乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

乙女高原案内人養成講座・最終日

2024年07月28日 | 乙女高原案内人
 いよいよ7/28に養成講座最終日(3日目)が行われました。メインは小松澤さんによる「乙女高原の植物~樹木」と井上さんによる「乙女高原の植物~草花」という二つの野外実習です。
 お二人とも紙芝居のようなものを準備して、受講者の理解を助けていました。
 小松澤さんは、樹木に関する様々な専門用語をカードにして示してくださいました。「ケーセーソー」「コーゴーセー」など、専門用語ってカタカナでしか耳から頭に入ってこないことが多いですが(これって、自分だけですか?)、漢字は意味を伴っているので「形成層」「光合成」というカードを見ると、がぜん理解度が上がります。そんな工夫をしながら、樹木・森林についての理解を促してくださいました。





 一方の井上さんは、植物名を漢字で書いたカードを用意してくださいました。植物名はカタカナで書くというルールがありますが、それぞれの植物名には由来があります。カタカナだとそれがわかりにくいので、たとえば、私はクサレダマという植物名をずっと「腐れ玉」だと勘違いしていました。正しくは「草・連玉」です。あ、この植物、乙女高原にはありません。
 井上さんのカードには、「剃刀菜・顔剃菜」とか「大葉擬宝珠」とか書いてありました。それぞれコウゾリナ、オオバギボウシです。




 このような楽しい実習だったので、時間が過ぎるのがあっという間でした。
 この日は、午前中の実習が終わったあと、ワークショップ。少人数に分かれ、乙女高原での活動についてお一人お一人の意見を発表しあったりしました。そして、午後の実習が終了後は、修了証やワッペン、名札をお一人お一人にお渡しし、閉講式を行いました。
 案内人の皆さん、今までは「活動のために学ぶ」期間でしたが、これからは「活動しながら学ぶ」期間となります。皆さんのご活躍を期待しています。乙女高原の自然を次世代に譲り渡すために、いっしょに活動していきましょう。
   ※          ※          ※
※受講生の槙田さんから感想をいただきました。

・今回の講座3日目は、6/9の前回に比べて乙女高原には色とりどりの花が咲いていて、一層楽しく実習できました。講師、スタッフの皆様ありがとうございました。
・講師の方は事前に下見をして、紙芝居風に説明資料を準備されていたので、実物と比較しながら ポイントが理解できました。写真より手書きの図解の方が説明ポイントを伝えやすいですね。私も見倣って自然観察会で使ってみたいと思います。
・樹木の説明では、普段見る機会が少ない樹木の花や実・種子の実物(標本)があれば最高でした。松や杉と同じように、白樺や唐松の種は意外と小さいのではないかと想像しています。
   ※          ※          ※
※講師の井上さんからメッセージをいただきました。

講義はなるべくしゃべらないで、受講者に気づいてもらうようにしようと思っていたのですが、ついしゃべってしまい、反省です。花の戦略と昆虫との関わりはほんとうにおもしろいですね。そのおもしろさがちょっとでも伝わったらいいいいなと思います。今回の講義に向けて、いろいろ調べる中でなるほどと思うことやなんで?と思うこともあり、講義はプレッシャーではありましたが、よい機会をもらえたなとも思いました。
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遊歩道の草刈り   7月20日(土)

2024年07月20日 | ボランティア作業
 信じられますか? 草刈り作業の準備のために8:20ころ乙女高原に着いたのですが、しばらく外にいると、寒いくらいでした。さすが乙女高原と思いました。草原からは草刈り機のエンジン音が聞こえます。「涼しいうちに作業を始めてもいい」ということになっていたので、早く来られた方が、すでに作業を始められていたのです。

 今回の草刈りには13人が集まりました。刈払い機が十分集まりましたので、手刈りの方には草原内に侵入してきた外来種の駆除をしていただきました。

 現在、乙女高原の草原で気になる外来種といえば、ヒメジョオンとメマツヨイグサ。いずれも草原環境が大好きです。長野の霧が峰ではヒメジョオンの駆除をしていると聞いたことがあります。ヒメジョオンは北アメリカ原産で、ヤナギバヒメギク(柳葉姫菊)などの名で観賞用に江戸時代末(1865年ごろ)に渡来し,明治初年には雑草化したそうです。外来生物法の要注意外来生物、日本の侵略的外来種ワースト100 指定種に指定されています。

メマツヨイグサも北アメリカ原産で、観賞用として1920年代に導入されたそうです。外来生物法で要注意外来生物に指定されています。


今回は、真夏の草原の中、この2種を駆除していただき、駆除の総重量は20.8kgになりました。

 そのほかにも、気になる外来種として、いずれも外来の牧草であるチモシーとオーチャードグラス、背の低いオオバコ、シロツメクサ、セイヨウタンポポがあります。オオバコは最近になって多く見かけるようになりました。あっという間に増えている気がします。オオバコは人が歩くようなところに多く生えています。オオバコは背が低い反面、踏みつけに強いので、人が歩いてくれるような場所のほうがかえって都合がいいのです。遊歩道なんて、大大好きな環境だと思います(オオバコの生きざまについて語り始めたら、1時間でも終わらないと思います・・・笑)。

 さて、刈り払い隊の作業が終わったようです。遊歩道地図で確認したところ、刈り残した遊歩道はないので、残りの時間は林道沿いの草刈りをお願いしました。





 涼しい乙女高原とはいえ日差しは強いので11時半すぎには全作業を終え、お昼にしました。
 午後は、バイオトイレのホーローの洗面台のひび割れをパテで直したり、来週末の案内人養成講座に備えて、トイレやロッジのそうじといった作業を行いました。
 ロッジ内に風を通そうと、窓を開けたら、ものすごい数のアブが入ってきて、そのまま出られなくなってしまいました。角田さんが昨日7/24にロッジを開け、床に落ちたたくさんのアブの死体を掃除してくださいました。
 山梨市で設置してくださったシカ柵のおかげでたくさんの花が戻ってきましたが、その結果、チョウやハチだけでなく、アブもものすごく増えたようです。中には不快昆虫の仲間であるアブもいますので、気になる方は虫よけスプレーなどの対策をしてください。ここ2、3年、ちょうちょが減っているような気がして心配していましたが、今年はたくさんのチョウを見かけます。これもシカ柵設置の「遅れた効果」なのでしょうか。

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訪花昆虫調査・7 月

2024年07月13日 | モニタリング調査

 7月13日(土)、いつものように塩山駅で高槻先生をピックアップし、乙女高原へ。なんと12名もの参加者がありました。いつものように、高槻先生から調査の意義と方法を説明していただき、植原から班分けと担当遊歩道を発表。

各班でパートナー同士あいさつをし、持ち物を確認して遊歩道に出発しました。

 遊歩道に沿って巻き尺を伸ばし、終点から遊歩道の片側2m範囲の「花を訪れる昆虫」を距離・時刻とともに片っ端から記録していきます。そうやって巻き尺の始点に到着したら、今度は遊歩道の反対側2mを見ながら同じように記録していき、巻き尺の終点に着いたら1セクションが終了です。これを担当セクションの数だけこなします。花に来ている昆虫の観察には、パピリオ双眼鏡が大活躍です。




 今回は調査員の人数が比較的多かったし、盛夏の花がわんさか咲く時期の手前だったせいか、午前中でなんとか全部の調査を終えることができました。
 調査後は、いつものように、楽しく話をしながらお弁当を食べました。

 私たち調査員が書いた調査票は高槻先生が一手に引き受けて、パソコンのエクセル表に入力し、それをもとに、花と昆虫の関係や、年による違い、季節(月)による違いなどを考察されていきます。
 この調査は、そんな高槻先生の後ろ姿から、自然を対象にした調査・研究の在り方を学ぶ、またとない機会になっています。年寄りを排除する意思はまったくありませんが(こんな書き方で申し訳ありません)、中高生・大学生で、特に自然を相手にしたことをやりたいなあ(仕事、プライベート、ボランティア含めて)と思っている人にぜひ参加してほしいなと思います。

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谷地坊主の観察会  7月6日(土)

2024年07月06日 | モニタリング調査
 7/6は年に一度の谷地坊主の観察会です。いつもなら午後までかけて行うのですが、午後から雨予報となっています。この観察会は湿地の中にも入りますから、できれば雨は避けたくて、午前中にまとめて行うことにしました。参加者は6人でした。この観察会プログラムは3つのアクティビティから成り立っています。

その1 谷地坊主の湿地が見下ろせる、ちょっとした高台まで、遊歩道を歩いて移動しました。今の季節、谷地坊主を見てもボッサボサの草むらにしか見えません。ですから、秋・冬・雪をかぶったところ・春先・谷地坊主の「頭皮」から草の芽が出て来たころ・・・などの写真を用意して、四季の変化を想像してもらいました。今度は、別の季節に来てくださいね。
 そして、谷地坊主がどうして盛り上がっていくかを、紙芝居で説明しました。キモは「冬になると地面の中が凍って、土が持ち上げられる」ことと、「持ち上がった地面が、春先の雪解け水で流されてしまい、相対的に持ち上がっていく」ことです。冬に持ち上がった地面は春に元通りに下がるんだから、「だんだん」高くなることはないと思うのですが・・・このあたりのメカニズムは、自分もまだ理解できていません。
 「冬、モーレツに寒いこと」「かといって、雪が降ったら、地面はかえって冷やされないので谷地坊主はできない」「水の流れがあること」「かといって、流れが速すぎても、全部流れてしまうからNG」「地面が持ち上げられても切れない、密で強靭な根を持つ草(スゲ)が生育していること」などが谷地坊主発達の条件です。
 ちなみに、ここ(アスファルト駐車場南。看板があるところ)の谷地坊主は山梨市によって天然記念物に指定されています。全国で、谷地坊主が天然記念物に指定いされているのは釧路市と山梨市だけです。また、スゲ属植物に詳しい元神奈川県博学芸員の勝山さんによると、タニガワスゲによる谷地坊主は乙女高原以外に見つかっていないのだそうです。

その2 高台から湿地まで遊歩道を降りて来ました。谷地坊主がすぐそばに見えます。参加者に茎に触ってもらいました。「断面は丸ですか?」茎が角張っていて、集中して触ると、断面が三角であることがわかります。そっと一株だけ残し、あとの葉を手でどかしてみると・・・株から葉が120°ずつの角度で(3方向に)出ているのがわかります。葉の感じはイネ科植物に似ていますが、イネ科は茎の断面が丸いのに対して、スゲ属を含むカヤツリグサ科は三角です。

『スゲ・カード』を使って、湿地で他のスゲ属植物を探してもらいました。ゴウソ、オオカワズスゲ、オタルスゲなどが見つかりましたが、谷地坊主を形成していたのはタニガワスゲのみでした。

その3 別の沢に移動しました。ここも上から谷地坊主の湿地を眺めます。

沢に沿って丘の上を移動していくと・・・途中から沢に谷地坊主がなくなります。「代わりに何が見えますか? 」岩が見えるようになります。つまり、ここからは斜度がきつくなって、土が削られ、流されてしまい、岩が見えるようになっているということです。谷地坊主があるところは、決まって、谷底の傾斜が緩やかで、土砂が平らに溜まっているところです。
 湿地に降りて、すでに印がしている5つの谷地坊主の「身体検査」をしました。「髪の毛」が自然な状態で地上何センチか、幅は何センチか、「頭皮」までの高さと幅は何センチかを二人一組で計測してもらいました。

 計測を始めて9年目になりますが、「本当に谷地坊主は生長しているのか」未だにわかりません。折れ線グラフを書いても不安定で、大きくなったり小さくなったり、中には小さくなっいる個体もあります。そもそも、毎年測る人が違うので「計測誤差」はつきものですし、湿地にはまわりから土が流れ込んだり、反対に、流れ出したりしているので、そもそも地面の高さが一定とは限りません。「自然を知る」は一筋縄ではいかないですね。

 とはいえ、9年もやっていると、おもしろい事実にぶつかることもあります。「谷地坊主5号」は、年々、水脈筋が近づき、そのうち、「水の流れに足元をすくわれ」、倒れて、行方不明になってしまいました。谷地坊主にはこんな「人生」もあるんだなと思いました。

   ※        ※        ※

※伊佐治さんが参加レポートを書いてくださいました。

「キュロロン キュロロン チー」
こんな特徴的な鳴き声でありがとう。私にも覚えられそう。因みにチーは付け加えなので小さく軽く。アカハラと言う鳥ですって。姿は見えなかったけれど次に聞いたら「アカハラが鳴いてる!」って誰かに教えてあげられるかも。
 そんなことを思いながらお目当ての谷地坊主の溜まりへ。
 へぇ~、茎が三角なのがスゲ属の仲間の特徴なのか。三角なら丸よりも強いのかな?でも丸の方が風にしなって折れにくい気もする。スゲ属はなぜ三角を選んだんだろう。それにしても谷地坊主が生まれるには、たくさんの条件が揃わないとこうはならないらしい。ここは奇跡の立地条件だったんだ!
 身体測定の最中にバディを組んだ加藤さんが、「あれ、ここにもある。」と谷地坊主1番さんのすぐ隣を指した。手でモゾモゾ1番さんの根本から触っていく。「これ、別の株だよ。」
あ、ああああ!そうか!
 「谷地坊主の英名がtussockで『かぶ』の意味です」と植原さんが出発前に話してくれた。なぜカブなんだろうと思っていた。葉っぱもカブの葉とは似ても似つかない。頭の中はずっと???だった。カブ(蕪)じゃなくて(株)なんだ!
 それからは自分の思い違いを思い出すたびに笑いが込み上げてきて仕方がなかった。
 アハ体験山盛りの初めての乙女高原だった。 

   ※        ※        ※

※加藤さんも参加レポートを書いてくださいました。

 谷地坊主の観察に行きました。谷地坊主という響きに惹かれてちょっとだけ調べて、春先のたくさんの鬼太郎が露天風呂に浸かっている姿(写真)にますます惹かれて会いたくなり会いに行きました。
 雲行きは怪しい曇り空。雨が降りそうな空模様。でも、体感温度は寒くもなく暑くもなく丁度いい感じです。
 出発前に植原さんから「谷地坊主は英名がtussock『カブ』の意味です」と聞いて「カブ(蕪)?なぜカブ?」と思ったのは私と伊佐治さんだけでしょうか?
 「キュロロン、キュロロン、チー」という可愛いくも逞しい縄張り宣言(?)のアカハラの声や、里よりも鮮やかに咲くアヤメやアザミを眺めながら湿地帯に向かいました。
 「これが谷地坊主です」と緑一面の湿地帯を指す植原さん。
 「???どれ?」とよーく見ると緑の塊が見えます。そう!谷地坊主の頭に緑の髪の毛(スゲの葉っぱ)が生えてモジャモジャ頭になってた!!
 谷を降りスゲ属の調査。茎を触ると「あれ?三角?まるじゃない!」とスゲ属の不思議を発見。
 そして、谷地坊主の身体測定に。
 1号から5号まで札の着いた谷地坊主を2人1組みで調査開始。
 1号を調査中「この子、どこまで1号さん?」と緑の髪の毛をかき分けモゾモゾ手探り。
 「あ、これ、別の株だよ」と私
 「あ、ああああー!カブってそっち?」とバディを組んだ伊佐治さん
 tussockが『蕪』ではなく『株』だと気づき大爆笑の2人。
 隣にいた小さな谷地坊主さんありがとう、あなたのおかげで謎が溶けたよ。

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