乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

乙女高原に、草原全部を囲むシカ柵ができた!

2015年11月29日 | シカ対策
まずは、完成したシカ柵をみてください。
色といい、金網の目の荒さといい、全然目立っていません。シカ柵設置ルートの巧みさ(尾根の少し向こう側に設置している、歩道より一段低いところに設置している・・・)と相まって、まわりの景色に完全に溶け込んでいると思います。



思えば長い道のりでした。
シカ柵の効果を調べるために、試験的にシカ柵を作ったのは2010年の5月でした。
その後、高槻先生の麻布大学野生動物学研究室の皆さんがここをフィールドにモニタリング調査をしてくださいました。

ところで、乙女高原でマルハナバチ調べ隊を始めて13年になります。
年に3回、まったく同じ時期(6月の最終日曜、8月最初の日曜、9月最初の日曜)に、遊歩道の同じコースを、同じ時間かけて歩いて、出会うマルハナバチを記録しています。
マルハナバチは花の蜜と花粉に完全に依存しています。しかも、春から秋に連続して、まるでリレーのように花が咲いていないと生きていけません。
マルハナバチの動向は、乙女高原の花たちのトータルな咲き具合と関連していると考えられます。
つまり、マルハナバチを調べることは、乙女高原の花の全体的な傾向を示している・・・端的にいうと,乙女高原の健康診断ができる!ということです。

ところが、ただでさえ天気に左右されるマルハナバチの動向ですし、当然のことながら年変動があります。
「乙女高原におけるマルハナバチの平均的な動向」というのが全然わからず、「乙女高原の健康診断」を半ばあきらめかけていました。

ですが、2014年の夏は、あきらかに異常でした。乙女高原で花がもっとも多く、働きバチがもっとも多くなる夏の調査で、マルハナバチがほとんど見つからなかったのです。
これは乙女高原の大ピンチです。乙女高原が大ピンチであることを、マルハナバチが教えてくれたのです。

よその地域での事例で、シカ柵を作ればお花たちが復活することは分かっていました。
でも、なかなか「シカ柵を作る」という一歩が踏み出せないでいました。
シカ柵を作れば,せっかく自然が美しい乙女高原が「不自然」になってしまうからです。
そんなジレンマの中にいましたが、マルハナバチたちが背中を押してくれました。

そこで、2014年9月ファンクラブの代表数人で「乙女高原に大規模シカ柵を作ってください」と山梨市長さんにお願いに行きました。
市長さんは快諾してくださり、その後、市観光商工課の皆さんががんばって助成金申請してくださり、今回のシカ柵設置となりました。


11月3日にはポールが立っていました。作業員の方が1本1本、水準器で垂直かどうかを確かめていました。




11月15日、上半分の金網が張られていました。




私たちがリクエストした通り、「森の広場」の部分は少しシカ柵ルートを外側にずらして、観察会のできるスペースを作ってくださっていました。



11月23日の「草刈りボランティア」の日には完成していました。


その後、11月29日に訪れてみると・・・



なんと、(ワンピースの)チョッパーが迎えてくれました。もっともチョッパーはシカではなく、トナカイですけどね・・・ま、この際、細かいことは言わないでおこう・・・(笑)



来年は乙女高原のシカ柵元年です。乙女高原の自然がどのように変化していくか、見守ってください。見つめてください。
よろしくお願いします。





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シカ柵設置場所の確認

2015年06月03日 | シカ対策

甲府盆地では雨まで降っていたというのに、乙女高原ではすっかり雨も上がり、露も少なく,雨具の下は必要ありませんでした。

山梨県・山梨市・ファンクラブの担当者が乙女高原に集まりました。


シカ柵の設置場所について共通理解し,意見を出してもらうためです。
あらかじめ市で設置場所について検討し,杭を打ってもらっていたので、それを確認しながら歩きました。

本当に乙女高原をぐるりと囲ってしまう感じでした。

途中、何カ所かで柵が遊歩道を横切るので,そんな場所には」ドラえもんのどこでもドア」みたいな感じの扉をセットするそうです。
基本的には片開きの扉ですが、草刈りのときに草を運び出しやすいように、1箇所だけ両開きにしていただきました。
ここが、その場所です。



終了後,「シカ柵を作れば、なおさら草原入り口の案内板(地図))は景観を損ねるよねー」という話題があり、さっそく案内板の移設先を検討しました。
おそらくここがベストポジション。もちろん移設が可能かどうかは未定です。


































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乙女高原,10年前と今 (シカの影響がこんなに!)

2014年08月09日 | シカ対策

ほぼ10年前と今の景観を比べてみてください。
シカによる食害の影響はこんなにすごいんです。



      ・・・・上は2003年8月5日の写真、下は同じ場所の2014年(今年)8月2日の写真

 

 

 

・・・・上は2004年8月1日の写真、下は同じ場所の2014年(今年)8月2日の写真

 





・・・・上は2002年7月23日の写真、下は同じ場所の2014年(今年)8月2日の写真



 

 

 



・・・・上は2003年8月5日の写真、下は同じ場所の2014年(今年)8月2日の写真

 

 






・・・・上は2002年7月23日の写真、下は同じ場所の2014年(今年)8月2日の写真

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櫛形山のシカ柵と新登山道を見てきたよ

2013年09月14日 | シカ対策

 昨年設置されたという櫛形山の大きなシカ柵,ようやくこの日見に行くことができました。やっぱ自分の目で見ないと実感が湧きませんね。
 ウチから南アルプス市の街中まで車で1時間,そこから林道をさらに1時間。登山道入り口に到着しました。あれ,入り口のすぐ近くにさっそくシカ柵。しかも,あれ,カラマツ林の中,なぜ? 以前来たときにはここにサラシナショウマが咲いていたので,それを守ろうとしたのかな?と思いました。




 櫛形山でもう一つ気になっていたのは,新しく作られた登山道。自然保護の観点から問題にもなったところだったので,そこも実際に歩いてみようと思いました。入り口に,登山道に入った人をカウントするセンサーが設置されていました。2つのセンサーが横に並んでいたので,入る人と出る人を別々にカウントしていると思いました。上にソーラーパネルが設置されていました。




 歩いてみると,異様に平らで(でこぼこがない),無用に平ら(傾斜がない)(失礼)でした。あまりにも平ら(傾斜なし)なので,その分,距離が長くなっています。距離が長くなっているということは,その分,登山道を作るために斜面を削って法面(のりめん)面積がより広くなるということです。「ここは階段か何かを作れば,こんなに斜面を削らずに済むのに」と思いました。あまりにも平ら(でこぼこがない)な理由がわかりました。帰ってネットで調べてみると,車椅子の利用を想定しているのだそうです。舗装してあるみたいでしたが,台風が通り抜けたあとだったので,表面には砂や泥の乾いたのがたまっていました。メンテナンスがたいへんだと思いました。それに,こんな山奥の登山道にまでバリアフリーなんて・・・。なんでもかんでもバリアフリーではなく,TPOを考えるべきです。ここでは自然保護をもっと優先度高く考えるべきです。「もの」でのバリアフリーではなく,たとえば,大勢で車椅子を運ぶといったマンパワーでのバリアフリーなど,別のバリアフリーを考えるべきです,ここでは。





 平らな登山道は展望台まででした。ここから北岳は見えましたが,白根三山のあとの2山は見えませんでした。双眼鏡でみると,鞍部にある北岳山荘の赤い屋根が見えました。




 そこを過ぎると,急坂。しかも,下りです。階段か木のステップが欲しいところです。滑って,とても危ないです。手すりの代わりにロープを張って,ところどころ結び目を作っていました。応急策としては適切です。でも,手袋がないので,手の皮がすれてしまいました。沢の真ん中を道が下っているところもありました。登ったり、下りたりが激しかったです。サルナシの実が落ちていました。食べたら元気になりました。


 9時10分にスタートし,シカ柵のあるアヤメ平に着いたのは11時10分でした。シカ柵の中には草が生えていますが,外は刈り払い機で刈ったみたいになっていました。マルバダケブキの葉の柄だけがポツポツポツと生えているって感じです。




 柵を観察しました。高さ2mのプラスチック製のポールが2m間隔で立っています。ネットは黒いプラスチック(ビニール?)。ところどころ光っています。光っている銀色の部分は金属製みたいでした。網の目は10㎝。網の下側は外側に広がっていて,ところどころ,ペグで止めてありました。
 扉は開くと自動的に閉まるようにっていました。外には開くけど,内側には開きません。中に入りたいシカのことを考えると当たり前なのですが,その当たり前のことが大切だと思いました。開け閉めのレバーには重りが付いていて,鍵が掛けやすいようになっていました。




 中に入って,「アレ?」と思いました。シカ柵の中には草は生えていましたが,ほとんどがイネ科。いわゆるきれいなお花が咲く植物はほとんど見られません。




ところが・・・少し歩いたら,シカ柵が出てきました。今,シカ柵の中を歩いているわけですが,シカ柵の中にシカ柵がある・・・シカ柵の二重構造というわけです。で,その(内側の)シカ柵の中には,あふれるばかりのきれいな花が咲く花,花,花。もう花の最盛期は過ぎていましたから,もう少し前に訪れることができれば,すごかったと思います。ということは,あと2シーズンも過ぎれば,大きなシカ柵の中も,植物たちが回復するのでしょうか??




 避難小屋の前でお昼のおにぎりを食べ,裸山へ。小屋のすぐ裏がシカ柵の出入り口になっていました。サルオガセがわんさか付いている木をたくさん見ました。ほんと,トロロコンブみたいです。
 ところどころ,芝生の中にところどころ木が生えているポケットパークみたいなところがありました。黒く見えるところがあるのは,シダの地下茎に違いありません。生えていた草がシカに食べられてしまい,芝生みたいになり,シダまで食われているなんて,すごい状況です。




 乙女高原ではシカが食べてないマルバダケブキですが,ここ櫛形では,マルバダケブキの葉がどんどん食われてしまい,まるでマルバダケブキの墓標が林立している墓地のように見えます。




 裸山に着きました。ここには5年前からシカ柵が設置されています。びっくりしました。シカ柵外は草がなく,土壌流失も止まっていませんでした。そして,柵の中は・・・たくさんの花が咲いていて・・・。トリカブトがいっぱい咲いていて,そこに30を越えるマルハナバチが来て,盛んに蜜を吸っていました。いやー,マルハナバチたち,天国でしょうね。




 ところどころ,とて太いテンカラ(天然カラマツ)の木があります。



 また,ナナカマドの赤くてかわいい実が落ちているのを,いろんなところで見ました。
 センチコガネが飛んでいるのを3回も見ました。最初はハチが飛んでいるのかと思いましたが,それにしては体が重そうなので,追跡したら,センチコガネでした。糞が多いのかな?

 櫛形山山頂を経由し,車を置いた場所に帰ってきました。14時20分でした。
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草刈り実験

2013年09月01日 | シカ対策
 9月1日,塩山駅まで高槻先生と加古さんを迎えに行き,乙女へ。

 農工大の皆さんは二手に分かれて,昨日の調査の続きと,高槻先生といっしょに乙女での草刈りとモニタリングを。9時ごろには調査を始めました。まずは方形区内の植物調査です。ここでも出現した植物を記載していったのですが,「これがサクラスミレ(の夏葉)ですよ」など,いろいろ教えてもらいました。



 10時に集合してくださったファンクラブのメンバーがこれに合流。宮原さんを中心に,調査の終わった「6月・9月区」と「9月区」の2つの方形区の中の草刈りをしました。



刈った草は袋に詰めて,焼山の琴川ダム残土処分場に運び,実験区の中に敷き入れました。9月に刈り取った草を敷き入れたら,その効果は11月の草とは違ってくるのでしょうか。結果が出るのが楽しみですね。



 お昼には作業終了。食べながら意見交換をしました。お二人の先生の共通の見立ては「早めのシカ柵が必要」。今後,どうしていくか,大きな宿題をいただいてしまいました。
 この日,麻布大の高槻先生と東京農工大と星野先生という「日本のシカ対策の両雄」とも言えるお二人が乙女高原に揃ったなんて,すごいことだ…と密かに思っていました。

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