国の雇用調整助成金を受ける予定だが、それでも月に1千万円は人件費がかかるという。休館したとしても施設の管理や問い合わせ対応などで出勤させる要員も必要になる。総支配人は「出勤する社員は助成金の対象にならないので、そこも補償してほしい。売り上げがない中での支出はかなり厳しい」と訴える。
別の那覇市内のホテルでも、稼働率10%前後の日が続く。社員を交代で自宅待機させながら営業を続けているものの経営は厳しい。総支配人は「赤字で営業を続けるよりは休業した方が良いが、社員のモチベーション維持のために続けている。宿泊利用者がいる以上は開ける」と話した。休業しても施設の維持管理・修繕などに数千万円がかかるという。県は休業要請に応じた企業に20万円、飲食や小売業などへの支援金として10万円の経済対策を示しているが、1人分の人件費にもならないとして総支配人は「税金の減免などをしてほしい」と訴えた。