『待ってくれるんじゃない。神さまだから。あったかい日に参りなさいよ』 森崎和江の旧友
夫が寝たきりになってから3年間、家族をを養いつつ、毎朝2時間かけて山にあるお薬師さんに参り、その足で海に向かった在日朝鮮人の女性。老いても月初めには息子の無事を祈って通う。そして真冬でも、直前には髪を洗う。
朝鮮で共に学んだ作家の友はこう声を掛けたのだ。
決して豊かな生活ではなかったろう。国籍で差別を受けたこともあろう。その中で、きちんと姿勢を正し、神を信じ、身を正して生きた人なのだろう。
ともが、その生き方を和らげる声を掛ける。掛けられた彼女は、その温かさに感謝しつつも、自分で決めた生き方を揺るがせなかったのではないか。
御せっちゃんは、そう思う。