ここまで4.5時間かけて登頂。
最近BS「日本百名山」ばかり家で見ているチビ登山家。お気に入りの回は「槍ヶ岳」と「北岳」。さすがに槍には行きませんが、北岳はなんとか登れそうな体力はあるのではないかと思います。五歳児が登ったという話もちらほら聞きますし。
というわけで、今年の夏はいっしょに北岳登ろうね、という親子の約束はしています。
これらの山は岩場や鎖場も多いので、『北岳のれんしゅうしに行こうぜ』と前日チビ太を話し、以前からあこがれていた表丹沢縦走しての塔ノ岳を目指すことにしました。このコースは家からもっとも近く、稜線歩きを楽しめ、途中行者岳ではちいさいながらも鎖場もあり、スリルも味わえます。
問題は距離が長いこと。丸一日の山行になります。塔ノ岳までの登りは何とかなるけど、問題はバカ尾根の下りの果てしない長さ。
この心配事を脳裏に土曜の朝、菊名駅6時15分の電車にのりました。
ちなみに最近のチビ太、遊びにいくとわかっている土曜日の朝の目覚めはすごいです。一声かけるだけで、朝の5時台にさくっと目覚めますよ。
梅雨のこの時期の丹沢はヒルまみれ、と聞いてこいつを投入。結論からいうと今回の表丹沢ルート~大倉尾根にはヒルはまったくいませんでした。
大倉尾根にはいるかと思ったんですけどね!気温30度で干からびてしまったのでしょうか。
神奈中バスのデイリーヤマザキからのタイムは25分50秒でした。
自転車で30分切ってしまう人たちは変態ですねっ!
まずは車道を下って富士見荘跡へ。まだまだ元気が有り余っていてふざけてばかり。
下りの舗装路なので、30分かかるところを小走りして25分で到着。ここから6kmちょっとと出ています。長いですね。
後ろから『広場だぁ!』の声が。菩提峠のハングライダーの発着場ですね。大山ケーブルカーの新車もここからヘリコプターで空輸したんだよ、とトリビアを教えておきました。
三の塔までの道は2歳の頃から何度も登っています。二の塔手前のガレ場からは展望が開けてテンションあがるよね。
大山のシルエットはおにぎり型。
『塔ノ岳が見えたっ!頑張るぞ~!お~!』
目的地が視認できるのはいいですけど、ちょっと遠いですね~!しかし、ここからは稜線歩きなので絶景の連続です。
烏尾山に向けて一気に高度をおとし・・・
時々現れる平坦区間は『トレランだっ!』と小走りで通過。
行者ガ岳の頂上で、上空を滑空するボワッという音が。
ハングライダーでした。
「お~い!」
聞こえたかなぁ?
さて、北岳に向けた練習区間、岩場、鎖場、痩せ尾根が現れました。
え!?これを下るんですか?
見よう見まねで危なっかしい。なんとか下って、一息つくチビ太。
「これで北岳登れるかなぁ?」だって。まだ練習が必要ですな。
梯子もたくさんあります。
行者岳から大日峠までがチビ太の体力の最大のピンチでした。この日の下界は30度越え。1000mを越える稜線も結構暑い。
途中までは山の下から吹き上げてくる風が涼風となっていたのですが、お昼が近くなると風はパッタリ止んでしまいました。
チビ太『もう暑いよ~。足痛い。塔ノ岳行きたくない。北岳も行かない。練習きらい。おうち帰りたい。あちゃちゃんに会いたい。』
ぱっぱ『え~?北岳行かないの~?今引き返しても同じくらいかかるから、登ってから帰ろうよ。』
チビ太『もうお山いやだ~ウワァァァァァァヽ(`Д´)ノァァァァァァン!』
#大人にするのと同じ論理で子供を諭すと逆効果
この危機は①鎖場や梯子などのチャレンジ②感動的な稜線の景色にひたすら歓声③周囲の大人たちに褒められる④熱中症対策のためのこまめな休憩・・・でなんとか回避をしたものの、残り時間と距離を考え、だんだん焦ってきました。
そういう親の焦りを子供は敏感に感じ取ります。
チビ太へとへとで登山道をトボトボ登っていると!前方から
「ニャロメさ~ん!チビ太く~ん!」
あれま、自転車仲間のO野さんではないですか?以前二人で丹沢歩いた帰りもバスで一緒になったなぁ。
今日は親子3人とか。相変わらずパワフルです。息子の隼人パイセンは5歳の時に北岳に登ったそう。こりゃ、頑張らねば!
というわけでチビ太も元気を少し取り戻す。
一番元気回復になったのは、頂上まで25分くらいの稜線に立つ、木の又小屋!
かき氷や冷たいコーラが売っているではありませんか!
さっそく小銭を握られお使いさせます。小屋の中では4歳児の出現にアイドル状態w
満面の笑みでお買い物をすませました。
チビ太『冷たくて甘くておいしー!!』
いつもは甘いものが苦手のチビ太もこれで一気に回復。
冷たいものをたべて体温調整がうまくいったのか?
登り最後の30分は稜線トレランが発動するまで復活しました。
そして・・・あんなに遠くにあった尊仏山荘の三角帽子が、こんな近くに見えるようになってきました。
これにはチビ太も俄然やる気を出します。
『前に尊仏山荘に泊まった時は、朝曇りだったよね~。今日は空がきれいだね~。』
後ろには今日歩いてきた三の塔からの稜線が見えます。(一番奥の大山は除く)
そして午後2時。塔ノ岳山頂を極めました!ヤビツ峠スタートが9時だったので、休憩込で5時間ですか。コースタイムが4.7時間だからそんなもんですね。
途中でへそを曲げられたときはどうなることかと思いましたが、超頑張りました!!
一年と三か月ぶりの塔ノ岳。尊仏山荘もまた泊まりたいなぁ。
今日も泊まりたいのですが、夜7時から保育園のイベントなんですよ(多忙)チビ太が。
そして休憩のためにザックから出したポテチーのパンパンぶりに歓喜。
ちなみに今日の補給食は:
昆布おにぎり8個
おせんべい一袋
キャラメルポップコーン
ポテチ
インスタントみそ汁3人前
塩タブレット
スポーツドリンク1.2L
お茶600ml
リンゴジュース x2
やさいジュース x2
ポップコーン以外は、下山するまでにすべて完食しました。
携帯食多めのほうが、休憩時間が短くできるからいいんだよね。
さて、この後は下りです。まだ7km近く残しています。鬼門です。「後は下りです」というのは簡単、これから下るのは永遠に続く階段地獄、大倉のバカ尾根です。
塔ノ岳山頂から花立山荘までは相模湾にダイブしていくような高度感あふれる大パノラマ。
この後、『おしっこ出ちゃう~。』とのたまったので男子の特権、絶景を見下ろしながらの気持ちよい立ち○ョンをさせました。おれも連れ○ョンしたかった。
ちょっと元気がなくなった顔してます。そんなんです、これからが大変なんです。
景色が開けるここらへんまではまだ元気です。問題は花立小屋から下。
今回の登山最大の危機は延々と延々と、果てしなく際限なく、とめどなく階段が続く大倉のバカ尾根で訪れた。この下りを完全に甘めに見積もっていた。
この後から始まった森の中の階段地獄、そして残り距離の長大さを感じたチビ太、途中で激オコ!
ヽ(`Д´メ)ノ プンスカ!
チビ太『もうこんな山やだ!!!』
ぱっぱ『山が高いのがいやなの?下りが長いのがいやなの?』←逆効果
チビ太『もうお父さんと遊んであげない!だっこもおんぶもさせてあげない!!!』
ぱっぱ『いいよ~だ。おとうさん一人で自転車のっちゃうもんね~。』←逆効果
チビ太『まこはもっと楽しい山(先日の大菩薩とか)がいいんだよねぇ。こんな長いお山はいやだ!』
ぱっぱ『でも、北岳のれんしゅうだって約束して今日来たじゃないか?』←逆効果
チビ太『なんでこんなに階段があるの!バカ!バカ!』
ぱっぱ『だからバカ尾根っていうんだけど。』
チビ太『もうケーブルカーに乗って帰ろうよ!』
ぱっぱ『何言ってんの?それに、あとゴールまで2時間かかるよ!』
チビ太『え~!!!!ウワァァ-----。゚(゚´Д`゚)゚。-----ン!!!!』
こんなやり取りをしている間、我々を追い越していったハイカーは
ヒソヒソ
『あれ、子供絶対いやがってるよね~』
『親の身勝手で山に連れてきてるんじゃな~い?』
『ああいうのが置き去り事件を起こすのかしら??』
ヒソヒソ
・・・とか見られていたのかもしれません。
#山でへそを曲げられたらやることは一つ
#登山に遊びの要素を取り入れる
膝を折ってチビ太にゆっくり話しかけます。よし、覚悟を決めた。
まず荷物(ストック、カメラなど)邪魔なものをすべてザックの中にいれ、両手を完全にフリーに。
ぱっぱ『よし、まこはここまで頑張ったよね。ここからお父さんも頑張るよ。』
チビ太『聞ーかないっ!σ(^┰゜)アッカンベー』
ぱっぱ『どうしたら許してくれるかな?だっこ?おんぶ?』
チビ太『だっこも一回だけっだらダメだよ。20回くらいしてくれたら遊んであげる。』
この会話をしたのが堀山の家、残り4km地点。
ここから平坦でだっこできそうな道はすべてだっこ。
しかもだっこではなく、肩に担ぎあげてダッシュ(笑)
チビ太歓喜
ここからは笑っちゃいくらい前を歩く下りで膝を破壊されたハイカーをごぼう抜きw
コマ目に20回ほど分けて抱っこをしていると、チビ太の体力も回復、終盤には二人でかけっこしながら大倉の街へ転がるように駈け下りて行きました。
おわり
追伸:山中にしつけと称して置き去り事件を起こした北海道のおとうさんの気持ちが1%ほどわかった。
丹沢クリステルさんにご挨拶。そのあとは、5時35分大倉発のバスに間に合わせるため、最後は猛ダッシュ!
登山終了が5時35分、新横浜到着が7時でした(爆速)
ちなみに小田急渋沢駅で乾杯、チビは隣の秦野駅から猛睡眠、町田駅の乗り換えはだっこしての長距離ダッシュとなり、幸せ感いっぱいのパワーリフティング走となったのであります。(息が酒臭い)
++走行データ+++
総歩行時間6時間55分(休憩除く。なお大人の標準コースタイムは7時間)16km 平均心拍100(大人の私が)・・・これって4歳児版つーるどおきなわではないだろうか。
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