乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

植生調査        9月15日(日)

2024年09月15日 | モニタリング調査
 前日の訪花昆虫調査に続けて、二日連続の調査でした。朝9:00に、高槻先生、角田さん、加藤さん、植原の4人が集まり、調査を開始しました。
 この調査は、2015年のシカ柵設置後、どのように植物群落が変化していくかを調べるために、年一回、9月に行っている定点調査です。定点は草原の中に10箇所あり、そこには目印の杭とポールがあります。同じ地点で調査しているので、毎年のデータを完璧に比べられます。

 順番にポールを見つけては、各地点で調査していきます。まず、折り尺でコドラートを作り、10cm×10cmで出て来た植物を記録し、次に10cm×25cm、25cm×25cm・・・と、だんだん範囲を広げて、それぞれ初出の植物を記録します。1m×1mが終わったら、1m×1mの範囲内での各植物の被度と高さを記録します。索敵範囲をさらに広げ、1m×2m、2m×2mで初出の植物を調べたら、終了です。どんなに小さな植物も見逃さずに記録しなければならないので大変です。時には、「この草、わかんないねえ」というのも当然出てきますから、「イネ科の仲間」とか「スミレの仲間」とか書くこともあります。このルーティンを10回、繰り返すわけです。
 なんと、この日は午前中で全部の調査が終わり、ロッジのベンチでゆっくりお昼を食べることができました。
 調査に参加された皆さん、ご苦労様でした。ありがとうございました。
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訪花昆虫調査9月    9月14日(土)

2024年09月14日 | モニタリング調査
※参加された大堀さんがレポートを書いてくださいました。

 9月14日(土)の「訪花昆虫調査」に参加しました。この日の予定は「植生調査」でしたが、参加人数と天気予報の塩梅から、翌日の予定と入れ替えての実施となりました。個人的には、7月28日の養成講座参加以来の乙女高原だっだのですが、里に下りたのか、もう冬支度に入ってるのか、昆虫の数がめっきり減って、7月の喧噪が嘘のように山はすっかり静かになっていました。


 当日、9人の参集でしたので、フィールドを4班で分担しました。「訪花昆虫調査」ってどうやるのか、動き回る相手にビクビクでしたが、良く「メンバーの特性を見計らって」いただきまして、幸いにも高槻先生の助手格となり、F,G,L,Eコースで記録取り作業に従事することができました。
 巻き尺を観察路のルートに敷いてから、ルート幅2mの中に生い茂るススキと夏草の枯れ模様の中で、アキノキリンソウやマツムシソウ、ノハラアザミ、ハバヤマボクチ、ノコンギク、ユウガギクなどの花を訪れる昆虫を高槻先生が距離ごとに次々と読み上げていくのを必死にメモします。そのテンポに負けまいと、単純作業のハズですが、正直、記録する側も慣れるのにちょっと時間が掛かりました。先生の読み上げる、ウラギンヒョウモン、キアゲハ、セセリチョウ、ハチ、ハエ、アブなど、自分で確認する余裕もなかったかな。
 慣れない中でしたが、ハバヤマボクチの総苞に一生懸命に潜り込もうとするマルハナバチや、花に集まるハムシ(米粒よりも小さい!)やガガンボには注視する余裕に巡り会え、なんとか高槻先生の熟練わざのおかげで時間内(ざっくり、午前90分、午後90分)に作業を終えられました。
 空は、朝方は大きな積雲がいくつも浮かび(雲量8?)、外気温も19℃で高原の陽気(木陰は長袖モード)でしたが、お昼前後はかなり晴れ間が広がって汗ばむ場面もあり、その後には今度は腹の黒い雲が一面に広がる(帰りの西保では道路面が濡れてました)、変化のある山らしい天気でした。
 次は?と言われたら、時季ごとのあるある植物を学習しておいた上で、やっぱり助手レベルかなと思ってます。なにしろ、動体視力・瞬間視ゼロの上に近眼老眼の難行苦行が予想されますので。
 それでも、自然の風を感じながら、自然と向き合う作業をできたのは、楽しい時間でした(お昼休みの、くつろぎすぎてしまった雑談も)。昆虫調査は昆虫が日光を浴びられるタイミングで行われれば活動を把握しやすいという高槻先生のお言葉を信じて、また参加したいと思っています。
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訪花昆虫調査8月

2024年08月18日 | モニタリング調査
※参加された奥平さんがレポートを書いてくださいました。

 8/17(土)に 予定されていた訪花昆虫調査でしたが、台風接近による道路封鎖の為、翌日8/18(日)に実施されました。花を訪れる昆虫を見つけ、花、昆虫の種類、訪れた回数を記録する調査です。参加者は6名(うち子供1名)。2人1組になり、3チームに別れて調査を行いました。



 開始時刻10時の気温は20度。盆地の暑さが嘘のように涼しく心地の良いスタートでした。
 ノハラアザミ、タチフウロ、マツムシソウ、オミナエシ、ヤナギラン、カラマツソウ、ヒメトラノウ、ヤマハギ、シラヤマギク、タムラソウ、ノダケ、キオン、ツガネニンジンなどの多くの植物が花を咲かせていました。トラマルハナバチ、ミヤママルハナバチ、オオマルハナバチ、その他のハチ、ハムシ、アブ、甲虫類などの虫たちが花々を訪れていました。

 強い日差しが降り注いだと思ったら、ぱらりと雨粒が落ちてきたり、雲のご機嫌を伺いながらの調査でしたが、まとまった雨に降られることなく、14時頃調査を終えることができました。

 調査の中で、虫たちの活動が午前中の方が活発のように感じました。調査箇所も違う為、明らかな比較はできませんでしたが、温度、湿度、天候、明るさ等の影響もあるのでしょうか。興味深く感じました。
 今回の調査は、台風による林道閉鎖で日程変更があり、急遽参加させて頂くことができました。逆に、日程変更により参加できなかった方もいらっしゃったのではないでしょうか。次回は、より多く方が調査に参加できることを願っています。

 ご一緒させていただきました皆様に心から感謝いたします。

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訪花昆虫調査・7 月

2024年07月13日 | モニタリング調査

 7月13日(土)、いつものように塩山駅で高槻先生をピックアップし、乙女高原へ。なんと12名もの参加者がありました。いつものように、高槻先生から調査の意義と方法を説明していただき、植原から班分けと担当遊歩道を発表。

各班でパートナー同士あいさつをし、持ち物を確認して遊歩道に出発しました。

 遊歩道に沿って巻き尺を伸ばし、終点から遊歩道の片側2m範囲の「花を訪れる昆虫」を距離・時刻とともに片っ端から記録していきます。そうやって巻き尺の始点に到着したら、今度は遊歩道の反対側2mを見ながら同じように記録していき、巻き尺の終点に着いたら1セクションが終了です。これを担当セクションの数だけこなします。花に来ている昆虫の観察には、パピリオ双眼鏡が大活躍です。




 今回は調査員の人数が比較的多かったし、盛夏の花がわんさか咲く時期の手前だったせいか、午前中でなんとか全部の調査を終えることができました。
 調査後は、いつものように、楽しく話をしながらお弁当を食べました。

 私たち調査員が書いた調査票は高槻先生が一手に引き受けて、パソコンのエクセル表に入力し、それをもとに、花と昆虫の関係や、年による違い、季節(月)による違いなどを考察されていきます。
 この調査は、そんな高槻先生の後ろ姿から、自然を対象にした調査・研究の在り方を学ぶ、またとない機会になっています。年寄りを排除する意思はまったくありませんが(こんな書き方で申し訳ありません)、中高生・大学生で、特に自然を相手にしたことをやりたいなあ(仕事、プライベート、ボランティア含めて)と思っている人にぜひ参加してほしいなと思います。

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谷地坊主の観察会  7月6日(土)

2024年07月06日 | モニタリング調査
 7/6は年に一度の谷地坊主の観察会です。いつもなら午後までかけて行うのですが、午後から雨予報となっています。この観察会は湿地の中にも入りますから、できれば雨は避けたくて、午前中にまとめて行うことにしました。参加者は6人でした。この観察会プログラムは3つのアクティビティから成り立っています。

その1 谷地坊主の湿地が見下ろせる、ちょっとした高台まで、遊歩道を歩いて移動しました。今の季節、谷地坊主を見てもボッサボサの草むらにしか見えません。ですから、秋・冬・雪をかぶったところ・春先・谷地坊主の「頭皮」から草の芽が出て来たころ・・・などの写真を用意して、四季の変化を想像してもらいました。今度は、別の季節に来てくださいね。
 そして、谷地坊主がどうして盛り上がっていくかを、紙芝居で説明しました。キモは「冬になると地面の中が凍って、土が持ち上げられる」ことと、「持ち上がった地面が、春先の雪解け水で流されてしまい、相対的に持ち上がっていく」ことです。冬に持ち上がった地面は春に元通りに下がるんだから、「だんだん」高くなることはないと思うのですが・・・このあたりのメカニズムは、自分もまだ理解できていません。
 「冬、モーレツに寒いこと」「かといって、雪が降ったら、地面はかえって冷やされないので谷地坊主はできない」「水の流れがあること」「かといって、流れが速すぎても、全部流れてしまうからNG」「地面が持ち上げられても切れない、密で強靭な根を持つ草(スゲ)が生育していること」などが谷地坊主発達の条件です。
 ちなみに、ここ(アスファルト駐車場南。看板があるところ)の谷地坊主は山梨市によって天然記念物に指定されています。全国で、谷地坊主が天然記念物に指定いされているのは釧路市と山梨市だけです。また、スゲ属植物に詳しい元神奈川県博学芸員の勝山さんによると、タニガワスゲによる谷地坊主は乙女高原以外に見つかっていないのだそうです。

その2 高台から湿地まで遊歩道を降りて来ました。谷地坊主がすぐそばに見えます。参加者に茎に触ってもらいました。「断面は丸ですか?」茎が角張っていて、集中して触ると、断面が三角であることがわかります。そっと一株だけ残し、あとの葉を手でどかしてみると・・・株から葉が120°ずつの角度で(3方向に)出ているのがわかります。葉の感じはイネ科植物に似ていますが、イネ科は茎の断面が丸いのに対して、スゲ属を含むカヤツリグサ科は三角です。

『スゲ・カード』を使って、湿地で他のスゲ属植物を探してもらいました。ゴウソ、オオカワズスゲ、オタルスゲなどが見つかりましたが、谷地坊主を形成していたのはタニガワスゲのみでした。

その3 別の沢に移動しました。ここも上から谷地坊主の湿地を眺めます。

沢に沿って丘の上を移動していくと・・・途中から沢に谷地坊主がなくなります。「代わりに何が見えますか? 」岩が見えるようになります。つまり、ここからは斜度がきつくなって、土が削られ、流されてしまい、岩が見えるようになっているということです。谷地坊主があるところは、決まって、谷底の傾斜が緩やかで、土砂が平らに溜まっているところです。
 湿地に降りて、すでに印がしている5つの谷地坊主の「身体検査」をしました。「髪の毛」が自然な状態で地上何センチか、幅は何センチか、「頭皮」までの高さと幅は何センチかを二人一組で計測してもらいました。

 計測を始めて9年目になりますが、「本当に谷地坊主は生長しているのか」未だにわかりません。折れ線グラフを書いても不安定で、大きくなったり小さくなったり、中には小さくなっいる個体もあります。そもそも、毎年測る人が違うので「計測誤差」はつきものですし、湿地にはまわりから土が流れ込んだり、反対に、流れ出したりしているので、そもそも地面の高さが一定とは限りません。「自然を知る」は一筋縄ではいかないですね。

 とはいえ、9年もやっていると、おもしろい事実にぶつかることもあります。「谷地坊主5号」は、年々、水脈筋が近づき、そのうち、「水の流れに足元をすくわれ」、倒れて、行方不明になってしまいました。谷地坊主にはこんな「人生」もあるんだなと思いました。

   ※        ※        ※

※伊佐治さんが参加レポートを書いてくださいました。

「キュロロン キュロロン チー」
こんな特徴的な鳴き声でありがとう。私にも覚えられそう。因みにチーは付け加えなので小さく軽く。アカハラと言う鳥ですって。姿は見えなかったけれど次に聞いたら「アカハラが鳴いてる!」って誰かに教えてあげられるかも。
 そんなことを思いながらお目当ての谷地坊主の溜まりへ。
 へぇ~、茎が三角なのがスゲ属の仲間の特徴なのか。三角なら丸よりも強いのかな?でも丸の方が風にしなって折れにくい気もする。スゲ属はなぜ三角を選んだんだろう。それにしても谷地坊主が生まれるには、たくさんの条件が揃わないとこうはならないらしい。ここは奇跡の立地条件だったんだ!
 身体測定の最中にバディを組んだ加藤さんが、「あれ、ここにもある。」と谷地坊主1番さんのすぐ隣を指した。手でモゾモゾ1番さんの根本から触っていく。「これ、別の株だよ。」
あ、ああああ!そうか!
 「谷地坊主の英名がtussockで『かぶ』の意味です」と植原さんが出発前に話してくれた。なぜカブなんだろうと思っていた。葉っぱもカブの葉とは似ても似つかない。頭の中はずっと???だった。カブ(蕪)じゃなくて(株)なんだ!
 それからは自分の思い違いを思い出すたびに笑いが込み上げてきて仕方がなかった。
 アハ体験山盛りの初めての乙女高原だった。 

   ※        ※        ※

※加藤さんも参加レポートを書いてくださいました。

 谷地坊主の観察に行きました。谷地坊主という響きに惹かれてちょっとだけ調べて、春先のたくさんの鬼太郎が露天風呂に浸かっている姿(写真)にますます惹かれて会いたくなり会いに行きました。
 雲行きは怪しい曇り空。雨が降りそうな空模様。でも、体感温度は寒くもなく暑くもなく丁度いい感じです。
 出発前に植原さんから「谷地坊主は英名がtussock『カブ』の意味です」と聞いて「カブ(蕪)?なぜカブ?」と思ったのは私と伊佐治さんだけでしょうか?
 「キュロロン、キュロロン、チー」という可愛いくも逞しい縄張り宣言(?)のアカハラの声や、里よりも鮮やかに咲くアヤメやアザミを眺めながら湿地帯に向かいました。
 「これが谷地坊主です」と緑一面の湿地帯を指す植原さん。
 「???どれ?」とよーく見ると緑の塊が見えます。そう!谷地坊主の頭に緑の髪の毛(スゲの葉っぱ)が生えてモジャモジャ頭になってた!!
 谷を降りスゲ属の調査。茎を触ると「あれ?三角?まるじゃない!」とスゲ属の不思議を発見。
 そして、谷地坊主の身体測定に。
 1号から5号まで札の着いた谷地坊主を2人1組みで調査開始。
 1号を調査中「この子、どこまで1号さん?」と緑の髪の毛をかき分けモゾモゾ手探り。
 「あ、これ、別の株だよ」と私
 「あ、ああああー!カブってそっち?」とバディを組んだ伊佐治さん
 tussockが『蕪』ではなく『株』だと気づき大爆笑の2人。
 隣にいた小さな谷地坊主さんありがとう、あなたのおかげで謎が溶けたよ。

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