漂泊の旅人

松浦は歩きます。走るのは苦手だけど。
黙々と、淡々と。
疲れると喫茶店に入ったりしますが、よほど店内がすいていない限りそこでゆっくり執筆したりすることはありません。
自意識過剰なのでしょうが、どこにいても落ち着かないんです。

デパートで時間をつぶそうと思っても、エスカレータを上ったり降りたり。
すいてるときの、屋上のベンチは落ち着きますけどね。
休日で、親子連れが多いときはだめです。


今月、大学時代の友人が結婚するらしい。
また、先日会った友人も「そろそろ……」という話をしながら式場の希望などを語っていた。

みんな、他人と一緒にいても平気な人なのだ。
否。
人と交わっても、自我を保てる人なのだ。

松浦は無理だ。
疑いと恐怖と好奇心に振り回されながら生きていくことなんて、とても出来そうもない。
しかし、なにも残さずに死ぬわけにはいかない。それは、この世に生まれてきたものの使命だ。

だから、小説を書く。
これは、松浦なりの遺伝子の残し方なのだ。