2013年、麻布大学・高槻研究室の学生・加古さんが「花と昆虫のリンク」の調査・研究を乙女高原で行いました。この場合のリンクというのは、花と昆虫の結びつきということです。5月から10月まで何度となく乙女高原を訪れ、どんな花にどんな昆虫が来ているかなどを根気強く調べ、卒業論文にまとめました。すごい労力だったと思います。
高槻先生の提案によって、今年、これと同様の調査を行い、2013年の結果と比較してみようということになりました。2013年からの7年間に、乙女高原では大きな環境変化がありました。2015年に草原をぐるっと囲むシカ柵ができたのです。状況はあきらかに変化しています。それを解き明かそうというのです。ところが、この調査は「いい天気」の日でないとできません。いい天気でないと、昆虫たちが活発に活動しないからです。最初設定した7月11日は天候不順で中止。12日も、18日も、19日も、東京オリンピックの開会式のはずだった4連休もだめでした。そうこうしているうちに東京でコロナ感染が拡大し、そもそも高槻先生が山梨に来られなくなってしまいました。
そこで、高槻先生なしで高槻先生から事前に送っていただいた調査マニュアルを見ながら、高槻先生抜きで、調査を行ってみることにしました。マルハナバチ調べ隊の翌日、8月2日です。この日は静岡からの団体を案内する予定日でしたが、そこは山本さんと渡辺さんにお願いし、三枝さん・芳賀さん・井上さん・鈴木さん・角田(晴)さん・植原の6名が2人ずつ3グループに分かれて調査しました。ちなみに、この日は角田(敏)さんが遊歩道等の草刈りをしてくれ遊歩道を歩きやすくしてくださいました。
高槻先生の送ってくださった遊歩道地図には、ポイントポイントに1から16の番号がついています。そして、1と2の間はA、2と3の間はBというように、各区画にアルファベットが割り振られていました。今日はAを三枝・鈴木グループが、Cを井上・芳賀グループが、Dを角田・植原グループが調査することにしました。
所定のスタート地点に行き、出発時刻を調査票に書き込みます。そして、遊歩道の右側2m範囲内で花に来ている昆虫を探して1歩ずつ歩きます。このとき、歩数を数えておきます。花に来ている昆虫を見つけたら立ち止まり、発見時刻・歩数・花の種類・昆虫の種類を調査票に書き込みます。花は種名まで書きますが、昆虫ではそれはむずかしいため、わかる範囲で書きます。基本的には、1ハチ 2ハエ・アブ 3チョウ 4ガ 5甲虫(コガネムシなど) 6その他(カメムシ、アリなど)…の6群に分けられればいいことにします。ゴール地点に着いたら、今度は来た道を戻り、やはり右側(行きとは反対側を調査することになります)で花に来る昆虫を見つけながら歩いて、スタートまで戻ります。一つの花(またはひとかたまりの花)にたくさんの昆虫が来ていることがありますが、その場合「ハエAが3匹、ハエBが2匹」などと記録することにしました。
どの区画も調査するのに1時間前後かかりました。そして、たとえば、ウエハラが角田さんと行ったD区画では108もの「花を訪れる昆虫」が記録されました。
調査方法が妥当かどうか高槻先生に確かめたかったし、天気も怪しくなってきましたし、なにより、調査票がなくなってしまいそうだったので(こんなに多くの「リンク」が記録されるとは…)、午後の調査は行わず、午前で打ち切ることにしました。
1週間後の8月9日、乙女高原の案内活動を行いながら、調査の続きをしました。芳賀さんにも手伝っていただきながら、さらに7区画の調査を行いました。これで10区画の調査が終わり、残る区画は8つとなりました。調査結果を高槻先生がどのようにまとめてくださるか楽しみです。